「ハイレゾ音源」の局所的な盛り上がりは、単価の高いハードを売りたいメーカーと大手との差別化を図ろうと必死な配信サイトの鼻息ばかり聞こえてきて、何か萎える。

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15年前に戻って「無罪モラトリアム」の頃の椎名林檎の熱狂的ファンに「彼女は将来サッカーW杯のNHK公式ソングを歌うよ」と耳元で囁いたらすげえ怒られそうな気がする。

当時の彼女は日本のJ-POPの1ジャンルとして綿々と続く「メンヘル系」のある意味代表的な立場であったわけですが、日本のそれ系の女子シンガーは不器用というか本物のソレである場合が多々ありまして概ねうまく転がれずに短期で消えていく中、椎名林檎はそれ以降俺評して「産業戸川純」「偏差値55以上のための浜崎あゆみ」の域に到達、元々の空気をきっちり保ったまんま恐ろしいほどのメジャー感も同時にまとうウルトラC級の傑作「勝訴ストリップ」を生み落とし、それ以降も活躍を続けるわけです。
少なくとも日本の音楽業界過去から現在まで、彼女以上にセルフ・プロデュース能力に長けた人を自分は知りません。ソロ活動休業、バンド立ち上げ、バンド収束、その全てが今振り返るとすさまじく「そこしかない」タイミングで実施され、その度に自分の表現やパブリック・イメージの幅を無闇に拡大、それでも音楽的な体幹が強靭なため、基本軸全くブレないというとんでもなさ。

とりあえず、彼女とaikoを輩出している時点で「第5回ヤマハ・ミュージック・クエスト」はすげえ。でも二人とも優秀賞で、その時グランプリだった谷口崇は今何をしているのだろうなあ。