2025年ブックオフオンライン年間ランキングのこと

日本一地獄度の高い年間ランキング、今年も発表されました。
ブックオフオンラインの年間ランキング、2025年。

ブックオフ公式オンラインストア 2025年 年間ランキング(CD)

全体的には例年恒例、20世紀の終わりころから21世紀の初め頃の、CDがやたら売れていた時期にリリースされたCDが、買われて売られてまた買われてをおよそ四半世紀の間繰り返してぐるぐる回っているだけのランキング。

昨年トップ2を占めた宇多田ヒカルがそのまま今年もワンツーですが、彼女の他の盤も軒並みランクアップしているところが今年最大のポイントです。

昨年の新ベスト盤「SCIENCE FICTION」がリマインドの役割を果たしたことが昨年のワンツーの理由であると推測しましたが、今年も綾鷹のCMに継続して出演したり、米津玄師とのデュエット等、昨年ほどではなくともそれなりに話題性のある活動をしていたということでしょうか。

そして、彼女の各盤は「人間宣言」以前のオリジナルアルバムでは「ULTRA BLUE」が90万枚止まり以外は全部ミリオンとかダブルミリオンとか700万枚とかで、以降の「Fantome」でも70万枚以上を売り上げているため、「世の中に存在している数」≒「中古市場に供給される数」ということで売ることができる数も多くある一方、「SCIENCE FICTION」は話題になったとはいえ、実売数は限定・通常合わせて約33万枚であり、価格は最近になっても、BOOKOFFで思い付いてふらっと買うには少し抵抗ある2000円台をキープしています。

1曲か数曲か聴きたいということであれば、その曲が入っていればいいわけで、概ね300円台で購入できる過去アルバムを選ぶのは当然です。

ただ今年は彼女以外にも、過去に一度もランクインしていなかった大黒摩季や浜崎あゆみが急に入ってきたり、椎名林檎の「無罪モラトリアム」が久々に入ったり、何故か例年よりも女性が活躍しているランキングですが、オリコンの方を確認してもそのアルバムの新品の販売数が目立って伸びているという様子は全くなく、これは何でなのかさっぱりわかりません。

一番わからないのは、特に目立つトピックがなくても、毎年ずっとランクインし続けているZARDですが。

NUANCE@横浜1000CLUBでのライブのこと

15日は横浜1000CLUBでちょくちょくのヌュアンス。

毎度の話ですが、楽曲がきちんと「よい音楽」である、振付や演出のセンスがよい、というあたりが気に入って2018年頃から継続的に観るようになったグループですが、オリジナルメンバーの頃はチームワークとは無縁の、よく言えばそれぞれが「孤高」の空気感を醸している謎のグループでもありました。悪くは言わないようにします。

それがオリジナルメンバーの残存が最後の1人の川井わかさんになった頃から「チーム感」が観測され始め、2024年の3月に彼女が卒業する頃には間違いなく「1チーム」としてのパフォーマンスを行えるようになりました。

以前のワンマンでは芸人をゲストに呼んだり演出に凝っていたりしたのですが、今年4月のワンマンではそういう演出一切なく、ワンマンの時の恒例であったバンドも置かず、ただひたすらに4人のパフォーマンスだけで場を作ることができていました。

今回も90分ノンストップ、始まってみれば今回も演出なしバンドなし、各メンバーの身体だけで引っ張っていく形でした。

で、前のライブを観た際に「よかったけど今後の伸びしろもある」ということを書いたのですが、本当に伸びた。圧倒的に伸びた。

というか、これまで彼女たちのライブについて書く際には、「前の彼女たちと比較して伸びた、変わった」という形で書いていたわけですが、今回については過去関係なく単体でこれを観たとしても「素晴らしいショー」だと思えるほどのレベルに。

過去のライブでは必須の「アゲ曲」だった「タイムマジックロンリー」も「セツナシンドローム」もセトリから外し、各メンバーのソロ曲も披露しながら、それでもメンバーの気迫が伝わるくらいの場のテンションに、ガンガン気持ちを持っていかれる。

ラスト前、「highlight」後半の爆発的なパフォーマンスには本気で鳥肌立ちました。

何でそこまで伸びたのか、「前との比較」で考えてみると、各メンバーの地力が確実に上がっています。

歌については「長」であるところの恭美さんが圧倒的だったのですが、彼女は相変わらず圧倒的にしても、他の3人の成長が著しい。特に最後に加入した桃子さんは正直割と歌については不安定な部分があったのですが、今回はソロ曲もよかったし、あと恭美さんと桃子さんの2声ユニゾンが「音」として大変に耳に心地いい。

振付についてもシンクロダンスのシンクロ率のレベルや、ばちっと決めた時の「圧」が、過去とは段違い。

伸びるとは思っていましたが、半年ちょっとでここまで行くのか。
考えてみれば、現体制になった2024年3月にわかさんが卒業したタイミングが本当のスタートラインだったのかもしれません。
まだ伸びるのか。楽しいぞこれは。

今回のライブはROAD TO ニューヨコハマと銘打ち、2年後に横浜アリーナでライブをするという、割と無茶な目標を掲げたのですが、このまま伸びればもしかしたらもしかするかもしれない。

どれだけ地下で評判になっても、オールドメディアでフックアップされなければ、アリーナレベルまで動員を伸ばした事例は過去にほぼない、というのが定説ではありますが、いろんな情報伝達手段も変わり続ける世の中、何があるかわからない。

