海老名にタワーレコードの新店舗がオープンしたこと

もはや新規でCD/DVD店がオープンすることはありえないと思っていた矢先の昨年12月、佐賀市のモラージュ佐賀に新規のCD店、We'sが出店してビビったのですが、それで終わりではありませんでした。
2024年8月30日、神奈川県海老名市に新規CD店がオープン。それもタワーレコード。

今回タワレコがオープンした商業施設ビナウォークには、長年にわたって新星堂が店を構えてきたのですが今年の1月で遂に閉店し、CD店のない商業施設がまたひとつ増えたと思ったら、半年強のブランクを経てまさかの復活。

この期に及んで新規でCD店をオープンさせる狙いは、リリース発表時のプレスリリース内の「ビナウォーク海老名が運営する首都圏最大級、8,000人収容可能なイベントスペース『ビナステップ』を利用したタワーレコードの企画によるイベント開催」に尽きると思っています。

CDの売上は当然年々下がってはいるわけですが、唯一ボーイズグループを中心にした「ファンがCDを複数枚買いしがちなジャンル」についてはむしろそのグループ数が増えているので、それらの売上をどれだけ持ってこれるか、というところをシャープに狙えばまだCD店は生き残れるはずという読み。
そしてそのアガリを最大化するには大規模なイベントを別途会場を大金を出して借りる必要なく開催できる環境が必要なので、広いイベントスペースを持つビナウォークは理想的と言っていい場所です。

そして昨日、実際オープンした店舗に行ってみたのですが、すごく納得しました。その「大規模なイベント」を開催するにあたって、ほぼ理想的な環境の店舗です。

上層階ではなく、ビナステップに隣接した1階に位置していること。ビナステップ側にも出入り口があること。
大規模なイベントでCD購入者が列を作るようなことがあれば、階段を利用して並ばせることで1階の通常の往来の支障を最小化できる環境。
およそ完璧です。

閉店する前の新星堂は、ビナウォークではあったものの別館と言っていい場所で、それは駅に近いという意味ではオープン当時はベストな場所だったのかもしれないのですが、2024年の状況を踏まえればこのタワーレコードがむしろベストポジション。
どこまで生きていけるのかはこれから次第ですが、とりあえずできたばっかりなのに「いきものがかりの聖地」的なポジションを狙おうとしているあたりも、小賢しくて好きです。

小沢健二「LIFE」再現ライブ@日本武道館のこと

8月31日は小沢健二「LIFE」再現ライブ@日本武道館でした。

台風接近で交通もいろいろ動かず、「延期すべき」という声も一部にありましたが、決行。
このライブの場合、2024年8月31日に実施しなければあまり意味はない催しですし、完全に日本武道館の形に合わせたステージセットと演出なので他の場所ではできないし、多忙な方々も含めて総勢30名以上のミュージシャンの予定をもう一度合わせて調整してとなると非常に難度高く、この日開催できなければ延期はなく「中止」しか恐らく選択肢のない状況ですので、そりゃ物理的に開催できるのであれば、決行します。
本当、来られなかった方には申し訳ないのですが、最高でした。

まず入場してビビるのが、360度客席に囲まれて、武道館中央に構えられた三段の円形ステージ。
鏡餅で言えばみかんがオザケンのポジション(時々スチャダラとかは登ってくる)、下二段の餅の部分にミュージシャンが配される形です。

座席には「1994年から届いたFAX」と説明された歌詞シート。
事前に提灯の画像をダウンロードしておけと命じられ、開演前の館内放送では「携帯は機内モード、音声OFF、電源はONで」という旨が繰り返し説明される。
割と他にない感じの状況で、15分程度押して開演。

3人程度のミュージシャンが鏡餅の部分に上がりぽつぽつと演奏を始めたら、いつの間にかみかんの位置にオザケンが。
ずっと鏡餅の中にいたのでしょうか。もしそうならそれ最高に可愛いじゃないか。

そしてミュージシャンを呼び込んで、ミュージシャンが自転車に乗って続々登場。ちなみに自転車はシェアサイクル「ダイチャリ」のでした。
この頃もしかしたら千代田区近辺のダイチャリのステーションの自転車、枯れていたかもしれません。

そんな感じで以下の通り。

1:台所は毎日の巡礼
 (小沢健二+数人のみでちょっとだけ)
2:流れ星ビバップ
 (歌に乗せて他のミュージシャン呼び込み)
3:フクロウの声が聞こえる
4:強い気持ち・強い愛
5:サマージャム'95
 (「夏のせい」部分のコール&レスポンスのみ)
6:天使たちのシーン
7:旅人たち
8:大人になれば
9:台所は毎日の巡礼
10:ぶぎ・ばく・べいびー
11:彗星
12:流動体について

ここから「LIFE」再現ですが、ここでアルバム順の「逆」で演奏されることを宣言。
それは果たして「再現」と呼べるのかとは思いましたが、この順で実際にライブで聴くと実に具合がいい。

