Tokyo Idol Festival、出演者以外のところで。

今年はももクロは出ないんだ残念だな、とかちょっと思ったんだけど、当日に会場入って「こりゃ絶対無理だわ」と納得した。
今年はお台場のフジテレビ湾岸スタジオの建物をメインにした特設会場に変更したわけですが、メインステージはその大きなスタジオを丸々使った形。とはいえキャパ的には恵比寿リキッド以上渋谷AX未満くらい、つまり1500人入るか入らないかくらいでしかなく。要するにそれ以上を余裕で動員できるレベルのグループはそもそも呼んでしまうと、その時点で入れ替えが困難になったりとかで運営全体が破綻。
だから去年の出演者中では、この1年で爆上げしたももクロはどうあがいても今年は無理。今年の出演者でもぱすぽ☆アイドリング!!!は辛うじてセーフくらいのもんで。まさにショーケース的なフェスということになります。

で、ステージについては概ね楽しく見ていたのですが、それでも運営はかなり酷かった。

・会場までの誘導がダメ。
ゆりかもめテレコムセンター駅からであれば、駅前にブースも出ていたので流れでわかるっぽかったですが、りんかい線東京テレポート駅から行くともう全く何の掲示もなし。あれかな、と思う建物に近づいて人がたくさんいるのを見て、ああ間違いないとようやく判明する仕組み。紙の1枚も貼れないんすか。

・会場内の案内がダメ。
リストバンド交換所も遠目からではそこだとわからなかったし、どこにメインのステージがあるのかも最初はわからない。案内もほとんどない。パッと来てパッと見て、まさかそんな荷物搬入口の資材とかがガシガシ置いてあるその奥に入り口があるなんて気付かないよ。
物販がエレベーター昇って上の階というのもおかしい。客用には1台しかないエレベーターに行列して乗って上の階まで行ってようやく買える。しかも下の階には物販場所の案内ほとんどなし。「本当に欲しい人間以外絶対に買うなよ」と言われてるようでした。それでいいならいいんだけど、アイドルの物販がそれでいいわけがないと思うんだ。

・行列対応がダメ。
メイン会場のスタジオはさして広くないため、けっこうな頻度で入場制限がかかり、入れ替え待ちの行列ができるのですが、行列周囲にスタッフが誰もいないことがしばしば。搬入口奥に2箇所あるスタジオのどちらの行列なのか、どこが列の最後尾なのか、尋ねる人がいないので並んでいる人が聞き合って確認している始末。
しげく入場制限に引っかかったであろうアイドリング!!!ヲタが「何で誰もいないんだよ!」とブチギレて叫んでいた。気持ちはすごくよくわかる。

・会場内のセッティングがダメ。
メインステージの仕切りが、チケット売り場の行列用とかで使われるような軽いプラスチック製の柵。しかも1日目には足の部分をテープ止めすらしてなかった。それで入場制限かかるような動員でフロアがミチミチのときに「柵がずれるので前に出ないでください! 下がってください!」ってそんなんずれるの当たり前やろ。ライブ用の金属柵くらいはせめて用意しなはれよ。
しかも、そんな柵なのにセキュリティ系のスタッフはステージ周りにほとんどおらず、柵に昇ったりする奴が現れてもそばにいたのは撮影系のスタッフなのでしょう、目の前でやってても注意すらしない。もうメチャクチャ。

・ライブの音響がダメ。
本番でオケが流れてから音量が大きすぎて慌てて小さくするとか、歌い出してからマイク音量が小さすぎて慌てて大きくするとかが日常茶飯事。普通のフェス見てる身としてはありえない。まあ、各ステージ前にサウンドチェックを一切してないんだからそうなるのも当たり前なんだけど。
あと、女の子たちが歌っている途中に突然オケの音が止まるというのを2回見た。それってこういうのではしょっちゅうあることなの? ちょっと考えられない。


とにかくスタッフが「絶対に言われた範囲のことを最低限しかやりません」と固く心に決めていたかのように臨機応変度が皆無。その割にはスタジオ内で次の出演者を座って待っていたら、全然混んでなくて余裕ある状態で新規入場者の流入もほとんどないときにも関わらずスタッフの一人が「ここは休憩所ではないので立ってください!」と大声上げながらフロアを歩き回る始末。そこがきみの注力するポイントか? あれは本気で頭おかしいと思った。

何でこんなことになってるのかなあとぼんやり考えたんだけど、このフェスはそもそもフジテレビの方が総合プロデューサーで、今回は完全に場所から機材から身内で固める形で実施したようで、たとえばステージ脇の装飾はよく見たら搬入荷物用のプラスチック製パレットを銀に着色して組み合わせただけだったり、撮影機材はまんまスタジオのテレビ用のものだったり、とにかくこれ専用に金をかけていないっぷりがすごかったのですが。

たぶんそんな感じでスタッフもまんまテレビの人脈で業務ごとに完全に縦割りで下請けを集めたために、このようなフェスとしての総合的な運用を理解している人がほとんどおらず、いつもの公開録画や局のイベントとほぼ同様の頭でしか考えられない状態。だから、カメラ周りの下請けは一番客に近いところにいるスタッフにも関わらずカメラ周りの業務しかできないし、会場整理の下請けは公開録画レベルの客捌きしかイメージできていないという状況で、結果、規模や観客の動線・行動が全く考慮されない、ホスピタリティの欠片もない運営になってしまったのだと想像します。

催しの意図は賛同できるし、ライブ観るのはすごく楽しかっただけに、なんかとても残念な感じ。
今回で反省点山ほど出ていると思いますので、改善して来年もお願いします。

ちなみに2日目の夕方は、メインステージでは白塗りでエクストラすぎる状態だったためにいまいち判断しきれなかった私立恵比寿中学の普通ヴァージョンを観るために、野外ステージの少し離れたところにいたのですが、周りに立っている人たちの雰囲気が何か違うなあと見渡したところ、どう見てもみにちあベアーズ及び私立恵比寿中学メンバーの親御さんの集団だった。スターダスト保護者会。ステージを見る目の真剣さが違うベクトルで凄まじいことになっていた。
一生懸命歌い踊るアイドル本人たちと、それを冷徹な目で観察している保護者軍団と、その実娘である年端もいかないメンバーの名前を連呼しながらジャンプしまくるいい大人が同時に視界に入る。あれはある意味ものすごく恐ろしい絵だったよ。