2014年の10枚。後半5枚。
やっぱり好きなんだ。1988年に初めて彼らを聴いた時の衝撃は未だ忘れられず、さすがにそれから四半世紀以上たって新譜って言われてもねえ、と多少訝りながら聴いてみたらきっちり全盛期から地続きの音になっていて、もうそりゃ恐れ入るしかないわけですよ。今年のサマソニはちょうどクラフトワークとぶつかって泣く泣く諦めましたが、それでもまた来てくれそうな気はする。キム姉さんはもういないけど。
ダブに従うのではなく、ダブを従えた音。多くにとって多少の敷居の高さを感じるであろうダブというジャンルの間口をすごい勢いで広げながら、ただポップス的にしただけではないミュージシャンシップもガシガシ感じて。正直ただ泣ける歌詞とかただいいメロとかよりも、こういうチャレンジャブルな音楽こそが馬鹿売れしてくれないかなあと、本当に思います。
もう2014年はやたらと奇妙くんを推していて、ライブもトラブルスイング楽団、天才バンド、ソロと観てきて、どれも素晴らしいのだけど一番はやっぱり天才バンドということで。シンプルなバンド編成から繰り出される圧倒的な「歌」。作曲のカミデくんと奇妙くんの歌の相性が異常にいいということもあると思うんだけど。
最近の日本の若いバンドは素晴らしいバンドが多くて嬉しいのだけど、でもたとえばセカオワとかBAWDIESとかクリープハイプとかKANA-BOONとかキュウソとかのあたりは、若いリスナーにとっては絶対必要な音だと思う一方、おっさんである私の心にはあんまり刺さらなかったりするもんで。逆に刺さるのは根っこに絶対フォーク・ニューミュージックが流れているamazarashiとか、あからさまにニューウェイブなパスピエとか、年齢不問のセンスと卑怯なほどのキャラ設定で攻めてくるゲスの極み乙女。とか。
で、フレデリック。彼らの場合はもう単純に楽曲の構造がどうやっても気持ちよく聴けるようにできているから。口に出してみたくなるような言葉遊びを多用した歌詞と、それをガッツリ受け止めるだけでなく歌詞のリズム感を強化していくメロ。正直もう若者の憤怒とか憂いとかただストレートに聞かされても共感のしようがない年頃ですので、こういうのにハマるわけです。
「聴かれる」ことをどこまでも意識した極めてプロフェッショナルなバンド。実は若いのにはなかなかいないと思います。
師走も押し迫った頃に曽我部さんのRose Recordsからリリースされた傑作。曽我部さんは「子守唄のよう」と評しているけれど、でも「邪気がないが故の残酷さ」も内包している気がしてならない。何か聴いていて無闇に心がぞわぞわしてくる。
バンドサウンドとして、自分が知っている中では名古屋のClimb The Mindに近いんだけど、でも何か決定的に違うような気もする。まだ自分の中での落としどころよくわかってないんだけど、素晴らしい音楽であることには間違いないんです。
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