13:いちょう並木のセレナーデ(reprise)
 (手回しオルゴールを実際に回す)
14:おやすみなさい、仔猫ちゃん!
15:ぼくらが旅に出る理由
16:今夜はブギーバック(nice vocal)
17:ドアをノックするのは誰だ?
18:いちょう並木のセレナーデ
19:東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディー・ブロー
19":服部隆之+弦部隊による「ドアノック(変奏曲)」
20:ラブリー
21:愛し愛されて生きるのさ

22:愛し愛されて生きるのさ
 (客電を付けた状態で弾き語り&BOSEがインスタライブ撮影)

実際にオザケンが手回しのオルゴールで「いちょう並木のセレナーデ(reprise)」を再現し、「おやすみなさい、仔猫ちゃん!」でゆるゆる気味に開始、「ぼくらが旅に出る理由」で最初の盛り上がり、スチャダラ登場の「ブギーバック」で1回爆発してその流れで「ドアノック」もいい感じに来て、「いちょう並木」で小休止、そこからは「東京恋愛専科」「ラブリー」「愛し愛されて」と曲を追うにつれて熱狂を帯びて最高潮で終了。

唯一問題があったとすれば、「愛し愛されて生きるのさ」の最後が割とあっけなく、拍子抜けするくらいの勢いで終わったことくらいですが、そこは「再現したじゃん」と開き直ってみたり、割と無茶なMCを入れながら客電を付けて「愛し愛されて」を改めて弾き語ることで解決。解決したと思う。

とにかく全体的な空気は圧倒的に「お祭り」でした。
スチャダラ、スカパラ、ヒックスヴィル、服部隆之、渋谷毅といった、音源制作に参加したミュージシャンがこぞって参加し、入れ替わり立ち替わり演奏。オザケンはそのステージの頂上に圧倒的王子として君臨。
ここまで形式としては鏡餅で例えてきましたが、あれは「お祭りの櫓」だったんだろうなと思います。

実際、提灯の画像をダウンロードさせたり、参加ミュージシャン全員が提灯を提げていたのも、ものすごく「祭」のモチーフですし。
やたらに「歌える?」と聞いてきたり、ハンドクラップとかフィンガースナップやら無闇に「参加」を促してきたのも、全員にとってのお祭りにするためで。

どうしても比較したくなるのが、7月に観たCorneliusの30周年記念ライブ。
こちらは映像や曲目にスペシャル感はあったものの、演奏や基本的な演出やステージ構造はどこまでも「いつも通り」で、MCもほぼなく、でもそれが素晴らしかったのですが、オザケンはまったくの真逆といっていいくらい何もかもがスペシャルで、かつ事前から現場からオーディエンスの関与を強く求めるもので。
ただ、それぞれが1993年以降やってきたこと進んできた道を考えると、両方とも「今の自らの表現」としてはすごく正しいと思いました。

あの時の2人がそれぞれ、年を経てこんな圧倒的な表現を行っていて、それを観られるのであれば、年を取るのも悪くないです。
2人とも「Life is coming back」。

SUMMER SONIC 2024での施設や運用のこと

2024年のサマーソニック、大阪の方は万博公園に場所を移して大変に好評だった模様。
一方、幕張の方で最も大きな変化はこれまで幕張メッセの1-8まで使用して開催していたところを、別棟の9-11のうち9と10を物販拠点・クローク・休憩所として利用した点です。

昨年の幕張で大きな課題として挙げられるのは以下のような点。

  • アリーナにスポーツドリンク類を持ち込めず、アリーナ入り口で没収された人がヤバいことになりかねないこと
  • 物販拠点2箇所がどちらも一切日陰のない直射日光ガンガンの場所だったこと
  • 女性の割合が相対的に増加したため、女子便所が大変な行列になったこと
  • どのステージも観ずに滞留する人が増加した結果、フードエリアの座席がまるで空かなかったり、導線を塞ぐレベルで座り込み等が頻発したこと

ドリンクの件は今年完全解決。球場側と協議の結果、スポーツドリンクの持ち込みが可能に。
また、それに伴ってアリーナエリアにポカリスエットの販売ブースも設けられました。

何か今年、オフィシャルバー以上にポカリスエット販売が多かったのですが、「酒飲むよりも水分取れ」というメッセージでしょうか。
あと、メッセ1-8のエントランスエリア、今年2月に常設売店のニューウェーヴが閉店してどうなるかと思ったら、エントランスエリアから出店的なものが一掃されてそこでもビール買えない状況に。これは割と困りました。

話を戻します。
課題の後ろ3点を包括的に解決しようとする試みが別棟9-10の使用、ということになります。
実際に覗きに行ってきました。

本当に物販とクロークと休憩所しかない。そして出入り口を割と絞っているためホールに入ると明らかに1-8より涼しいです。サマソニが開催されているエリアの中で一番涼しいです。

物販がこのホールの中に完全に集約されたことで昨年までの問題は完全解決。ただ、時間帯によっては購入エリアへの入場に整理券が必要となったため、これまでのように「空いた時間帯にふらっと寄る」ことは昨年の通りにはできなくなりました。

