長い期間空けての「○年ぶりのアルバム」のこと

ここんとこ、DA PUMPが17年ぶりのニューアルバムとか、T-BOLANは28年ぶりとか、MC5は51年ぶりのアルバムを予定しているとか、割とエゲツないタイムラインのリリース情報が入ってきております。
ABBAの「40年ぶり」の時もちょっと思ったことなので、少し調べてみました。

ずっと活動継続しているバンドには、1976年のデビューから45年で今までに出したオリジナル・アルバムが6枚というBostonとか、1981年のデビューから40年でオリジナル・アルバム4枚のThe Blue Nileみたいなモンスターもいるのですが、今回はさすがにだいたい解散していたのが再結成とか、一旦業界から離れていた人が戻ってきたみたいなパターンです。

以下、抜け漏れはあると思いますが、洋邦それぞれで同一名義で20年以上のブランクを開けてアルバムをリリースした事例。

<洋楽>
MC5:51年ぶり(2022予定)
The Sonics:48年ぶり「This Is The Sonics」(2015)
ABBA:40年ぶり「Voyage」(2021)
The Specials:37年ぶり「Encore」(2019)
The Boomtown Rats:36年ぶり「Citizens of Boomtown」(2020)
The Pop Group:35年ぶり「Citizen Zombie」(2014)
Vandenberg:35年ぶり「2020」(2020)
ALCATRAZZ:34年ぶり「Born Innocent」(2020)
Funkadelic:33年ぶり「First Ya Gotta Shake the Gate」(2014)
The Long Ryders:32年ぶり「Psychedelic Country Soul」(2019)
New York Dolls:32年ぶり「One Day It Will Please Us to Remember Even This」(2006)
Giorgio Moroder:30年ぶり「Deja Vu」(2015)
Sonic Boom:30年ぶり「All Things Being Equal」(2020)
The Dream Syndicate:29年ぶり「How Did I Find Myself Here?」(2017)
The Eagles:28年ぶり「Long Road Out Of Eden」(2007)
Cabaret Voltaire:26年ぶり「Shadow Of Fear」(2020)
Chic:26年ぶり「It's About Time」(2018)
Stray Cats:25年ぶり「40」(2019)
The Boo Radleys:24年ぶり「Keep On With Falling」(2022)
The Who:24年ぶり「Endless Wire」(2006)
Steve Perry:24年ぶり「Traces」(2018)
Pixies:23年ぶり「Indie Cindy」(2014)
Diana Ross:22年ぶり「Thank You」(2021)
My Bloody Valentine:22年ぶり「m b v」(2013)
Slowdive:22年ぶり「Slowdive」(2021)
Stabbing Westward:21年ぶり「Chasing Ghosts」(2022)
Devo:20年ぶり「Something For Everybody」(2010)
The Feelies:20年ぶり「Here Before」(2014)
Pink Floyd:20年ぶり「The Endless River」(2014)

<邦楽>
梶芽衣子:43年ぶり「追憶」(2018)
山口美央子:35年ぶり「トキサカシマ」(2018)
ジューシィ・フルーツ:34年ぶり「BITTERSWEET」(2018)
GASTUNK:33年ぶり「VINTAGE SPIRIT, THE FACT」(2021)
The Good-Bye:30年ぶり「Special ThanX」(2019)
T-BOLAN:28年ぶり「愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~」(2022)
あらきなおみ:26年ぶり「1964」(2021)
アリス:26年ぶり「ALICE XI」(2013)
有頂天:26年ぶり「カフカズ・ロック/ニーチェズ・ポップ」(2016)
CINEMA:26年ぶり「CINEMA RETURNS」(2007)
中川五郎:26年ぶり「ぼくが死んでこの世を去る日」(2004)
子供ばんど:25年ぶり「Can Drive 55」(2013)
センチメンタル・シティ・ロマンス:25年ぶり「やっとかめ」(2011)
森下玲可:25年ぶり「Jikuu~時空~」(2021)
サイバーニュウニュウ:25年ぶり「CYBER NEW NEW」(2016)
森口博子:24年ぶり「蒼い生命」(2021)
To Be Continued:22年ぶり「Paradise in life」(2021)
グランドファーザーズ:21年ぶり「GRANDFATHERS」(2012)
WANDS:21年ぶり「BURN THE SECRET」(2020)
亜無亜危異:20年ぶり「パンク修理」(2020)
DEAD END:20年ぶり「METAMORPHOSIS」(2009)
YEN TOWN BAND:20年ぶり「diverse journey」(2016)