とりあえず、もっと伸びろ。

それと、1000CLUBは見やすくて大変にいい箱なのですが、来年9月で閉館。
あと何回来れるでしょうか。

TV GIRL@神田スクエアホールのライブのこと

11日はTV GIRLの初来日公演。

言われてみれば今まで来たことなかった。
割とコンパクトなアジア太平洋ツアーのファイナルで、日本は東京のみですが、他の国もそれぞれ一発のみ。

11/21:ホノルル
11/27:マニラ
11/30:ジャカルタ
12/01:バンコク
12/03:シンガポール
12/07:香港
12/09:台北
12/11:東京

迷っているうちにチケットは完売になっていたのですが、友人から「Franz Ferdinandと被った」というメッセージが来たので、スマチケ転送してもらう。そういうのは神の思し召しと判断して可能な限り引き取る方針で生きています。

何か最近よく来ている気がする神田スクエアホール。
入場待ちの人たちを見てそのあまりの女性の多さにビビる。しかも若い子が多い。

最近になって10年以上前の楽曲「Lovers Rock」がTikTokでバズって、この来日公演の告知動画もTikTokに乗っかっていたようなのですが、そのせいか。
さすがLIVE NATION。

こういうユニットの場合、自分の中では音源の音をなぞるタイプより、完全に超高性能ダンスミュージックとしてフロアをブチ上げにかかるHot Chipや、浮遊感というかサイケデリアの祝祭と化してオーディエンス全員バカになるTame Impalaが非常に記憶に残っているので、そういう「音源からの飛躍」に期待をしていたのですが、そこは割と音源に忠実でした。

印象的なサンプルを曲のフックにしていることが多いので、そこから外して突っ走ったらその曲ではなくなってしまうから仕方ないのかな、と思いつつ、でもベースとドラムが生なだけあってグルーヴ感は恐ろしく強化されています。
Velvet Undergroundの「Femme Fatale」をドリーミングにカバーするなど、ちょっとした無茶もありましたが、全体的には堅実かつ誠実なライブという印象。

そして若い女の子が多いので、曲頭でその「印象的なサンプル」が鳴り響くと、ほぼ毎曲悲鳴に近い歓声が上がるのが、すごく面白い。結構な頻度でシンガロングも。
アンコールまで引っ張った「Lovers Rock」のあの弦のサンプルが鳴った瞬間の爆発は本当にすごかった。
そんなリアクション、一部のV系バンドといくつかのフェスで観たボーイズグループでしか見たことがない。
そしてこういうファンを多く持っているのであれば「音源をなぞる」タイプのライブが正解だと、理解しました。

でももし彼女たちがTikTok経由でTV Girlという存在を認知したとして、SNSでバズって跳ねる場合、その好意は「曲につく」ことが多く、そのままその1曲だけで途方に暮れてしまうミュージシャンも割と多い中、この会場にいる人たちは、曲を気に入った後、きちんとその音楽を鳴らしている「人につく」形で他の曲もきちんと聴き込んだうえで来ているということを、すごくいいと思いました。
洋楽でのこういう流れを、もっと作っていければいいのにと、素直に思います。

言うても自分はさすがにインスタやTikTokはほぼ触りませんが、XのTLに流れてきたのを聴いてみて、そのままライブのチケットを検索するということも1度や2度ではないので、まだ行けるはずです。
他の周りのおっさんおばさんにも、より頑張るよう促して行きたい所存です。

2025年のTSUTAYAの閉店は約70店舗だったこと

毎年恒例のTSUTAYAの閉店店舗数のカウント。
自分はCD販売/レンタルを主に観察しているので、以下にはCD/DVDの販売・レンタルをやめてただの書店になりました、というパターンも含めています。

ということで、2025年は約70店舗減、ということになりました。
2022年は約130店舗、2023年も約130店、2024年は約110店の減でしたので、随分と落ち着いたように見えますが、実際のところ正味DVDレンタルを行っているTSUTAYA店舗は現状で400切っています。
単に「母数がもうたいがい少ないので減少数もその分減っている」だけのことだと思います。

01/05:TSUTAYA 三木店(兵庫県三木市)
01/12:TSUTAYA 龍ヶ崎店(茨城県龍ケ崎市)
01/13:TSUTAYA 由利本荘店(秋田県由利本荘市)
01/13:蔦屋書店 佐久野沢店(長野県佐久市)
01/13:TSUTAYA AZ平井店(岡山県岡山市中区)
01/15:TSUTAYA 高屋店(岡山県岡山市中区)
01/26:蔦屋書店 伊勢崎平和町店(群馬県伊勢崎市)
01/26:HIRASEI遊 TSUTAYA 三条四日町店(新潟県三条市)
01/27:TSUTAYA 大森町駅前店(東京都大田区)

02/02:精文館書店 TSUTAYA 北本店(埼玉県北本市)
02/09:旭屋書店 志木店(CD取扱終了)(埼玉県志木市)
02/09:TSUTAYA 富谷大清水店(宮城県富谷市)
02/09:TSUTAYA 岡崎大樹寺店(愛知県岡崎市)
02/09:TSUTAYA 岡崎牧御堂店(愛知県岡崎市)
02/09:TSUTAYA 藤原店(愛媛県松山市)
02/11:蔦屋書店 伊勢崎宮子店(群馬県伊勢崎市)
02/11:TSUTAYA 古新田店(岡山県岡山市南区)
02/24:蔦屋書店 南大沢店(東京都八王子市)
02/24:冨貴堂 豊岡店(北海道旭川市)
02/28:TSUTAYA 南郷13丁目店(北海道札幌市白石区)

03/09:TSUTAYA 江平店(宮崎県宮崎市)
03/16:TSUTAYA ジェームス山店(兵庫県神戸市垂水区)
03/16:TSUTAYA 西脇店(兵庫県西脇市)
03/20:平和書店 TSUTAYA 小倉店(京都府宇治市)
03/30:蔦屋書店 熊谷店(埼玉県熊谷市)
03/30:TSUTAYA 津田沼店(千葉県習志野市)
03/31:TSUTAYA 皆実町店(広島県広島市南区)