ただ、トイレ問題は素晴らしく解決はできなかったようです。
9-10のトイレが使用できるようになったことで総数は確かに増えました。が、今年は見た限り昨年以上に女性比率が上がっているため、いたちごっこ感があります。

メッセの裏に当たるエリアの物販が撤収したあたりに仮設トイレが並べられ、そこは割と空いていたようですが、正味直射日光ガンガンの場所なので並びたくない気持ちはとてもよくわかります。
9-10で一番空いていたのも唯一ホールの外にあるトイレで、結局「涼しくてすごく待つ」か「暑くてあまり待たない」かのどっちかという割と究極の選択。

もう、男の方を少し間引いてもいいと思うんですよ。横浜アリーナなんかはイベントの男女比率によって元々男子便所の看板を一部架け替えて、個室の方のみ使用する女子便所に変更することがあるのですが、それやっちゃっていいと思うの。


メッセ内に滞留する人が増えた問題については、9-10に流れる人は正味べらぼうに多いわけではなく、相変わらず1-8は大混雑でした。
が、割と厳格に仕切りを設置し、誘導する係員も増やしたように思えます。

そして恐らくこれも対策の一環だと思うのですが、各ステージの入口、以前はステージ名を掲げた看板と照明用に設けられていた櫓のような設置物がなくなりました。

これによって後方からの見通しが圧倒的に良くなったため「後ろの方で座っていたいけど何となくステージも観てみたい」という、導線上にステイしがちな人たちを完全に柵の向こうに収容することに成功。

ものすごく人が往来する中に頑なに座り続け、足でも当たろうものなら直ちに威嚇を行うようなタイプは、今年は見かけませんでした。

ただ、ぼーっと歩いていると「あれ、ここがSONIC STAGEでよかったよな…?」みたいなことになるので、小さくてもいいから看板付けてほしいです。

ということで、完璧とは言えないまでもかなり課題を解決の方向に持っていけたのではないかと思います。
「朝イチ整理券」の効果は、両日割とのんびり気味の入りだったためよくわかりませんでした。


ということで、ずっと考えていたのはメッセ別棟は9から11まであるのに今回使用したのは9-10だけだったのは何故だろうということですが、幕張に向かうバスの中に答えが貼ってありました。クリマンがプランを固める前に押さえてあったのでしょう。

9-10に小さくてもステージ作ってイベントやった方が誘導力は高まるのに何でやらないのだろうと思っていたのですが、物販拠点・クローク・休憩所のみだった理由もわかりました。
デカい音出すわけにいかないですから。小学生が夢中になっている邪魔をしちゃいけない。

で、9-11のエントランスエリアのトイレの入り口から11の一部を覗けるようになっていたので覗いてみました。

ああ、自分が小学2年生だったら全力になるヤツだ。最高だ。

SUMMER SONIC 2024で観たのとメンツのこと

今年もサマソニ2日間行ってきました。千葉の方。

80-90年代に活躍したUKバンドを多く連れてきてくれるのが嬉しくて徐々に毎年通うようになり、そのうち「特に他で特別なことがなければサマソニ」みたいな感じになって今に至ります。

恐らく2018年がエゲツないレベルでのガラガラ状態だったことと、翌2019年のBLACKPINKが大盛況だったことが転機になったのだと思うのですが、それ以降積極的にK-POPグループを招聘し、同時に国内外のボーイズグループも広く参加するようになりました。
その分特に海外のバンド系は減りつつありますが、それはそれで、知らなかったものを観るのも目的なので。


17日は、その前日のMステで見たNumber_iの「INZM」がアホみたいにかっこよかったので、もう一発目からマリン行くつもりで寝たのですが、起きたら「高熱があるわけではないが明らかに正常でもない」という微妙な体調だったため泣く泣く諦め2時間ほど二度寝したところ多少良くなったので「メッセ内で完結」ルールで突入。

滅茶苦茶よかったのは離婚伝説。
バンド名はマーヴィン・ゲイのアルバム邦題、紡ぐメロディはAORを通った日本の80年代職業作家の如きメロディ。泣けるくらいにメロウ&スムース。
しかしそこからずいずいはみ出していくギタープレイはひたすら熱い。最終曲「萌」のラストはもう弾きまくりで、しかもPrinceの「Purple Rain」のラストのソロからフレーズを持ってきまくっているのがエゲツないかっこよさ。
なるほど、こういう熱の部分、趣味の部分も含めてこのバンドの総体なのだと納得した次第。

あとLil Yachty。
知らない人に説明すると、水原元通訳が踊りながら野外ステージの花道に出ていくAI合成動画が一時期かなりばら撒かれましたが、あの元ネタ動画が彼です。

2023年のサイケ・プログレ的な音像に寄りつつほとんどラップもしない怪作アルバムと、今年にはJames Blakeとの共同制作のアルバムをリリースしたりしているので、過去と現在をどのように辻褄合わせてくるのか、という点がすごく気になって。
結論としては全然辻褄合わせていませんでした。
今年にもアルバムとは別途、従来路線に近いシングルをリリースしていることもあり、完全にそっちメインで全体的に大トラップ祭り開催。

