先日秋葉原に行ったら何か赤黒に塗装された小屋のようなものができていて、その入口前に十数人の行列ができていたので何ぞこれと思って帰って調べてみたらこれでした。時折CMで見る謎の忍者風2人組が大量増殖して束アイドル化。ラモーンズ芸名の適当さ加減からも、もう乗っかれるもんにはとりあえず乗っかってしまえ的な精神的ワイルドさが感じられます。

AKB48の発明は「常設の箱付き」という概念なわけですが、先日始まったつんくのプライドをかなぐり捨てたフォロワー企画「バックステージPASS」もさることながら、でんぱ組.incや先日のこれとか、徐々にこういう形が本格的に業界の流行になってまいりました。ある程度の初期資本投下が必要なので、それだけお金持ちが入ってきているということなのでしょうし、まあ稼げるうちにやっちまえとは思うのですが、うまく回らなかった場合「箱の撤収」という形でわかりやすくその惨敗が目に見えますので、気をつけていただきたいと思います。

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Galileo Galilei / PORTAL (Album)

化けた。大化けだ。
前作が良くも悪くも「きれいにパッケージされた商品」という言葉以外に形容しにくいアルバムだったのと比較すると、もう別次元。

1曲目"Imaginary Friends"を聴いた時の既聴感の理由をぼんやり考えていたら羅針盤に行き当たった。山本精一氏のバンドの。まだあそこまで達観してはいないけれど、明らかにそっちの感覚に向かっている音。ちょうどジャケット写真のように淡々とした、でも繊細に丁寧に作り込んだことがわかる職人芸のようなアルバム。20歳そこそこの若いバンドが何でそんなところに足を突っ込めるんだろう。まあ、派手なインパクトは面白いくらい皆無なので、帯のコピーに「遊び心満載のセカンドアルバム」としか書けないのは仕方ない。

彼らは北海道の稚内出身で、デビューにあたって上京してきたものの、昨年春、ファーストアルバムのリリース後に稚内に戻り、ガレージを改造したスタジオでレコーディングを行なっているそうで。隔絶された環境下に身を置きひたすらスタジオに篭って試行錯誤を繰り返す生活。それはライブやその他の刺激や他のバンドとの交流も最小限になるということでもあり。それでも彼らはそれを選んで、結果この作品を出してきた。なんかすげえ。そうさせたソニーもすげえ。

前から言ってますが、2008年「閃光ライオット」出身の3バンドはそれぞれ違ってみんないい感じで。
ズットズレテルズ⇒OKAMOTO'Sはおよそ好き放題勝手にやれる環境で世界を無闇に広げている。ねごとはまるでジャンルレスな修行のような対バンをこなしまくることでずいずい吸収してスケールアップしている。そしてGalileo Galileiはそういう環境で実験と深堀りを繰り返して鉱脈を探り当ててみせた。それぞれがそれぞれのやり方できちんと答えを出しつつある。本当に頼もしい。

だからみんなにもっと聴いてもらって気に入ったら買ってほしいんだけど、そこがソニーのダメなところ。フル試聴できる環境皆無ですもの。ここだけ、本当に何とかしてほしい。とりあえず公式で40秒くらいつつ試聴できます。あと、以下はタイアップ関連でYouTubeに生き残ってる奴。ただここらよりアルバム曲の方がいいと思う。地味だけど。