04/06:蔦屋書店 横越バイパス店 メディア館(新潟県新潟市江南区)
04/15:TSUTAYA 宇都宮インターパーク店(CD取扱終了)(栃木県宇都宮市)

05/06:TSUTAYA 木野店(北海道河東郡音更町)
05/07:TSUTAYA 倉吉店(鳥取県倉吉市)
05/11:TSUTAYA 高階店(埼玉県川越市)
05/11:WonderGOO TSUTAYA 富里店(TSUTAYAのみ終了)(千葉県富里市)

06/08:TSUTAYA 大崎古川店(宮城県大崎市)
06/15:HIRASEI遊 TSUTAYA 白根店(新潟県新潟市南区)
06/15:TSUTAYA 菊池店(熊本県菊池市)
06/18:TSUTAYA イオンタウン弥富店(愛知県弥富市)
06/22:TSUTAYA WAY 福崎店(兵庫県神崎郡福崎町)
06/29:TSUTAYA 松戸駅前店(千葉県松戸市)
06/29:TSUTAYA AVクラブ 近見店(熊本県熊本市南区)
06/30:TSUTAYA JR中野駅前店(東京都中野区)

07/06:TSUTAYA 浦安さくら通り店(千葉県浦安市)
07/06:蔦屋書店 青葉奈良店(神奈川県横浜市青葉区)
07/13:TSUTAYA ブックセンター名豊緑店(愛知県名古屋市緑区)
07/21:TSUTAYA 苫小牧店(北海道苫小牧市)

08/11:TSUTAYA 行徳店(千葉県市川市)
08/11:TSUTAYA 東広島店(広島県東広島市)
08/17:TSUTAYA 深江店(大阪府大阪市東成区)
08/17:TSUTAYA 高岡店(高知県土佐市)
08/20:TSUTAYA 総社東店(岡山県総社市)
08/31:TSUTAYA 八潮店(埼玉県八潮市)
08/31:TSUTAYA 昭島店(東京都昭島市)
08/31:TSUTAYA 篠山店(兵庫県丹波篠山市)
08/31:TSUTAYA 野市店(高知県香南市)

09/07:TSUTAYA 中野店(秋田県秋田市)
09/21:うさぎやTSUTAYA 矢板店(レンタル終了)
09/21:TSUTAYA 堺南店(大阪府堺市堺区)

10/11:TSUTAYA AVクラブ 神松寺店(福岡県福岡市城南区)
10/13:TSUTAYA 江木店(群馬県高崎市)
10/13:TSUTAYA 春日部店(埼玉県春日部市)
10/13:TSUTAYA 甲府荒川店(山梨県甲府市)
10/13:TSUTAYA 琴平店(熊本県熊本市中央区)
10/31:TSUTAYA 伊万里店(佐賀県伊万里市)

11/03:TSUTAYA 青森中央店(青森県青森市)
11/09:TSUTAYA 上越インター店(新潟県上越市)
11/30:TSUTAYA 村岡店(神奈川県藤沢市)

12/28:TSUTAYA 静岡西脇店(静岡県静岡市駿河区)
12/28:TSUTAYA 天美店(大阪府松原市)
12/31:TSUTAYA 浜松中央店(静岡県浜松市中央区)

(TSUTAYA 青森中央店)

2025年もバリバリ店を畳んでいたのですが、9月以降多少落ち着いた感。
正味、「畳むべき店を相当畳み終わった」感じもします。

ここまで減ってくると、完全な空白地域も生じてきます。
3月16日のジェームス山店の閉店によって、神戸市からTSUTAYA消滅。
政令指定都市からレンタルできるTSUTAYAが消滅したのは京都市に続いて2市め。

10月13日の甲府荒川店の閉店で、甲府市からTSUTAYAが消滅しました。というか山梨県に残るTSUTAYAは南アルプス市の店舗1軒のみになりました。

11月3日の青森中央店の閉店で、青森市からもTSUTAYAが消滅しましたが、青森県の場合は
下手したら日本一巨大なTSUTAYAではないかと思われる弘前店や、その他主要都市の5店舗にまだレンタル・販売のいずれかもしくは両方が残っています。
そこらのあたりを全体的に見てみます。

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<県庁所在地で「DVDレンタルできるTSUTAYAが消滅した」都市>
・青森市
・甲府市
・岐阜市(BOOKSTOREはあり)
・津市
・京都市(蔦屋書店等はあり)
・神戸市(BOOKSTOREはあり)
・奈良市(蔦屋書店はあり)
・鳥取市
・松江市

<「DVDレンタルできるTSUTAYAが消滅した」都道府県>
・京都府(蔦屋書店等はあり)

<「DVDレンタルできるTSUTAYAが1店舗しかない」都道府県>
・山形県(TSUTAYA 久保田店)
・山梨県(TSUTAYA 南アルプスガーデン店)
・岐阜県(草叢BOOKS 各務原店)1/4終了
・島根県(出雲店)
・山口県(山口葵店)

ーーーーー
<県庁所在地で「CDレンタルできるTSUTAYAが消滅した」都市>
・青森市
・甲府市
・岐阜市(BOOKSTOREはあり)
・津市
・京都市(蔦屋書店等はあり)
・神戸市(BOOKSTOREはあり)
・奈良市(蔦屋書店はあり)
・鳥取市
・松江市
・山口市(DVDレンタルはあり)
・長崎市(DVDレンタルはあり)

<「CDレンタルできるTSUTAYAが消滅した」都道府県>
・京都府(蔦屋書店等あり)
・山口県(DVDレンタルはあり)