メロウなフレーズがある曲は、普通に歌うパターンと割とラップのフロウに近い方に寄せていくパターン、またトラックに歌まで入っているものを流して追加のフロウを重ねていくパターンもあり、それも何かすごいと思って。
アルバムとシングルとは、音源とライブとは、トラックとリリックとは。いろんなことを考えながら観ていました。


18日は割と元気ではありましたがこちらも昼前から。

水曜日のカンパネラはようやく詩羽Ver.の「桃太郎」を聴けたのは大変によかったのですが、「桃太郎」で透明なボールに入ってフロアを転がるのはあれ、コムアイ期からの縛りというか伝統芸にする気なのでしょうか。

せっかくなので少しはボーイズグループもと思い、JO1を観たのですが、後ろの方で「WEST.」のTシャツを着たお嬢さん方が割とノリノリで踊ってたりするのを見てほっこりしました。
なかなかボーイズグループのみのフェス的なものは組みにくい中、女子アイドルのフェスにはよくある「推しじゃないのを見てそっちも推したくなる」という、本来割と健全な状況が、サマソニのフォーマットに乗ることでようやく生まれつつあるのかなと思いました。

アギレラ姐さんがショーとして完璧だったので、これ割と演出多めの割に「間」とかまで計算して詰めてやっている印象のあまりないBring Me The Hrizonを前に、彼らは大丈夫かとも思ったのですが、無問題でした。
間とか全部埋めてあまりある熱と、シアトリカルな演出からがんがんはみ出して滲み出るオリの情緒みたいな、何か心を掴まれるヤツ。最高でした。


ただ、前日のMANESKINが相当に動員していたという話を聞いていたのですが、Bring Me The Horizonの動員は少し残念でした。アリーナは割と埋まっているのですが、スタンドは一部エリアを除いて、座っている人全員寝ながら観ても行けるんじゃね、というレベルで空き。
要するに「すごく観たい」人はそこそこいた割に、「とりあえず観ておこうか」という、本来こっちの方が多くないとダメな方の動員が非常に少なかったということで。

でもその状況はタイムテーブルを見るとおよそ理解できます。
東京18日、「ラウド系バンド」という括りだと海外勢は他にはタイのBODYSLAMとUSのHOOBASTANKだけで、国内を込みにしてもpaleduskとCVLITEが入るくらいか。
そしてHOOBASTANKはBMTHと時間帯ダダ被りという割と酷い有様。

この日のマリン、洋楽で並んではいてもGRETA VAN FLEET→Christina Aguilera→Bring Me The Horizonという、これ友人と「流れが滅茶苦茶すぎるな」と苦笑するような感じでして。
要するに、BMTHすげえ観たい人は速攻チケット取ったとして、それ以外の人でそういう音楽に親和性のある人がそんなにいない中一部はBEACHの方に行ったため、スタンドの方にはあんまり人が入らなかった、ということで。

この日、Yves Tumor終わりでメッセからマリンに移動したのですが、SONIC出てフードエリアから出ようとした16時前のメッセ内、たぶん自分が覚えているサマソニの記憶の中で史上最強に混雑していました。
逆にマリン側は2018年レベルの状況でして、そういう偏りだったということです。

前日17日には、そんなん被ってなかったら観る人全員両方行くやろというMAJOR LAZERとLil Yachtyの時間帯をほぼ完全に被せてくるなど、ここも割と酷い。
この2組、どっかで開催されたアフターパーティーでセッションしたみたいです。

契約の際に「そのステージのトリであることが条件」みたいな縛りがあったんだろうな、というあたりは予想できるので、苦渋の選択だろうということはとても理解できるのですが、でもこういうのって結果が全てですので。

世界的にバンド系の音楽が相対的に減少し、代わりに様々な出自の音楽の種類は増加し、国も欧米中心からどんどん変化していき、いろんな好みのオーディエンスの多くにとって「線」のように鑑賞できるタイムラインを引くことができるような環境を整えることはどんどん難しくなっていると思います。
ただサマソニは、フジロックと比較すればそういう環境変化によりアジャストしていかなければいけない宿命のフェスでもあるわけで。

今年は、レーベル・メディア・興行主が一丸となって国内人気を盛り上げてきた2組が両日のトリにまで上り詰めたという、ベテランの元々ある知名度に頼らないラインナップを組めたという意味では非常に素晴らしい年なのですが、来年以降どうするの、また戻るのはどうなの、でも戻さないとしたらどうするの、という非常に厄介な問題が残りました。
正味、今思い付く一番簡単な解決策はとりあえずどっちかのトリにNewJeansを据えることだと思うのですが、それをここまで「洋楽フェス」の看板を掲げてきたクリマンがやれるのか。既に何か仕込んでいるのか。

今回、MAJOR LAZERやLil Yachty、GRETA VAN FLEETなんかは、本国と日本での知名度や人気の差がありすぎて彼らが望むレベルの単独来日公演は到底不可能なわけですが、それをこういう形で日本で観られるようにしてくれる部分、私はそんなクリマンが大好きです。
あと、SONIC STAGEだけは、どれだけ時代が移ろっても「何かこのメンツはSONICっぽいなあ」と思わせてくれるところも大好きです。
来年も何もなければ行きます。

