ガチャリック・スピン@O-WESTのライブのこと

月曜の晩に連れてかれたのはガチャリック・スピンのライブ。「何かすごかったからお前も観ろ」ということで。
F・チョッパーKOGAというか古賀美智子さんを観るのは何かの企画でTHE PINK☆PANDA観て以来だなあと思いながら会社帰りにO-WESTまで行ってみたところ、何かすごかった。

この場合過去からの流れで説明した方がいいと思うのでしますが、まずTHE PINK☆PANDAという、芸能事務所ブリスクルーに所属するグラビアアイドルちゃんたちが集まって結成されたバンドがありまして、しかし結成以降ベースの古賀さんのスキルアップ著しく、通常レベルのメンバーと組むには辛いレベルに達して脱退いたしました。多分。
その後、高校の同級生でSONYからリリースしていた12.ヒトエのメンバーだったはなとガチャリック・スピンを結成、メンバー・チェンジ等ありつつもavexからデビューして2年ほどで解散したガールズバンド、EU PHORIAのギターとキーボードが加入して今の楽器隊4人が揃い、さらに10代のダンサー2名を加入させての現在6人編成。

そのダンサーの1名も小学生時代からジュニアアイドルとしてあかん感じの水着のDVDとか出していた子だったりして、もう何かすごい勢いで普通ではない体験を重ねてきた連中が吹き溜まったバンドであり、そういう流れからでしょう、楽器隊のスキルは全員が全員異常なレベルに達しているにもかかわらず「私たちが目指すアートとしての音楽」とか糞食らえ状態のパーティー・ミュージックをぶちかますわけです。

それだからして、楽しくないわけがないんですよ。めちゃくちゃ楽しいのですよ。
古賀さんのベースはその名の通り基本が高速チョッパーだし、ドラムでメインヴォーカルのはな氏のドラムキットは何でそんなところにあるねんという位置、シンバルの更に上の方に1個タムが付いている。そして曲によってはベースのネックやら変な位置の太鼓やらギターのヘッドやらキーボードの子のおっぱい付近やらがLED点滅しまくったりするのです。
全くもって意味はわからないのだけど、たぶん実際に意味はない。でもだからいい。そういうバンド。素晴らしい。

うまいしポップだしライブは盛り上がるし女の子は可愛いしで何一つケチの付けようがないのですが、でも何となくどかんと動員を拡大できない理由も想像できてしまうのです。

1.ジャンルとしてどこにいるのかさっぱりわからない。
正味馬鹿テクバンドなのですが、メンバーの担当カラーがあったりハイタッチ会があったりフロアはペンライト上等だったりして、所謂「アート」を目指すようなバンドと並ぶにはちょっとしんどい活動方針、でもアイドルと呼ぼうにも楽器隊可愛いけどアラサーだし生楽器かましてライブしてなんぼの人たちなので、1ステージ20分入れ替え時間なしのアイドル企画ライブとかには絶対入れてもらえないという独特すぎるポジション。
そもそも観る側にもどうしても「自分の属性」というものはおよそあるわけでして、「いいバンドいないかな」という人のアンテナにも「いいアイドルいないかな」という人のアンテナにも両方極めて引っかかりにくく、「同じジャンルの他のグループから」みたいな新規流入もまったく期待できないまま、だいたい通常のアイドルやバンドのオーディエンスよりもやや年齢高めの男性中心のファンが吹き溜まっている感。

2.どこにフォーカスしてライブを観ていいのかわからない。
ステージ奥の箱馬組んだちょっと高い位置にドラムとキーボード。後方なのにドラムがメイン・ヴォーカルでキーボードがサブ・ヴォーカル。
手前の低い位置の上手端にギター、下手端にベース。わかりやすくうまくてよく動き、なおかつ可愛い。曲間のメインMCは古賀さん。
そしてギターとベースの間、センターに若いダンサー2名。へそ出して踊る踊る。煽る煽る。
普通のバンドであれば概ねセンターのヴォーカル見て、ソロになったらギター見て、でだいたい済むのですが、このバンドはそういう役割分担が故に常に同時多発的にあちこちで何かやっているため、まったくもって落ち着いて見られない。落ち着かなくていいんですけど、でもどこ見ていいのかわからない。おもしろいけど大変です。

3.馬鹿テク過ぎる。
普通のバンドなら、高校生が何かのライブでとあるバンドを観て「これ好き」って思って、自分が楽器やってたらとりあえず帰ってコピーするわけじゃないですか。それで自分のバンドで練習して文化祭で発表したりするわけですよ。で、それ聴いた同級生がまた「これ好き」って思ったり。
KANA-BOONとかSHISHAMOとかはまさにそういう形で認知を拡大していったわけで。
でもこのバンドはどうやっても無理。高校生がコピーしようにも間もなく心が折れるレベル。いくら「これ好き」って思ったとしても物事には限度というものがあるのです。


今月末28日、六本木のEX-THEATERでワンマンがあるのですが、かくして古賀さんがガチで頭下げて「来てください」と懇願する状況であり、推して知るべし。すげえ行きたいんだけど私はその日さいたまスーパーアリーナに籠城しているので如何ともし難く。

今回手渡されたチケット見てたまげたのが「企画・制作:ブリスクルー」の文字。
相当に怒涛の人生歩んできた古賀さんですが、中学生の時にグラビアアイドルとしてデビューして以来、一切所属は変わっていないという恐ろしさ。どれだけ懐深い事務所やねん。こういう女の子や事務所は最後には報われてほしいと思う、そんな浪花節的な気持ちも込みで、是非どなたか興味があれば行ってみてください。
こういうのは個人の嗜好なので何とも言えないのですが、少なくとも他に類を見ない大変珍しいものは確実に観られます。