<「CDレンタルできるTSUTAYAが1店舗しかない」都道府県>
・山形県(TSUTAYA 久保田店)
・山梨県(TSUTAYA 南アルプスガーデン店)
・岐阜県(草叢BOOKS 各務原店)
・島根県(出雲店)
・徳島県(田宮店)
・高知県(御座店)
・沖縄県(小禄店)

TSUTAYAのレンタルがない各府県も、まだゲオ他はあるのでレンタルそのものがなくなったわけではないのですが、全国の店舗数をカウントすると、DVDレンタルはTSUTAYAが371店、ゲオは878店。CDレンタルはTSUTAYAが264店、ゲオ382店。

今年の初めにCDレンタル取扱い店の数が全国合計で1000を切ったことを確認したのですが、この1年でもう650を切っています。

とはいえ、ここらへんの観察を始めたのが2010年頃からなのですが、その頃には「下手したら数年後には企業判断としてレンタルをばっさり切ることもあり得る」と考えていたので、正直すごく残っていると思います。

Beth Gibbons@すみだトリフォニーホールのライブのこと

12月2日は、Portisheadのシンガー、Beth Gibbonsのソロ来日公演。

Portishead全盛期は一度来日決定したものの中止。
昨年リリースされた初めての完全ソロ名義のアルバムがえらくよかったのですが、その年のフジロックに出演したもののそれだけのために苗場に行くという判断がお金のこともあってできず、今回の来日が発表された際もお金のことで一瞬迷いまして、でも会場がすみだトリフォニーホールと聞いて即決。

新日本フィルが拠点として使用するなど、主にクラシックの公演に使われるホールでやるとなれば、このアルバムのあの音をそういう音響で聴ける。あわよくばPortisheadの楽曲もそれで、と考えたら行かない判断などできません。

会場に入ってみるといかにもクラシックで使っている感じのホールで、実際音が出てみたら、下手したら普通のライブより全体の出音のボリュームは控え目なくらいのですが、分離と残響のキレが抜群にいい。そしてそういう音が彼女とバンドの出す声と音に抜群に合う。やったぞSMASH。

中央にBeth、後ろに上手からパーカション、キーボード、ドラマーが並び、Bethの横の上手側に主に弦と管をとっかえひっかえ演奏する2人、下手側にギターとベースを主に演奏する2人(ただし特に前の4人は曲毎にいろんな楽器を演奏)、という8人編成。

全体的なトーンとしてはアルバムの通り淡々と進むのですが、アルバムの中のそれなりだったはずの「静と動」が、もうとんでもないレベル。爆発的なダイナミズム。
まさかこのアルバムの音で「うおー!」という気持ちになるとは思わなかった。

音源からのダイナミズムの飛躍、という意味ではSigur Rosのライブを初めて観た時の感覚に近いかもしれない。つまり最高ですよ。

ということでセトリは以下の通り。

01.Tell Me Who You Are Today
02.Burden Of Life
03.Floating On A Moment
04.Rewind
05.For Sale
06.Mysterious(R)
07.Lost Changes
08.Oceans
09.Tom The Model(R)
10.Beyond The Sun
11.Whispering Love

EN1.Roads(P)
EN2.Glory Box(P)
EN3.Reaching Out

昨年の完全ソロ名義としては初のアルバム「Lives Outgrown」から全曲10曲、2001年のRustin Man(Paul Webb)との共同アルバムから2曲(R)、Portisheadからアンコールに2曲。
80分程度の短いライブでしたが、もうそれは濃密な時間でした。
というか、Portisheadを初めて聴いた時の「何だこれは!?」感を思えば、そこから約四半世紀を経て生で「Glory Box」聴けるとは思っていませんでした。つまり最高ですよ。

我々も含めて大変に盛り上がり、演奏はじっくり聴くものの各曲の終わりで盛んに拍手し声を上げる。日本ではそういうのを期待してなかったのか、前日がどんな感じだったかはわかりませんが、Bethは何か驚いたように笑いながら両手を広げ、ライブが終わった時にはもう満面の笑みで、普通にキュートなお姉さんだったところも大変によかったです。

終わった後の感覚は、もう少ししっとりした「幽玄」っぽい気持ちになるかと思っていたのですが、ライブ中は盛んに「うおー!」となっていたので、結局気持ち的には「すごくいいライブを観た」後のあのほくほくした感じでした。


で、今回のソロアルバムの音源を聴いて思っていたのは、トーンはあまり変わらなくとも「Portishead」的な音作りをできるだけ排しているな、ということでした。

打楽器は多彩に使用していてもPortishead的なあの特徴的なスネア音は一切聞こえてこなくて、だから今回のライブでもしPortishead楽曲をやる時にはどうするのだろう、というのは地味な興味のひとつでした。

そしてアンコール、ああ間違いなくあのスネア音が聞こえる。曲構成としては音源に近い。
で、ステージをよく見るとそのスネアを叩いているのはドラマーではなくパーカッションっぽい。

「Beth Gibbons」のライブなのだからドラムセットとしてはスネア置かんという意志の結果なのか、ダブ的なマナーとしてそういうこともあるのか、何となくそうなったのか。
よくわかりませんが、状況としてそういうのも何となく楽しい。いろいろ楽しい。

ということで、今年1-2を争うレベルの、「すげえものを観た」と心から思えたライブでした。


そしてすみだトリフォニーホール、一歩出たらアホみたいに飲み屋が並んでいる立地なの、大変にありがたい。
ホール出て数歩歩いて道渡った途端におでん屋に吸い込まれました。最高です。

The Pale Fountains「The Complete Virgin Years」のこと

The Pale Fountainsが大好きです。

初めて彼らに触れたのは、東海地区のテレビで時々流れていたバナナレコードのCM。
マーク・ボランのポートレイト(確かT.REX「The Slider」のジャケ写)が画面に映ってそのバックに何故か「Palm Of My Hand」のイントロが流れるという謎のCMで、その時は誰の曲か知らないまま聞いていました。