次回は9-10を使った点とかの、設備や運営について書こうと思います。割と変わってました。

Brigitte Calls Me Baby「The Future Is Our Way Out」のこと

去年のEPが大変によく、アルバムを心待ちにしていたバンド。
何がいいって、The Smithsっぽいところ。

The Smithsは、何か新たなジャンルを開拓したとか独特の音の出し方を発明したとかではないので、その存在の割にわかりやすく後継的なバンドがぞろぞろ出てくる感じではないのですが、1994年デビューのGene、2008年デビューのNorthern PortraitあたりがMorrisseyさんを意識した朗々とした歌い方まで押さえているナイスバンドでして。
それらを大変面白く聴いているのですが、遂に2020年代にも酔狂が現れました。
40年を経てまだ神通力がある。あることにしたい。

しかしGeneはUK、Northern Portraitはデンマークですが、Brigitte Calls Me BabyはUSですよ。シカゴ。
これが国境も時代も越えてあらゆる音楽に触れられる世代ならではとは思うのですが、それでもシカゴでこんな音出していて、舐められたり怒られたりしないのだろうかと少し心配になります。
とりあえずこういう方針で音を出そうという人間が5人集まったことがもう素晴らしい。
そしてフロントのWes Leavinsさんのそれっぽさは、ポストThe Smiths的な先人と比較してもなかなかな堂の入りっぷりで大変に頼もしい。というか普通にかっこいい。

ミドルテンポのM-1からエッジの効いたM-2、イントロのリフが印象的なM-3、みたいな流れはちょっとThe Smithsの1stっぽいなと思ったり。
ただ、アルバムの中でもEPに収録されていなかった新録曲の中には、アルバムからいち早くMV公開された「We Were Never Alive」等、早くもThe Smithsっぽさを脱した感じの曲もあったり、これからどう化けていくのかいかないのか。

CDの日本リリースも予定あるようですし、来日を切に希望いたします。
ロッキンオンソニックあたりにぬるっと入れてくれんか。

池袋のCD店・五番街の閉店と、タワレコの新店舗オープンのこと

池袋、東武百貨店の7階に店を構えている孤高のCDショップ「五番街」がいきなり昨日8月5日にお亡くなりになった模様です。


閉店のお知らせです。

近年は演歌に力を入れていたものの流行歌からクラシックまで全般を取り扱い、さすが百貨店内に店を構えているだけあって店員さんの大変に丁寧な対応も印象的なお店でした。

「株式会社五番街」としての経営、そして月頭の第3営業日ですので、恐らく会社の経理上の問題で店を存続できない事態に陥ったものと思われます。
2007年に一斉閉店した香川県のタマル、2009年に一斉閉店した石川県のヤマチク、そこらへんと似た事情ではないかと推測しますが、この2024年まで踏ん張ってこうなるのはやっぱりキツい気持ちになります。

ということで、2021年に生存確認作業を行った東京23区の「街のレコード屋」ですが、これまでの間に大塚の聖楽堂も閉店を確認しています。
大岡山の音楽堂は、私が行った時はいつも閉まっているのですが、不定期に店を開けているという話も。また浅草のヨーロー堂は、雷門通り沿いの店は閉じましたがすぐ裏手に移転して営業継続中です。


一方で、この期におよんで新たに開店するCD店も。
それもTOWER RECORDSが2店続けて新店舗。
8月30日には神奈川県海老名市のビナウォーク5番館に、9月13日には名古屋市港区のららぽーと名古屋アクルスにそれぞれオープンします。

ビナウォークには元々新星堂が長い間入店していましたが、今年の1月に閉店。タワレコはその場所とは異なる位置への出店です。
ららぽーと名古屋アクルスには2018年のオープン以来専門のCD店はなく、別棟の蔦屋書店もCDの取扱いは原則なし、ヴィレヴァンがちょっと売っている程度です。

そういうところにタワレコが店舗を出す意図ですが、それぞれの告知ページに「8,000人収容可能なイベントスペース『ビナステップ』」「定員3,000名を誇るイベントスペース『デカゴン』」というフレーズが入っていることがその答えではないかと思います。

タワレコは渋谷店・新宿店をはじめ、店の床面積の半分近くが常設のイベントスペースになっている錦糸町パルコ店等、「イベントで人を集めて盤を売る」ノウハウやコネクションについては他チェーン以上のものを持っています。
池袋サンシャインシティの噴水広場のイベントでのCD販売も、2021年2月の新星堂撤退以降は原則タワーレコードが仕切っています。

他の大規模イベントが可能な商業施設のイベント会場の例は川崎駅近のラゾーナ川崎。
施設中央のルーファ広場が1万人規模の集客が可能で、かなりの規模のリリースイベント等も開催されていますが、入居しているHMVが施設内では移転して床面積小さめになっても退去しないのは、その規模を誇るイベント会場があり、かつ商業施設への集客になるためその会場を使う費用等がかからない、そこの旨みがやはりあるからではないかと思います。

