最近やたらネットで見る「女性に嫌われる5つの言葉」的なそういう系の記事って、何か既視感あるなと思ったらあれだよ、ホットドッグ・プレスの「HOW TO SEX」とかの特集。

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この連休は熊本あたりをメインにまたレコード屋探して商店街をぐるぐる回っていたのですが、やはり地方都市の商店街に元気があるところはほぼなく。
やっぱレコード屋みたいに生活に直接かからない商品を扱う店が速攻で潰れるのは詮無いことなのですが、昔はあちこちにあったはずの食料雑貨店の類は生活には関わるもののもろ大手資本とバッティングしますので、生きていけようはずもなく。

そんな中残っている店は、おばあちゃん用の衣料品店、理髪店、仏具屋、生花店、ギフトショップ、仕出し屋(もしくは仕出しもしている飲食店)あたりの割合が高め。

おばあちゃん用衣料品は、イオンや大手衣料チェーンでは主力になりえない領域なので、老いた方が自分にマッチして手頃なものを探そうとするとどうしても地元の通いなれたところに、という選択になるせいかと考えています。理髪店は大手がまだ大都市圏以外には大きく入り込んでおらず通販も効かず、かつ地元志向の継続ビジネスの権化のような存在なので。

そしてそれ以外は全部冠婚葬祭関連、特に「葬」絡み。自宅のふすま取っ払ったら20畳分くらい余裕で確保できるから葬式も法事も自宅でやっちゃうよ的な地域では盤石の強さを誇ります。
どこかのお寺の檀家で、お葬式や法事の際にはお坊さんだけ予約取って、仏具は全部自宅で準備し、当日には墓参用に生花を買い、香典返しや手土産をまとめ買いし、法事後には仕出し屋から料理を自宅に配達してもらい参列者に召し上がってもらう。
そういう風習が残る限り、そして利益点の限界以下にまで人口が減らない限りは大丈夫なのでしょう。

あとは大口かつ継続的な需要と結びついている店は強い。地域内の学校制服類を一手に引き受けている洋品店、学校・役所に納品している書店・文具店、役所のハンコ類の1年1度の受注で食っている印章店、葬儀会社と提携を結んでいる乾物屋。

私の地元四日市市はかつてジャスコの本店がありましたが、やはり今みたいに巨大化する前から制服販売には異常に強かったと聞きます。変形制服ではない「正規の制服」が地元スラングで「ビーカン」と呼ばれていたのは、A館・B館の2棟あったジャスコ本店のB館に制服売り場があったことに由来します。

しかし音楽にはそういう継続的な大口需要を期待することは難しく、やはりCD店は潰れるしかない。楽器屋メインの店の場合、学校で使用するリコーダーの大口受注やブラスバンドの楽器のメンテで食っているところもあるようですが、それも急激な少子化でキツくなっている。

ただ、小売店は概ねそんな感じですが、レーベルからしてみれば大口需要を見込める手段がひとつあります。本来的な意味とはやや異なりますが「タイアップ」。

たとえば地方の夜中に流れる企業CMなんかで「こんな無名な人の曲をこんな無名な企業のCMソングにしたところで何の相乗効果があるのか」と思えるようなタイアップが時折ありますが、最近ようやくその意味がわかりました。これは正確にはプロモーションとしての本来的なタイアップではなく、大口需要目当てのアクションとしてのタイアップだと。つうか要するに先日取引先の地方の中堅企業から自社CMソングのCDもらったんですよ。そういうことなんです。

企業が地元の代理店と話をして企業CMを作り、それにJ-POPっぽい人のCMソングを使用した場合、その企業が社員や取引先に配るために少なくとも数百枚単位で一括購入するわけです。
今の世の中無名なミュージシャンが数百枚を一気に捌くにはそれくらいしか方法はないし、レーベル側もそれで収支がクロになり、そういう事例がいくつかまとまれば十分に商いとして成り立つわけで。

要するにいかにも日本的なもてなし・贈答の文化が、地元商店街もレコードレーベルも生かし続ける共通のファクターになっているという、そんなまとめで終了。