大学進学のために関西に引っ越すと、確か読売テレビに不定期に深夜の映画枠があり、それをしょっちゅう観ていたのですが、その枠のテーマ曲が「Bruised Arcade」で、特撮映画を特集した時にはゴジラとかが口から何がしか吐いている映像のバックに流れているのが随分と奇妙だったことを覚えています。

オリジナル・アルバムは2枚、CD化も割と早かったのでさくっと聴けたのですが、アルバム未収録のシングルも多く、そこらへんは中古屋でも割高で困っていたのですが、1999年の「Pacific Street」のリマスター再発の際に、アルバムのボーナストラックとして相当が収録されました。

収録されなかったのは、Virgin所属前のシングル1枚と、2ndアルバムからのシングル2枚分。
初期シングルは如何ともし難いとしても、2nd分はCD化してほしいなと当時少し思い、四半世紀経ってそう思ったこともとうに忘れた頃にいきなり「コンプリート音源集が出まっせ」の報。

とはいえCD4枚分も音源ないやろと思いながらトラックリストを見てみると、知らないタイトルがずらりと並んでいまして、そりゃ未発表音源とあらば買わんわけにはいかんと勇んで購入した次第です。

「The Complete Virgin Years」
CD1:アルバム「Pacific Street」と1stアルバムとそれ以前のシングル音源
CD2:「Pacific Street」制作時のラフ・ミックス
CD3:アルバム「…From Across The Kitchen Table」
CD4:「…From Across The Kitchen Table」からのシングル音源と、デモ音源

で、既初音源はきちんとコンプリートされているんか、という点。

Album
・Pacific Street (Disc1:1-11)
・…From Across The Kitchen Table (Disc3:1-12)

Single
・Thank You
 A:Thank You (Disc1:12)
 B:Meadow Of Love (Disc1:13)
 12INCH:(There's Always) Something On My Mind (Remix) (Disc1:14)

・Palm Of My Hand
 A:Palm Of My Hand (Disc1:15)
 B:Love's A Beautiful Place (Disc1:17)
 12INCH:Palm Of My Hand (Instrumental) (Disc1:16)

・Unless
 A:Unless (アルバム収録)
 B:Natural (アルバム収録)
12INCH:Unless (Extended Version) (Disc1:18)

・(Don't Let Your Love) Start A War
 A:(Don't Let Your Love) Start A War (アルバム収録)
 B:Love Situation (Disc1:20)
 12INCH:(Don't Let Your Love) Start a War (Extended Version)(Disc1:19)

・Jean's Not Happening
 A:Jean's Not Happening (アルバム収録)
 B:Bicycle Thieves (Disc4:2)

・…From Across The Kitchen Table
 A:…From Across The Kitchen Table (アルバム収録)
 B:Bicycle Thieves (Remix) (Disc4:2)
 12INCH:…From Across The Kitchen Table (Extended Version) (Disc4:1)
 12INCH:Thank You (Remix) (Disc4:4)
 LIMITED7:Just A Girl (Remix) (Disc4:3)

うん。全部入っている。
「Jean's Not Happening」のシングルの一部フォーマットにアルバムと少し異なるVer.があるという話は聞いたことがあるのですが、それはなかったです。

問題はCD2とCD4ですよ。
もうこれが楽しい。頭から終わりまで全く聴いたことがない曲もあれば、こっちの曲のイントロが、別の曲の間奏としてぶっこまれたりした結果、そのどっちでもないタイトルの「Reach」になったんだな、とか。

彼らは60年代のバンドLove及びArthur Lee の影響下にあるのですが、Loveの楽曲「7 And 7 Is」をもろにカバーしていて胸が熱くなったり。

ということで、1998年に出た未発表音源中心のコンピ盤「Longshot For Your Love」、2013年に出たVirgin所属前のの音源&ライブ盤「Something On My Mind」と今回のこの4枚組で、The Pale Fountainsとして残した音源はおよそ世に出たということでいいでしょうか。

とはいえ、フロントマンのMichael Headは現在も現役バリバリというか、Michael Head & The Red Elastic Bandとしてリリースした2022年のアルバムで、デビュー40年にして全英チャート6位というキャリアハイを叩き出し、来日公演も行っています。大変によかったです。

まだ当面彼の書くメロディは新しいの出てきますので、そっちも楽しく聴くことにします。

映画「DEPECHE MODE:M」のこと

11月26日は、DEPECHE MODEのライブ映画「DEPECHE MODE:M」の一夜限定全国上映。

DEPECHE MODEは1990年以降来日公演はなく、時を経るにつれて海外では巨大スタジアムが当たり前クラスのバンドになる一方、日本ではさして盛り上がることなくここまで来て、もう今後来日公演を観る機会はないだろうと思っているし、「MEMENTO MORI」ツアーも、イタリアまで観に行く豪胆な友人はいましたが、私はそこまで腹を据えられず。

だからこの映画には期待していたのです。
しかし。世界では10月28日から限定で上映されたものですが、映画の公式サイトがオープンした際にそこで上映館を見てみたところ日本での上映予定はなく、ライブはおろか映画すらスルーかよ、と落胆したのですが。
その後超限定で上映が行われることが決まりまして。

正確には10月28日の世界封切日に品川でプレミア上映会、11月19日には同じく品川でIMAX上映+石野卓球と山崎洋一郎のアフタートーク。そして26日19時から全国14館で上映されるという流れ。

東京では品川の他に亀有での上映があったので、そっちの方でチケット入手。
3600円。「映画」と思うと割高ですが、「本来観られないライブをパブリックビューイングで観るようなものである」と思えば安い。そう思うのだ。

