全部仕事が悪いのです。
上半期の10枚の中でちょっと補足しときたいの2枚。


Giorgio Moroder / deja-vu (Album)

30年ぶりのアルバムですが、何ですかこのあり得ないレベルの現役感。
1曲目。電子音楽の始祖Gershon Kingsleyの曲を最新のEDM的なところに落とし込んでみました的な、最初のジャブとしてはできすぎな音。2曲目のアルバムタイトルソングは、50年代ポップスと70年代ディスコサウンドと90年代R&Bのいいところを繋いだ線のような音。
先行リードトラック、Kylie Minogue参加の5曲目は、明らかにDaft Punkを意識しつつ、でもDaft Punkがそのコンセプト上行くことが難しいレベルのスケール感あり過ぎのメロをサビに持ってきて徹底的にアげにかかる。
全編そんな感じ、全体としては過去から現在までのポピュラーミュージックを俯瞰するような視点で、アルバムタイトル通りデジャヴ感は感じさせるところありつつも、ダンスミュージックなのにある種のスタンダードというかエヴァーグリーンというか、そんな感じもさせる、あまりにも堂々とした音。

75歳のおっさんがこんなん作ってるのどうかしてると最初は思ったけれど、ポップミュージックの黎明期から現役の目で追っているからこそ作れる音なのだと、思い直した次第。


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Roman a Clef / Abandonware. (Album)

Prefab Sproutというバンド名を聞いて、およそこういう音だよなと想像できる方は、その想像をキープしたうえでこのアルバムの1曲目を聴いてください。私はタワレコの試聴機でこの1曲目聴いて、人目もはばからず「ぶひゃへへへへ」と不気味な笑いを漏らし、そのままCD引っ掴んでレジに向かいました。
2曲目以降は大変にいいメロの、がっちりとオリジナリティのある音をやっているのですが、それでもやっぱりそこここにPrefab Sprout的なパーツがごろごろ転がっているため、時折秘孔を突かれたようなリアクションをせざるを得ないのです。
何ていうか、コロッケのものまね芸が単なるものまねを超えてひとつのオリジナル芸として完成しているのを見るような、そんな心持ちで。