双方、大都市圏から電車一本で行ける駅近の施設というのも共通点。
逆に言えば、自家用車でないとなかなかリーチできない郊外型のモールだと、今後の店舗の維持はどんどん難しくなってくるということかもしれません。

そういう「ファンビジネス」におもねることが本当に正解なのか、という点は確かにあるのですが、正味「CDショップ」という業態にとってはもうそこにしか命脈はないので。

従来タワーレコードは店の床面積70坪あたりを境にして、それ以上は「TOWER RECORDS」、それより小さいと「TOWERmini」という屋号で営業してきましたが、今回の2店舗は双方50坪以下の狭めの店舗で、本来「TOWERmini」サイズの店舗ですが、「TOWER RECORDS mini」という、どっちつかずの屋号での出店です。
多分「タワレコ」って呼んでもらって本当に差し支えない屋号にしたい、くらいの意図だと思います。

NUANCEの新体制初ライブ@恵比寿ガーデンルームのこと

27日はここ数年ワンマンとか折々で行くようにしているアイドルグループ、ヌュアンスの新体制初ワンマン@恵比寿ガーデンルーム。

所謂「推し」がいるという方には既知の事実かとは存じますが、ヒット曲が出た時とか何かで目立った時だけでなく、年単位でずっとバンド/グループを見続けると、その印象は点ではなく線になり、そこに間違いなく独自のストーリーがあることに気付き、その気付きを踏まえてライブを観るとまた単体で観るのとは違う見え方があって。
それが楽しかったり心打たれたりして、また次も行こうという気持ちになったりするわけで。

彼女たちの場合、この3月に最後のオリジナルメンバー、川井わかさんが卒業して以降初めての、所謂完全新体制初のワンマンライブだったのですが。
観て思ったのは、彼女たちのライブ史上最も「熱」を感じるライブだったということ。

過去他のグループで、エース級のメンバーが脱退することでそこまでの勢いを失って迷走してしまうという状況をいくつか見てきました。
元々ヌュアンスは、元々特定の推しがあまりいない「箱推し」気味のファンが多めだとは思っていたのですが、メンバーが変わっても実際本当に動員減らないし場の雰囲気も変わらず。
そもそも自分も4人の中で誰がエースなのかよくわかんないまま観ていましたし、実際いるような気もしないし、他のファンの皆もだいたいそんな感じなんだろうなという気持ちで。

結成時5人、数カ月で1人脱退して4人編成で約4年活動していたのですが、2021年から割と唐突にメンバー脱退が相次ぎまして。
そのたびに新メンバー募集をして新たなメンバーが入ってくるのですが、そこで不思議なのがグループとしての色や空気感が全く変わらないこと。
というか、新メンが発表されて顔を見るたびに「可愛いな」とかじゃなく「すごくヌュアンスっぽいぞ」と思うことばかりで。
そこらは運営が全くもってブレない「ヌュアンス感」を持っていて、それ基準にして選考を行っているとしか思えない状況。

特に直近で加入したるりねさんと桃子さん。
二人とも「ヌュアンス感」を間違いなく持っているのですが、特にるりねさんは加入発表時の画像を見た段階で「ヌュアンスという概念があるとすれば、それを形にしたら彼女である」と思ったくらいに大変に「ヌュアンス」で。
そこに全くもって変わらない安心感はありつつ、最初観た時は大変に心許ないステージングだった桃子さんが、今回堂々と立ち振る舞っているのを見てホッとするとかの、新メンならではの見どころもあったり。

ただ、その本質が変わらない一方で、変わったと思ったのがその「熱」。
オリメン時代のヌュアンスには「熱」とか「チーム感」を感じることってあまりなく、どこか飄々としたステージに感じる時もあるくらいで。
自分は「熱」とか「チーム感」があれば無条件でいいとは思いませんし、彼女たちの場合はワンマンに芸人さんをゲストに呼んでストーリー仕立て的にすることでライブを立体的に見せようとしていたり、そういう様々な試みも含めて好きだったのですが。

それが徐々に変わっていったのはオリメンが減少していくにつれ、残った川井わかさんが結果としてリーダー的な存在になっていった時期。
想像ですが、わかさんが元々のグループでやりたくてやれなかったこと、なりたくてなれなかったもの、新メンに託そうとしていたのが、そういう「熱」だったり「チーム感」だったのではないかと思ったり。
それが、彼女が去った今、きちんと受け継がれて芽吹いているのではないかと。

なので、今芽吹いたところでこれからも伸びしろがあると思うので、もう少し見届けようと思います。
というか、今回は恵比寿ガーデンルームという、大所帯バンドを乗せられるサイズのステージではないこともあってかオケ仕様だったので、現体制で生バンドのライブを観るまでは死ねない。

次のワンマンは、もう前みたいな「コロナ禍で動員制限」という言い訳も効かないのに、またKT ZEPP YOKOHAMAとか言い出して、これどうするんかいなと思うのですが、そういうところ嫌いじゃない。
馬鹿じゃねえの。愛してる。