会場に入るとおよそ満員に近い。でもMOVIX亀有のシアター4は172席ですから。
こちらは先行抽選受付ぶっこんで当たったのですが、その後気になって見てみたら、3日前の段階でまだチケット買える状況でしたので、やっぱり来日公演は無理だなと思いました。

ライブでは、デイヴが歳を全く感じさせない、踊ったりポーズを決めまくったりのパフォーマンスと、見た目や動きにはそれなりに歳を感じさせつつも変わらない抜群の美声をかましてくるマーティン。
ただ、映画は純粋なライブ・フィルムではなく、メキシコ公演にあたっての「死者の日」の話であるとか、ファンや周辺人物の声とイメージ映像をモノローグ的に挟みながら進みます。

正直最初の方はそんな映像いらんから純粋にライブだけ見せてくれんかなあと思いつつ、途中で声を上げたり立ち上がりたくなったりをこらえつつだったのですが、でも徐々にわかってきました。

「死者の日」という祝祭日を持つメキシコでの公演で、喪に伏せるのではなくその祭りのように歌い踊って故人を偲ぶ。

アンディ・フレッチャーの写真と共に披露された「World In My Eyes」を観た時、全部繋がりました。これ、この映画全部がフレッチへの追悼じゃないですか。
世界上映開始、そして日本でのプレミア上映日は10月28日。
これも「死者の日」が11月1日と2日であることを考えれば、当然そのタイミングに合わせたということで。

そもそも最新作「Memento Mori」が、そのタイトルからしてそういうことだったわけなんですけど、それを文字通り可視化した作品。
まさに彼らなりの「死者の日」でした。


それにしてもDepeche Modeのこの映画がこの日限定14館で上映。
「ROLLING STONES AT THE MAX」は12月10日-11日の2日間、IMAX61館。
前日観たPRINCEの「SIGN 'O' THE TIMES」は1週間、IMAX61館。

ここらへん、他の映画の都合もあるだろうけど、どういうふうに決めているのか正直よくわからない。

さだまさし@東京国際フォーラムのこと

ここ何年か、「観られるうちに観ておけ」という方針のもと、ベテランミュージシャンのコンサートに積極的に参加しようという試みを行っております。

60年代、70年代から一線で活躍しているミュージシャンの方々もお年を召され、いつ「引退します」と言い出してもおかしくない状況。
その方針でもって観たミュージシャンの中でも、井上陽水は何も言わずに一線から退き、萩原健一は鬼籍に入ってしまいました。

で、そういう方針を実施するにあたっての理由のひとつに「さだまさしのコンサートは一度は観ておかないといかんね」という飲み屋での話がありまして。

さだまさしはコンサートでのMCというかトークがものすごい、という話は前々から有名なところではあり、何となれば「トークのベスト盤」「トークだけのBOXセット」までリリースされ、正規公演でないとはいえ、「トークだけのライブ」まで開催する始末。
それを一度でも実際に体験してみたいという気持ちで。

ただ、彼のコンサートはなかなかチケットが取れないことでも有名で、何度も涙を飲んで今回ようやく、22日有楽町の国際フォーラムで開催のコンサートに。

今年リリースされたアルバム「生命の樹~Tree of Life~」に伴ってのツアーの一環、そのアルバムにはグレープ名義の曲も3曲収録されていることもあって、吉田正美も帯同しているという素敵状態。

アルバムツアーなので新曲多め、かつ全体的にもコンセプチュアルな選曲だったこともあって、所謂ヒット曲は少なめでしたが、それでもここぞというところで有名曲が出てきたり、吉田さんがちょいちょい入ったり出たりしてグレープのヒット曲をやってくれるので、満足度めちゃくちゃ高い。

そしてトーク。
吉田氏との気の置けないくだけた感じの会話や、バックバンドのメンバーを弄りつつ笑いに持っていくコーナーも素晴らしかったのですが、やはり長尺の一人語りがすごい。3人分の会話を一人で少しずつ声色を変えながらテンポよく転がしていくのはもう完全に落語のスキル。

コンサートは3時間弱の割と長丁場だったのですが、メドレー的に披露された曲を別にカウントしても全18曲、それだけトークに時間を割いていたということで。

実際、長尺のトークが終わって曲に入ったところでトイレに立つ方もいらっしゃって、何を最大の楽しみにして来ているのかも人それぞれという、他になかなか見ない状況。

全体通して、歌い、ギターを弾き、バイオリンも弾き、語り、笑いを取り、グッとくる話もする。
もう様々なエンターテインメントをパッケージした完璧な「ショー」です。

きっとずっとこういう感じなのでしょうから、「あの曲を生で聴きたい」で来られる方も、「今回はどんな面白い話をしてくれるのか」で来られる方もいて、トークの途中に「グレープの頃からコンサートに来られている方」に拍手を求めたところ、びっくりするくらいの数の人が拍手されていたので、半世紀にわたって魅了され続けている人もいる。
そりゃチケットなかなか取れんですわ。


あと、他の昔から活躍されているミュージシャン、矢沢永吉や小田和正は大都市の割と大きな箱に大勢を集める形のライブに移行していますが、昔ながらの「地方のホールを細かく回る」形のコンサートツアーは、年齢という点でもしんどくなっていると思います。
で、体調崩して以降ツアーと言えども関東近郊しか回らなくなり、2022年には自身の音楽活動を終えた吉田拓郎のような方もいらっしゃったり。

そんな中、今回のさださんのツアーは、5月から12月の7ヶ月で38か所42公演という、割としっかり地方のホールも回るツアー。

彼に近しい方々を確認すると、ユーミン(71)が先日リリースされたアルバムに伴うツアーが13か月に渡って全62公演、THE ALFEEは22公演と数は少なめですが3か月足らずでツアーしていて、本当にベテラン勢の凄さがわかります。