そもそも何をもって「アルバム」とするのか、というところから迷うわけですが。
Pixiesや有頂天はフルアルバムに至る前にEPやミニアルバム出してますし、他にもセルフカバー盤や過去音源の発掘盤のリリース等ある人もいますが、ここは「新録・オリジナル・フル・アルバム」という形で。
Eaglesの復活アルバム「Hell Freezes Over」なんかは馬鹿みたいに売れましたが、あれは新曲は4曲のみでそれ以外はライブ音源なのでその次に出たオリジナル・アルバムでカウント。

それでも、Chicの2018年の盤は正確には「Chic」名義ではなく「Nile Rodgers & Chic」名義だったり、Sonic Boomは個人の「Sonic Boom」名義では30年ぶりですが、「Spectrum」「E.A.R.」の名義ではその間に唸るほどリリースしていたり、微妙にそれぞれ事情が異なっていることには敢えて目をつぶる。

英米の方がやや多いのは、単に邦楽の方が情報的にマイナーなところまで拾えるからだとは思いつつも、それでも「大衆音楽」とか「レコード産業」が社会的に成立するのが日本の方が少し遅かったからという理由もあるのかなとか、日本の方に女性ソロが多いのは、日本と欧米の女性の社会的なところの差の部分もあったりするのかもしれないと思ったりとか。

ただ、上記は原則、前のアルバムとニューアルバムが「同一名義」であることを条件としていますが、キャンディーズ時代の1978年「早春譜」から41年の時を経て、2019年に1stソロアルバムをリリースした伊藤蘭さんとかもいますので、違ったルールで拾ってみるとまた変わってくるかもしれません。

あとは、出る出る言うたまんまいよいよ四半世紀越えのゾーンに入ってきたX JAPANがどこまで記録を伸ばすのか。伸ばさなくていい。

水森かおりのご当地ソングによる日本征服のこと(2022)

過去3回ほどやったネタ。2年半ぶりです。
水森かおりさん(東京都北区出身)は、1994年にデビューしたもののいまいちパッとせず。
1999年に初のご当地ソング「竜飛岬」をリリースし、2002年の「東尋坊」でチャートも上向きになったこともあってか、それ以降ご当地ソングにほぼ固定した形でリリースを継続し、シングル以外にも1年に1枚のペースで「歌謡紀行」というタイトルで、過去のシングルや他の歌手のご当地ソングのカバー、アルバムのみ収録の新曲ご当地ソングを詰め込んだアルバムを出しているわけです。

そんなシングルとアルバム収録曲(オリジナル曲のみ)を追っていき、47都道府県どこまで制覇したのかということを確認しようと、そういうことです。

楽曲名(リリース年)
北海道 天塩川('03)
釧路湿原('04)
函館山('09)
白老ポロトコタン('13)
風のガーデン('14)
水に咲く花・支笏湖へ('18)
宗谷本線 比布駅('18)
定山渓('18)
カムイワッカ~湯の滝~('20)
青森県 竜飛岬('99)
五能線('05)
小泊風港('08)
岩手県 岩手富士('08)
三陸海岸('09)
吉里吉里港('10)
宮城県 松島紀行('10)
亘理の冬('10)
鳴子峡('21)
秋保大滝('21)
牡鹿半島('21)
秋田県 五能線('05)
山形県 庄内平野 風の中('11)
福島県  
茨城県 月待の滝恋歌('12)
潮来水郷('17)
栃木県 湯西川('17)
つつじ吊り橋・恋の橋('20)
群馬県 榛名山('15)
上州恋風('16)
埼玉県 秩父山脈('11)
千葉県 九十九里浜('22)
房総半島 吹く風まかせ('22)
犬吠埼('22)
東京都 飛鳥坂('05)
荒川線('13)
花の東京('17)
檜原忘れ路('20)
神奈川県 花の鎌倉('11)
鎌倉街道('16)
ハートブレイク・ヨコハマ('21)
新潟県 哀愁越後路('11)
佐渡航路('15)
越後水原('16)
燕三条 雨が降る('18)
富山県 氷見の旅('14)
立山連峰('16)
蜃気楼('18)
雨晴海岸('18)
風の盆恋歌('20)
石川県 輪島朝市('08)
福井県 東尋坊('02)
若狭の海('08)
足羽川ざくら('20)
山梨県 昇仙峡('10)
長野県 野尻湖ひとり('05)
信濃路('06)
辰野の雨('12)
天竜峡('16)
大糸線('16)
高遠 さくら路('19)
信濃路恋歌('19)
岐阜県 飛騨の高山('06)
ひとり長良川('12)
白川郷('12)
静岡県 雨の修善寺('09)
恋人岬('15)
遠州灘('20)
愛知県 伊良湖岬('07)
三重県 伊勢めぐり('13)
鳥羽の旅('13)
滋賀県 近江八幡('07)
比叡おろし('17)
京都府 嵯峨野巡礼('04)
天橋立('05)
京都八景('12)
京都・女舞い('14)
京都雪みれん('18)
大阪府 逢いたくて大阪・・・('13)
大阪ひとりぼっち('21)
兵庫県 明石海峡('09)
再度山('19)
奈良県 大和路の恋('15)
和歌山県 熊野古道('06)
鳥取県 鳥取砂丘('03)
島根県 津和野('12)
島根恋旅('14)
岡山県 鷲羽山('13)
広島県 尾道水道('00)
安芸の宮島('09)
山口県 秋吉台('04)
青海島('07)
早鞆ノ瀬戸('17)
角島大橋('17)
山口旅愁('17)
徳島県  
香川県 竹居岬('14)
多度津 みなと町('18)
瀬戸内 小豆島('20)
オリーブの島から('20)
愛媛県 宇和島 別れ波('17)
高知県 桂浜('06)
哀愁土佐路('21)
福岡県  
佐賀県 虹の松原('10)
長崎県 長崎夜曲('06)
熊本県 天草五橋('15)
大分県 湯布院('11)
夜明駅('21)
宮崎県  
鹿児島県 鹿児島パラダイス('06)
ひとり薩摩路('07)
奄美の砂('19)
沖縄県 美ら島めぐり('21)
海外 黄昏のタンタラス('10)
地中海('15)