The Woodentops「Fruits of The Deep」のこと

The Woodentopsが、活動再開以降2枚目、10年ぶりのアルバムをこの4月にリリースしていたのをようやく聴きました。

80年代のUKバンドの中でも5本の指に入るレベルで好きなバンドです。
元々はパンクブーム以降のリヴァプール界隈、80年代UK好きならお馴染みの、あのバンドを結成しては解散して、解散したバンドのこっちのメンバーが別のバンドのあっちのメンバーと新しいバンドを結成してはまた解散してを繰り返していたあの界隈で、The Wild Swansに一瞬だけ在籍したり、The Jazz Butcherに一瞬だけ在籍していたRolo McGintyが、自分がフロントのバンドとして結成したのがThe Woodentops。

彼らの特徴は当時のUKとしては図抜けてリズム/ビートに対して能動的なところ。
ユーロビート路線以前のDead Or Aliveや、その後テクノ系にがっつり入っていくYouth擁するKilling Joke等のバンドが、1980年代初頭の段階で既にダンスミュージック的なビートを取り入れていたり、The Pop Groupや分裂後の各グループのようなグルーヴ感のある音が生まれたりしていましたが、The Woodentopsは所謂ダンスミュージック的なところとは異なる、パーカッシブでありながらも直線的な突貫ビートをそのオリジナリティとしていました。

彼らはRough Tradeレーベルと契約を交わし、一部では「ポストThe Smiths」みたいな言われ方もしていたのですが、果たして1986年にリリースされた1stアルバム「Giant」は、ポップでありながらも割と凡庸な出来で。
実際、Rolo自身も「このアルバムはオーバープロデュースであって気に入らん」ということを明確に表明するという、デビューとしては相当に最悪な状況で。

そのせいか10ヵ月後にはライブアルバム「Live Hypno Beat Live」がリリースされるのですが、それを聴いて感動と爆笑が同時に襲ってくるわけです。
「パーカッシブでありながらも直線的な突貫ビート」が、あり得ないレベルで極まっていまして。

「Giant」収録ヴァージョン。

「Live Hypno Beat Live」ヴァージョン。

どうかしてる。
自分は「Giant」でThe Woodentopsに初めて触れて、「割と好きなポップソング集ですね」くらいな気持ちだったのですが、ライブ盤で圧倒的に「大好きなバンド」に格上げ。
今も「一番好きなライブ盤」だったらこれを挙げます。

その後のThe Woodentopsですが、1988年の2ndでようやく納得できるレベルのリズム/ビートをスタジオ盤に閉じ込めることに成功、来日公演もあったのですが、名古屋飛ばされたので当時の自分ではとても無理でした。

ただ、まさに2ndアルバムをリリースした直後くらいから所謂「ハウスミュージック」が表舞台に現れ、それを取り入れるバンドも出てくることになります。
これまで「従来のやり方」でリズム/ビートを極めようとしていたバンドにとっては革命的な出来事のはずなのですが、The Woodentopsはそれらをバンドに「取り入れる」のではなく「ハウスミュージックそのもの」を目指すことになってしまいます。
それだけあのムーヴメントは魅力的なものだったということなのかもしれませんが、結果として出てきたのは、正直「これはキミらじゃなくてもよくないか」という感じの何かもにょもにょするヤツ。

これ以降、RoloはバンドをうっちゃらかしてPLUTOというユニットでガチでハウスミュージックの人になり、いくつかのユニットでそれなりに活動した後、2006年からThe Woodentopsを再開。
2014年にアルバム「Granular Tales」をリリースしてちょっとツアーして、年明けあたりに新曲をアップしてるなあ、と思ったら4月にアルバム出ていました。

新作は、もうかつてのようながっついた面持ちは当然ないのですが、曲毎のリズム/ビートには今なりにいろいろと凝った部分があってやっぱり面白い。

あと、今作ならではの点としては、M-2でのボ・ディドリー的な刻み方、M-4でのもろにKinksっぷり、M-7のそこはかとなくTom Waits感あたり、過去のクラシックをベースにしてそれに自分達の感覚をONしていくような作風のような気がして。
他の曲も「元ネタ」探したら見つかるかもしれません。

正味、たくさんの人に求められての再活動でもなく、過去の音をまんまやれるような年齢でもなく、でもだからこそこういう音楽に落とし込んでくるのはとても正解なのではないかと思うのです。
いい歳の取り方と、同時にいい感性の保ち方をしている人の音楽です。

Corneliusのライブ@東京ガーデンシアターのこと

Corneliusについては、CDは新しいのが出ればだいたい買う、自分の中では割と「録音したものを聴く」方の人で。
だからCorneliusとしてのライブはフェスでしか観たことがなく、小山田圭吾を生で観たのはYMOのサポートか、METAFIVEのメンバーとしての方が通算でいえば多いくらい。

ただ、音源聴く限りでもCorneliusとしての割と滅茶苦茶な音楽の変遷の中で、周年だったら最早最近のライブでは演らなくなった過去曲もやるだろうくらいの気持ちで、のほほんとチケット突っ込んだら割とサクっと取れました。