さださんの場合、このツアーをこなしたうえで、時折ツアーで訪れた地方都市のNHKで、コンサート終了後深夜まで番組したりしていますので、本気でモンスタークラス。

吉田氏とのトークで「あと10年やる」みたいなことを話していましたが、割と普通にしれっとやっている気がします。恐ろしい。


「観られるうちに観ておけ」の方針はこれからも続けようと思うのですが、そろそろ自分の方も気にしなければいけないお年頃になってまいりました。頑張ります。

第76回紅白歌合戦の出場歌手のこと

第76回紅白歌合戦の出場者が出たので。

毎年言っていますが、もう「老若男女が知っているヒット曲」など今の日本にはほとんどなく、みんなが納得する出場者の選出などできるはずもない、NHKだってかなり多くの層に「知らん歌手を出すな」と思われることは重々承知であろう世の中の状況下で、それでも何とか腑に落ちる人を最大化しようとしている、その結果ということは前提として。

「演歌」「ニューミュージックからJ-POP初期」「それ以降のJ-POP」「女性アイドル系」「男性アイドル系」「ネット発」「アニメ発」あたりを枠として意識しつつ、断わられることもありつつできる限りの結果だと思います。


今回の第一弾の発表は昨年と比較して「若い方に寄せてきた」印象。特に紅組。
昨年厚めだった「ニューミュージックからJ-POP初期」のあたりが減り、その分若者が増えました。


意外だったのはKAWAII LAB.からは出られて1組、もしくは「連合」の形でメドレーもありえるか、と予想していたのですが2組選出された点。

NEW KAWAII系楽曲で現在最も一般認知が高いのは、CUTIE STREETの「かわいいだけじゃだめですか?」ではないかとも思うのですが、CUTIE STREETはデビュー曲がいきなり当たった形のため、そこは恐らく事務所の先輩後輩関係で決まった2組ではないかと思います。

昨年まで出場していたJO1も、セールスだけ見る限りでは後輩のINIの方が売り上げ枚数は多いのですが、先輩として出場していたということもありますので。


そのJO1が出場していないのは、メンバーの1人がオンラインカジノに絡んでしまって、活動休止している点が響いているのは間違いないと思います。

それでPRODUCE101系が一旦引いたところににすかさず入ってきたHYBE系の&TEAMは、売上的にも問題ないわけですが、テレビでのメンバー認知度アップも影響していると思います。あとNHK的には、来年以降のBTS活動本格再開に向けての布石もあるのではないか、という下衆の勘繰りと。


旧ジャニーズのSTARTO社所属グループが復活したこともポイント。
さすがにグイグイ来ているSnow Man/SixTonesではありませんが、2人体制King & Princeが出場することで、2022年以来の旧ジャニーズからの出場になると共に、その2022年に出場していた5人体制のキンプリのうち3人は既に去年からTOBE社に移籍してNumber_iとして出場していますので、別グループとしてではあっても「あの時の5人」が再び揃って紅白に出場するという、割とエモい状況ではあります。


ハンバートハンバートは朝ドラ主題歌なので妥当ではありますが、主題歌への起用が発表された8月まで、彼らが紅白に出ることを予想できていた人は皆無だったと思います。

というか、朝ドラ主題歌はここまで長年の間、ベテラン勢を、健在を示す&NHK的にはその後の紅白への展開を期待して起用するパターンがほとんどだったと思うのですが、それでも出てくれる人はもとより出てくれるし、出てくれない人は起用しても出てくれないことが多かったので、方針転換という感じなのでしょうか。
彼らのようなグループが今後もフックアップされるのであれば、大歓迎です。


古めの方ではTUBEはデビュー40周年、岩崎宏美はデビュー50周年。
久保田利伸は正式には来年デビュー40周年ですが、この9月に40周年記念ベスト盤を出して既にアニバーサリーイヤー突入中。

ORANGE RANGEは今年からレーベルをソニーに戻し、過去作のSNS展開による掘り起しが成功したことで、懐かし枠&SNS枠の双方を押さえられる貴重な存在と言えます。


演歌で衝撃的だったのは山内惠介が外れたこと。
今年のこれまでの男性演歌・歌謡曲歌手の売上は以下のような感じ。

SHOW-WA & MATSURI/僕らの口笛(11.7万枚)
新浜レオン/Fun!Fun!Fun!(9.0万枚)
辰巳ゆうと/運命の夏(7.8万枚)
山内惠介/北の断崖(6.8万枚)
SHOW-WA/外せないピンキーリング(6.7万枚)
MATSURI/アガベの花(6.1万枚)
純烈/二人だけの秘密(4.6万枚)
風輪/天使と悪魔の愛し方(3.9万枚)
真田ナオキ/Nina(3.8万枚)
青山新/身勝手な女(2.2万枚)

三山ひろし/酒灯り(1.0万枚)

演歌の場合、ギリギリまで枠が減らされた結果、一度出場した方々から他の人に入れ替わる、所謂流動性が高くないのは止むを得ないとして、昨年B'z関連で関連事務所所属として出場できた新浜レオンが、昨年の紅白で大きく知名度を伸ばした結果として既存枠に食いこんだ様相ですが、その食い込みの結果飛ばされたのが山内さん。
山内惠介と三山ひろし、売上では正味これだけ違うのに。

アイドル的人気は山内さんの方が高いので、リクエスト系の値は確実に山内さんの方が高いし、カラオケ人気は昨年三山さんが相当高かったようですが、今年の楽曲のCD売上は昨年の曲に比較して今のところ半分ちょっと程度なので、その曲のカラオケ人気が突出しているということも考えにくい。

