紅白の件。
先日今年は演歌勢が一番のサプライズと申し上げました。
ほぼ硬直化していた出演勢にぶっ込むように、白組には完全な新顔である三山ひろし山内惠介の2名、紅組には2001年以来2度目の出場になる島津亜矢が出場決定。それ以前の新顔はある意味「東北復興枠」だった福田こうへいを除けば、白組は2005年の北山たけし、紅組では2003年の水森かおり以来になるわけで。

で、他に多数いる演歌歌手の中でこの3人の出場は妥当なのかというところを確認すべく「今年売れた演歌勢」を売上順に並べてみました。太字は今年の出場歌手、「*」印はかつて出場したことがある歌手、無印はそれ以外(ただし累計売上1万枚以上のみ)。
1年間に複数枚のシングルを出している場合は合算ではなく一番売れた盤の数字です。

紅組売上(順位) 白組売上(順位)
水森かおり61,500(10) 三山ひろし72,000(13)
市川由紀乃48,800(25) 氷川きよし68,400(2)
島津亜矢20,100(26) 山内惠介68,200(10)
岩佐美咲20,100(13) 福田こうへい68,200(10)
石川さゆり18,800(35) 竹島21,200(13)
香西かおり16,900(62) 角川博19,900(33)
葵かを里16,800(43) 五木ひろし19,600(29)
水田竜子16,100(25) 山川豊16,700(37)
川野夏美16,100(32) 鳥羽一郎14,400(49)
神野美伽15,600(38) 北山たけし14,100(23)
社このみ15,100(29) 北川大介13,700(25)
川中美幸12,800(36) 細川たかし10,700(30)
中村美律子12,800(39) 大川栄策7,000(43)
大月みやこ12,700(39) 舟木一夫5,400(38)
原田悠里11,800(41) 森進一3,900(26)
天童よしみ11,100(34) 吉幾三3,900(60)
椎名佐千子11,000(45) 山本譲二3,100(63)
永井裕子10,500(46) 前川清2,100(77)
田川寿美10,100(34) 冠二郎1,000(102)
坂本冬美8,600(47) 大泉逸郎800(137)
石原絢子*7,200(46) 加門亮700(121)
松原のぶえ6,400(43) 美川憲一600(144)
長山洋子5,400(45) 千昌夫---
長保有紀4,800(51) 高山巌*---
岩本公水*3,600(49)   
森昌子1,700(127)   
藤あや子1,100(118)   
小林幸子700(151)   
三船和子*600(85)   
門倉有希*ランク外   
伍代夏子---   
都はるみ---   
瀬川瑛子---   
正直、ビビった。2015年に最も高い売り上げを叩き出した演歌歌手は、氷川きよしでも水森かおりでもなく三山ひろしだという事実。そして山内惠介も肉薄。白組の2人はもう文句の付けようがないわけです。昨年出場して今年も売れていないわけではない福田こうへいや、北島事務所パワーで押し切れるかもしれない北山たけしをして突っ込む隙を一切与えないこの状況。

一方紅組は、市川由紀乃が最高位25位ながら30週以上に渡ってオリコン100位内をキープしてかなりの売上を上げているのですが、ここは彼女ではなく次点の島津亜矢。以前出ているだけに市川由紀乃よりは名の通りがいいということか、もしくは市川由紀乃さん大変に艶のある美人さんだけに藤あや子とカブるのを防いだか。よくわからんですが、でも無茶な人選ではない。

そういう感じの中、常連はそれなりに売ったのに落ちた香西かおり以外は状況がどうであろうと不動。一応ここまでは今年の曲を歌うわけではなくても一応年に1枚はシングルを出すことがおよその不文律だった演歌歌手勢でしたが、今年遂にシングルリリースがないまま出場に至った伍代夏子という例も見られ、これは何ですか旦那パワーでしょうか。

かつて出場し、今も知名度のある歌手さんでもなかなか売れないという状況が散見されるのは切ないです。しかし考えてみれば、演歌勢にとって紅白に出たというハクが付いた後、また手売りのドブ板営業というのもなかなか難しい話です。そのハクでもって地方の営業等の仕事は入ってくるでしょうから、手売り頑張らなくてもいい感じになっていたりするんでしょうか。
異例なのはPOSレジ通った通常CDはこの枚数でも、コミケ直売CDはその数倍捌きまくった小林幸子の例。ここ最近の彼女のプロ根性は敬服するレベルです。本当にすごい。

あと、ざーっと調べて何となく感じたのは、若い演歌歌手の場合、紅組はどかっと売れる人はさして多くなくてもそこそこ売れるという人がちょこちょこいる一方、白組は比較的著名なイケメン歌手がかなりの割合を占めているのではないか、という点。女性歌手のファンは周りがどうだろうが自分がいいと思ったら行く、あたかも数多いる女子アイドルグループにそれぞれ付くオタのごとく、それに対し男性歌手のファンの女性には、ジャニ系とK-POPの有名どころに偏りがちなそっち系のファンとの近似値を感じるのです。
年を食おうが、何を聴こうが、男は男、女は女。