バンドにしろアイドルにしろ、ぐっと人気が上がった時にリリースしたCDの初回限定盤にプレミアム価格が付くというのはよくあることなのですが、ゲスの極み乙女。のアルバム「魅力がすごいよ」の初回限定盤は価格が安いだけで内容は通常盤と何ら変わらないにもかかわらず初回限定盤としてのプレミアムが付いた結果、通常盤よりちょっとだけ高価になっているという微妙な不可解さ。

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テイラー・スウィフトの件、いろいろ教えていただきました。
感想。「こいつ絶対日本のパッケージ販売のプロモーションをベンチマークしてるだろ」。

1.限定盤はTarget独占販売。ボーナストラック3曲に更にヴォイスメッセージも3つ収録。
2.SUBWAYコカ・コーラと組んで大々的なタイアッププロモーション展開。
3.CD特典にポラロイド風フォトカード13枚セット付属。5種ランダム封入。
4.コカ・コーラのついでにアルバムまで宣伝するハイブリッド型TVCM。

4.は多分権利とか慣習上日本では難しいことなのでより一層すごいですが、正味やってないのは握手会くらいじゃないですか。
何にせよ、彼女のブレーンが「世界最強にCDパッケージを売り続けている国」を何らかの形で参考にしたことは十分にあり得る話です。本当にこれでいいのかどうかは判断しかねるところなんですが、ストリーミング型をシャットアウトしたうえでこれだけの万全のプロモーションを行った結果、初動で128万枚売ったことは事実であり、パッケージだけでも50万枚以上初動で出たということは売れると見込んで初回出荷でそれだけ準備したということでもあり、いろいろ読みとか含めて当たりまくり。

Spotifyの代表が「音楽はタダじゃないよ! わかってるよ!」との声明を出していますが、言うても曲単価はまるで違うわけで、もしかしたら「今後こっちへ向かうだろう」と予想していた方とは別の方向へ、全世界的な動向が向かってしまう可能性すらある、それだけのインパクトがある事態で。

そして、これを見るにつけAKBグループの仕組みがいかに合理的かということも理解できたり。
ミュージシャン本体がメジャーになるにつれ、メディアを使った空中戦は有利にはなりますが、そこに至るまでの人気の下支えをしてきたライブなり握手会なりの地上戦は、規模拡大を余儀なくされてだんだんと難しくなってきますし、ミュージシャンにかかる負担も相当なものになってきます。
そもそもテイラーはこのアルバム出す以前の段階で握手会はおろか地道なライブサーキットですら難しいレベルの大スター。でかい会場で一気にドカンと集客するしかないわけで。

そういう意味でAKBは「総勢3桁越える頭数でもってひとつのグループという体で運営を回し、状況によって選抜・分割をすることで、どれだけメジャーになっても空中戦・地上戦ともに小回りが利く体制の維持が可能になるとともに、一人頭の負担を軽減することも可能」という、「売る」ことについてはとんでもなく理想的な体制。ていうか、自分も今文字化してみて改めてすげえと思った。

だから、テイラー・スウィフトももっとCD売りたいと思ったら、全米50州でオーディションして50人組美人カントリー歌手グループを作って握手会すればいいと思いました。ハワイやアラスカにカントリー歌手がいるかどうかは知りません。