「けん玉」企画のためだとしたら、それは何か本末転倒な気もします。

SHOW-WAとMATSURIは、成り立ち上どちらか片方だけ出場ということはしにくいですし、「SHOW-WA & MATSURI」名義の楽曲をリリースしたのは、ニコイチの形でも出場できるように対策したと考えることもできますが、正味その人気を牽引したのがあまりにもフジテレビに偏っているためではないか、とも思います。


で、今回の発表は紅組20、白組17ということで、この後の追加発表は当然ありえる状況。
恐らく目玉はこれからです。慌てずに行きましょう。

甲斐バンド@日本武道館のライブのこと

11月8日は日本武道館で甲斐バンド50周年ライブ。
断続的にやっている「ベテランのライブは観られるうちに観ておけ」シリーズの一環。

甲斐バンドを最初に認識したのがいつだったか、正直よく覚えていません。
ただ、大人になって聴きなおした際、「俺この曲聴いたことがある」と思った曲が山ほどあったことを覚えています。

小学校高学年から高校生まではひたすらラジオを聴いていたので、きっとその時に触れたのだろうと思うのですが、聴きなおした際に思ったのが異常なメロディの強さ。

甲斐バンドのメロディの強さは2種類あって、シングルヒットした「HERO」「安奈」「ビューティフル・エネルギー」のように猛烈にサビが強いヤツと、「裏切りの町角」「テレフォン・ノイローゼ」「漂泊者(アウトロー)」のような「これはAメロなのかサビなのか」「次に来たこれが本当のサビなのかそうでないのか」よくわからない、しかしとにかく曲全体通してメロディが強いヤツ。

前者の大ヒット曲はさすがにどこかで聴いたであろうことはわかるのですが、後者を聴いた時の「この曲、いつどこでかは全く覚えていないが絶対聴いたことがある」感がすごくて。それだけ強い、必ずしも美しいものではなくとも、やけにキャッチーで耳に残るメロディであったからこそではないかと思います。

甲斐バンドは1986年にいったん解散、それ以降は割と散発的な再集結なのでなかなかライブに行けなかったのですが、今回の武道館については運よくチケット発売日前に情報を得ることができました。

会場内には「過去の日本武道館公演のセットリスト」がびっしり書かれたポスターがあちこちに貼ってありまして。

最初2回4公演の「きんぽげ」始まり「100万$ナイト」終わりという「パターン」が今回復活したら面白いけどそれはないか、みたいなことを友人と話しつつ、始まってみたらアルバム楽曲で過去のライブでは後半畳みかけの一翼を担っていたはずの「翼あるもの」始まり。
それは予想していなかった。

01.翼あるもの
02.三つ数えろ
03.キラーストリート
04.フェアリー(完全犯罪)
05.シーズン
06.東京の一夜
07.港からやって来た女
08.カーテン
09.Blue Letter
10.テレフォン・ノイローゼ
11.ビューティフル・エネルギー
12.安奈
13.裏切りの街角
14.黄昏に消えた
15.嵐の季節
16.氷のくちびる
17.ポップコーンをほおばって
18.冷血
19.漂泊者(アウトロー)
20.HERO(ヒーローになる時、それは今)

EN1
01.ダイナマイトが150屯
02.観覧車'82
03.ラヴ・マイナス・ゼロ

EN1
01.100万$ナイト

「HERO」で本編が終わった時にはさすがに「ラヴ・マイナス・ゼロ」でアンコール締め、ダブルアンコールで「100万$ナイト」という流れは予想でき、その通りだったので何か嬉しかったです。

通してセットリストを眺めると、ヒット曲や定番曲をただ並べただけではないことがわかります。
事前にMy Best 3を募ってそれを参考にしたセットリストですので、サブスクでは版権の都合でなかったことにされていて、ライブでの披露も多くなかった「ダイナマイトが150屯」のカバーが入ってくるのはすごくわかりますし、特に好きな「地下室のメロディ」「破れたハートを売り物に」あたりが入ってなかったのは残念でしたが、言うてみればもう名曲の連打ですので、満足感はハンパない。

そして、周年の記念ライブにありがちな、ゲストだったり特別な演出がまったくなかったところも、「バンドがこれまでやってきたこと、そして現在地をひたすらに見せつける」ことに特化した「意図」のようなものを感じて、むしろそれがいい。

何よりメンバーが異常に元気。松藤さんはやや年齢相応感があってドラムにはサポートも入り、「ビューティフル・エネルギー」も2番以外は甲斐さんに歌を任せていたけど、かといって歌は全く問題なく何より大変に楽しそうで。

一郎さんもパッキパキに弾き倒していてえらくカッコよかったし、甲斐さんに至ってはマイク蹴るし回すし、何より歌う歌う。70歳過ぎてむしろ抜群じゃないですか。

「ベテランのライブは観られるうちに観ておけ」ということで今回行ったわけですが、まだまだこの人たちは当分終わりそうにないです。

というか、公演終わりにいきなり告知されたのが12/26の豊洲ピット。
LEDスクリーン出の演出を大々的に導入するということで、このお年頃のミュージシャンとしてはかなり意欲的な試みです。
1986年、確執の果てに解散したバンドではありますが、今はすごく楽しいのだろうなあ。
それでいい。

ただこの日、東京ドームでは永ちゃんも50周年ライブ、Kアリーナでは槇原敬之、ぴあアリーナではGRANRODEO、ZOZOマリンではKAT-TUN、幕張メッセではLUNA SEA主催のフェス。

全国的にライブ会場不足している問題の一因に、70年代からやっている人たちの多くが未だに一線級で活躍しまくっているせいでもあるのかもしれない、と思いました。
でも、それでいい。