結果、そんな割と軽い気持ちで参加した自分をぶん殴りに来るかのようなエグいライブでした。

数日前に発表された長尺&ゴリゴリめの最新曲あり、1stアルバムのメドレー含む楽曲あり、Sketch Show楽曲でMETAFIVEがカバーした「Turn Turn」あり、METAFIVE楽曲としてリリースした「環境と心理」あり、テルミンあり、フライングVあり、「FANTASMA」初回盤付属のイヤフォンあり、恐らくお父さんの取材時の時であろう幼少期からUNOや小枝のCM等、映像あり。

掛け値なしに30年間を全部ぶっこんで、それを一連のバンド演奏と会場演出でひとつの「作品」のようにまとめ上げた隙のなさ。
で、演奏や演出の隙はないんだけど、どことなく我々のいろんな思いは乗っけられるような、不思議な空気感。
いいものを観ました。

The Flipper's Guitar時代からダラダラ聴き続けてきた2人のうち、今回片方がそのキャリアをこういうふうに俯瞰しつつまとめてきました。
あとはもう片方が8月31日にどうまとめてくるのかまとめないのか。こっちもありがたいことにチケット取れました。
宇多田のチケットはまるで取れませんが、ここらへんの運、割と総量は決まっているのかもしれません。
もっと徳を積もう。

SUMMERSONIC 2024で去年から変わったこと

SUMMERSONIC 2024のいろいろが発表されました。

メンツ的にはコロナ前までは確実に2-3あった「おっさんホイホイ」枠、要するに80-90年代あたりに人気だったバンド系の招聘が徐々に減り、今年でその枠に入れていいのはBelle & Sebastianくらいか。

とりあえず、付いた行き癖を敢えてやめるという選択肢もないですし、今年はBring Me The Horizonの新譜を聴いた時点で行くこと確定でしたし、タイムテーブル眺めてみると「観てみたい洋楽勢」と「気になる邦楽勢」で割と2日間楽しく遊べそうでよかったです。


一方、幕張の方のマップでは今年大きな変化がありました。
幕張メッセは1-8の棟と9-11の棟があるところ、そのうちサマソニは過去ずっと1-8しか使用してこなかったのですが、今年から別棟の9-10区域を使用することになりました。

まずコロナ後、2022年にSpotifyがスポンサードするステージがメッセ内に置かれたわけですが、元々3つあった大きめのステージがさらに増えたということで、それによって明らかに「何も観ない人が滞留するメッセ内のスペース」が減りました。

同時にメンツに、K-POPを含む男子ダンス&ヴォーカルグループが多く呼ばれるようになった結果、割と「明確な目当てのために来る」人が増えました。
そういう方たちも少なくとも1日券は購入して来場しますので、「明確な目当て」以外でもGLAYとか星野源とか知っているミュージシャンであれば観ておきたいと思うのは当然。

一方、例えばガチのK-POPのグループ好きで推しメンもいますという人が「Yves Tumorも観たいなあ」とか「せっかくだしHOOBASTANKも観ておくか」みたいな気持ちになることは、あんまり多くないと思われます。

我々のような、あんまり滞留せずに「観られるなら大体観てやれ」みたいなフェス馬鹿的行動原理の人の割合が減り、目当てグループとあとは既知の1-2組観られたらOKというような人の割合が増えれば、当然「何も観ない人が滞留するメッセ内のスペース」は混雑します。

更に酷暑で屋外にいることも憚られる昨今も重なり、昨年は「フードエリアの椅子席はいつ何時もだいたい人で満杯」「メッセ内で座り込んでいる人が通路スペースを塞いでステージ間の往来に支障をきたす」という状況が、あからさまに目に見える課題となったわけです。

その対策として9-10区域を休憩&フードエリアとして開放することで、そんな昨年の惨状を緩和しようという試み、なのですが。

同時に物販もこの区域に置くのは、野外で長時間行列させることへの対策&この区域への誘導として考えられていると思うのですが、それ以外はクロークを置いたくらいで何らか演者が何かするようなステージはなし。
果たして1-8エリアに滞留している人が9-10エリアまで移動してくれるのか、そこが最大の問題です。

でかめのスクリーンを準備して、入場規制がかかったステージの様子を映すとか、ファンイベントを開催するとか、マップではわからない何か考えているのかもしれません。
でも、9-10エリアの居住性をよくしたいのであれば、仮設でもいいから便所を増やせ。話はそれからだ。


あとエリア以外での変化では、今年から導入された「朝イチ整理券」というのもあります。
タイムテーブル観る限りでは実質両日マリンの現STARTO所属の2組を観たい方々がターゲット、昨年初日の晩に会場を出ようとしたところ既に翌日の当時「ジャニーズWEST」目当ての徹夜の行列ができていまして、その人たち向けだと思うのですが、これが一体どこまで機能するかどうか。
あと他ステージの昼過ぎから出番のK-POP系等のファンの方たちはどう動くのか。

諸々含めて社会見学的な気持ちも込みで観に行ってきます。