O.M.D.「The Punishment Of Luxury」のこと

Orchestral Manoeuvres In The Dark / The Punishment Of Luxury (Album)

このグループは、雑に分けると「ポップ馬鹿」マクラスキーと「実験馬鹿」ハンフリースのせめぎ合いによって名曲を生み出してきたわけでして、だからして1990年代マクラスキー1人時代のアルバムは嫌いではないのですが若干甘すぎに感じていて、2010年ハンフリース復帰による再結成の際のリードトラック「Sister Marie Says」を初めて聴いたときは「他人だったら絶対訴えられるけどこいつら自身が『エノラ・ゲイ』の張本人なのだから如何とも仕方がない」と思いながら爆笑したものです。

そこから7年、2013年のありえない邦題のアルバムを挟んでの復活後3作目のアルバムは、これまで以上にハンフリース色強め。もう今の世の中コラージュもサンプリングも実験とは呼べないのはわかってはいるけれど、それでもメロディに流れすぎない「攻め」の空気感に溢れていてグッときます。
ただどれだけインダストリアルっぽい音を使っても、クラフトワークっぽい音色で始まっても、キーボードのメロディラインが入った途端「うわー!OMDだ!」とわかってしまうこの強靭さは何なのでしょうか。「The Punishment of Luxury」なら22秒付近、「Isotype」なら53秒付近から始まるそれ。こういうところで他と差別化できることって考えてみたらとんでもない。
やっぱつくづくすごいグループだと思います。