もう少し世間が早く動いていたら「スラムダンク・キャラクターソングシリーズ Vo.1 桜木花道」とかがリリースされてオリコン5位とかになっていたのかと思うとものすごく居心地が悪い。

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iTunes Store日本オープンから1年ほどたった頃、戯れに「つボイノリオ」で検索したところ、新曲というか酷すぎてずっと未発表だった曲「インカ帝国の成立」が販売されていてゲラゲラ笑いながらダウンロードしたことを覚えています。インカ・クスコ帝国の印象的すぎる名前の初代皇帝の歌、要するに「金太の大冒険」のパターンをより豪速球にしただけというものすごく酷いシロモノなのですが、昨年リリースされた「つボイノリオ GOLDEN☆BEST」に遂に全国流通のCDに初収録されていたことに先日気づき、またゲラゲラ笑いながら購入しました。「インカ帝国の成立」iTunesリリースの約1年後、実際の歌詞には一切具体的な単語は含まれていないにも関わらず堂々の「EXPLICIT」マーク付きでリリースされた「雪の中のふたり」もこのCDに初収録。
普段売れ線J-POPを最低等と罵っている人はここらの曲を聴いたらいいと思う。本当に最低で劣悪な曲というのはこういう曲のことです。

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チャットモンチー / 変身 (Album)

ここまでわかりやすい過渡期もなかなかないんだけど、ここまで確信的に堂々とした過渡期も他にない。素晴らしくポップではあるんだけど、でも存在から行なっている試みから出ている音から全てがオルタナティブ。「傑作」とは言いようがない歪な風体ではあるんだけど、でもものすごくいいアルバムでもある。ものすごく不思議な感触。
夏フェス期のライブのオープニングだった割れたキーボードの楽曲はアルバムでは本編オーラス的な位置づけで"ウタタネ"として収録されてるんだけど、置かれた位置でここまで曲の印象が変わるんだという驚きも。
奥田民生プロデュースの楽曲はアルバム内で実にいい塩梅にルーズな空気でアクセントになり、アジカンごっちプロデュース楽曲はまさかのギターレスで逆に一番凛とした冷たい空気。それでも全体的にはこれまでの3人組の時と全く違う2人の存在感が異常なほど。ライブ見たときに友人が「魔法かかってるね」という感想をくれたのですが、まったく同感。その魔法はアルバムにも継続中。
ドラムはまあ当然のように概ねドタンバタンしていてお世辞にも上手いとは言えないのですが、逆にこのアルバムではこういうドラムしかありえないだろうとまで思わせるハマりっぷり。こういう音を聴くと、「技術を評価の前提としない音楽」をこれまで聴き続けてきて本当によかったなあと思います。