今年もサマソニ2日間行ってきました。千葉の方。
80-90年代に活躍したUKバンドを多く連れてきてくれるのが嬉しくて徐々に毎年通うようになり、そのうち「特に他で特別なことがなければサマソニ」みたいな感じになって今に至ります。
恐らく2018年がエゲツないレベルでのガラガラ状態だったことと、翌2019年のBLACKPINKが大盛況だったことが転機になったのだと思うのですが、それ以降積極的にK-POPグループを招聘し、同時に国内外のボーイズグループも広く参加するようになりました。
その分特に海外のバンド系は減りつつありますが、それはそれで、知らなかったものを観るのも目的なので。
17日は、その前日のMステで見たNumber_iの「INZM」がアホみたいにかっこよかったので、もう一発目からマリン行くつもりで寝たのですが、起きたら「高熱があるわけではないが明らかに正常でもない」という微妙な体調だったため泣く泣く諦め2時間ほど二度寝したところ多少良くなったので「メッセ内で完結」ルールで突入。
滅茶苦茶よかったのは離婚伝説。
バンド名はマーヴィン・ゲイのアルバム邦題、紡ぐメロディはAORを通った日本の80年代職業作家の如きメロディ。泣けるくらいにメロウ&スムース。
しかしそこからずいずいはみ出していくギタープレイはひたすら熱い。最終曲「萌」のラストはもう弾きまくりで、しかもPrinceの「Purple Rain」のラストのソロからフレーズを持ってきまくっているのがエゲツないかっこよさ。
なるほど、こういう熱の部分、趣味の部分も含めてこのバンドの総体なのだと納得した次第。
あとLil Yachty。
知らない人に説明すると、水原元通訳が踊りながら野外ステージの花道に出ていくAI合成動画が一時期かなりばら撒かれましたが、あの元ネタ動画が彼です。
2023年のサイケ・プログレ的な音像に寄りつつほとんどラップもしない怪作アルバムと、今年にはJames Blakeとの共同制作のアルバムをリリースしたりしているので、過去と現在をどのように辻褄合わせてくるのか、という点がすごく気になって。
結論としては全然辻褄合わせていませんでした。
今年にもアルバムとは別途、従来路線に近いシングルをリリースしていることもあり、完全にそっちメインで全体的に大トラップ祭り開催。
メロウなフレーズがある曲は、普通に歌うパターンと割とラップのフロウに近い方に寄せていくパターン、またトラックに歌まで入っているものを流して追加のフロウを重ねていくパターンもあり、それも何かすごいと思って。
アルバムとシングルとは、音源とライブとは、トラックとリリックとは。いろんなことを考えながら観ていました。
18日は割と元気ではありましたがこちらも昼前から。
水曜日のカンパネラはようやく詩羽Ver.の「桃太郎」を聴けたのは大変によかったのですが、「桃太郎」で透明なボールに入ってフロアを転がるのはあれ、コムアイ期からの縛りというか伝統芸にする気なのでしょうか。
せっかくなので少しはボーイズグループもと思い、JO1を観たのですが、後ろの方で「WEST.」のTシャツを着たお嬢さん方が割とノリノリで踊ってたりするのを見てほっこりしました。
なかなかボーイズグループのみのフェス的なものは組みにくい中、女子アイドルのフェスにはよくある「推しじゃないのを見てそっちも推したくなる」という、本来割と健全な状況が、サマソニのフォーマットに乗ることでようやく生まれつつあるのかなと思いました。
アギレラ姐さんがショーとして完璧だったので、これ割と演出多めの割に「間」とかまで計算して詰めてやっている印象のあまりないBring Me The Hrizonを前に、彼らは大丈夫かとも思ったのですが、無問題でした。
間とか全部埋めてあまりある熱と、シアトリカルな演出からがんがんはみ出して滲み出るオリの情緒みたいな、何か心を掴まれるヤツ。最高でした。
ただ、前日のMANESKINが相当に動員していたという話を聞いていたのですが、Bring Me The Horizonの動員は少し残念でした。アリーナは割と埋まっているのですが、スタンドは一部エリアを除いて、座っている人全員寝ながら観ても行けるんじゃね、というレベルで空き。
要するに「すごく観たい」人はそこそこいた割に、「とりあえず観ておこうか」という、本来こっちの方が多くないとダメな方の動員が非常に少なかったということで。
でもその状況はタイムテーブルを見るとおよそ理解できます。
東京18日、「ラウド系バンド」という括りだと海外勢は他にはタイのBODYSLAMとUSのHOOBASTANKだけで、国内を込みにしてもpaleduskとCVLITEが入るくらいか。
そしてHOOBASTANKはBMTHと時間帯ダダ被りという割と酷い有様。
この日のマリン、洋楽で並んではいてもGRETA VAN FLEET→Christina Aguilera→Bring Me The Horizonという、これ友人と「流れが滅茶苦茶すぎるな」と苦笑するような感じでして。
要するに、BMTHすげえ観たい人は速攻チケット取ったとして、それ以外の人でそういう音楽に親和性のある人がそんなにいない中一部はBEACHの方に行ったため、スタンドの方にはあんまり人が入らなかった、ということで。
この日、Yves Tumor終わりでメッセからマリンに移動したのですが、SONIC出てフードエリアから出ようとした16時前のメッセ内、たぶん自分が覚えているサマソニの記憶の中で史上最強に混雑していました。
逆にマリン側は2018年レベルの状況でして、そういう偏りだったということです。
前日17日には、そんなん被ってなかったら観る人全員両方行くやろというMAJOR LAZERとLil Yachtyの時間帯をほぼ完全に被せてくるなど、ここも割と酷い。
この2組、どっかで開催されたアフターパーティーでセッションしたみたいです。
契約の際に「そのステージのトリであることが条件」みたいな縛りがあったんだろうな、というあたりは予想できるので、苦渋の選択だろうということはとても理解できるのですが、でもこういうのって結果が全てですので。
世界的にバンド系の音楽が相対的に減少し、代わりに様々な出自の音楽の種類は増加し、国も欧米中心からどんどん変化していき、いろんな好みのオーディエンスの多くにとって「線」のように鑑賞できるタイムラインを引くことができるような環境を整えることはどんどん難しくなっていると思います。
ただサマソニは、フジロックと比較すればそういう環境変化によりアジャストしていかなければいけない宿命のフェスでもあるわけで。
今年は、レーベル・メディア・興行主が一丸となって国内人気を盛り上げてきた2組が両日のトリにまで上り詰めたという、ベテランの元々ある知名度に頼らないラインナップを組めたという意味では非常に素晴らしい年なのですが、来年以降どうするの、また戻るのはどうなの、でも戻さないとしたらどうするの、という非常に厄介な問題が残りました。
正味、今思い付く一番簡単な解決策はとりあえずどっちかのトリにNewJeansを据えることだと思うのですが、それをここまで「洋楽フェス」の看板を掲げてきたクリマンがやれるのか。既に何か仕込んでいるのか。
今回、MAJOR LAZERやLil Yachty、GRETA VAN FLEETなんかは、本国と日本での知名度や人気の差がありすぎて彼らが望むレベルの単独来日公演は到底不可能なわけですが、それをこういう形で日本で観られるようにしてくれる部分、私はそんなクリマンが大好きです。
あと、SONIC STAGEだけは、どれだけ時代が移ろっても「何かこのメンツはSONICっぽいなあ」と思わせてくれるところも大好きです。
来年も何もなければ行きます。
次回は9-10を使った点とかの、設備や運営について書こうと思います。割と変わってました。