前回から千葉県と沖縄県を新たに制覇し、残りは福島県・徳島県・福岡県・宮崎県の4県に。
千葉県は最新シングルで遂に登場。2018年以降、シングルタイトル曲とカップリングとも含めて同じ県で絨毯爆撃することが多くなっていますので、一気に3曲。
また「歌謡紀行」の新曲で沖縄県、しかも本島ではなく宮古島とか竹富島の方を歌詞に歌い込む形で。

で、残る4県ですが、福島県は今もなかなか安易に触れない状況だという判断をしているのではないかと思いますが、他の3県がわからない。
曲の数を見ても何となく東高西低っぽいのですが、それにしても。北海道と宮城県は既にシングルタイトル曲で2曲輩出しているのに。

特に福岡県はそれなりにデカい県なのに何で放置されているのだと思うのですが、ムード歌謡的な「夜の街」的なモチーフになる場所はそれなりにあっても、彼女のご当地ソングは自然の名所系が圧倒的に多く、そういう意味では確かにちょっとキツいのかもしれません。

それでもここまで触らないとなると、彼女自身が好かんとか、運営が好かんとか、何か私怨のようなものの存在すら疑ってしまいます。
とか言って、次のシングルで福岡県3連発とかも余裕であり得るので、やっぱりわからない。

The Divine Comedy「Charmed Life-The Best Of The Divine Comedy」のこと

私がNeil Hannon=The Divine Comedyを知ったのは1994年。
渋谷HMV3階、レジの前を通って棚が並んでいるフロアの左から3つめの試聴機。それから閉店に至るまでの間、東京中で私が最も信頼を置いていた試聴機での最初の「発見」が彼の2ndアルバム「Promenade」でした。

学生時代、演劇部の先輩の勧めもあって、単館系の映画をちょくちょく観ていたのですが、その流れでPeter Greenawayの映画の劇伴担当だったMichael Nymanにハマりまして。
クラシック的な構成ながらも非常にポップでキャッチ―な旋律に心惹かれ、4部作のサントラが1セットに収まったCDもその先輩から借りたか、三宮の「オヤユビピアノ」でレンタルしたかでカセットにダブって何度となく聴いたものでした。

それから数年後、渋谷HMV3階の試聴機で私が聴いたのは果たして「流麗な歌メロが乗っているMichael Nyman楽曲」にしか聴こえないポップソングの数々。パクりかパクりでないかとかどうでもよくて、だってそれはまさしく「自分がとても聴きたかった音楽」そのものでしたから。
試聴機下のCDを引っ掴み、バンド名を確認して「D」の棚に直行したところ、もう1枚あったのでそれも引っ掴んでレジに直行した次第。

その約2年後、1996年の3月に友人とロンドンに3泊5日で旅行に行きました。
観光地はビッグベンすら見ることなく、レコ屋を巡ってパブでビールを入れてライブハウスに行ってライブ終演後はクラブで踊り倒して朝方帰ってきて昼まで寝る、というサイクルを3回続けただけの酷い旅でしたが、到着したヒースロー空港のロビーで入手したフリーペーパー「TIME OUT」のライブスケジュールをホテルで熟読していて見つけた「The Divine Comedy」の文字。何という奇跡。
電話で予約入れられる自信はなかったので、レコ屋巡りの合間にKing's Cross駅近くのライブハウスまでチケット買いに走り、翌日ドキドキしながら改めて向かうわけです。

古い劇場を改装したようなライブハウス。300人程度入るくらいに半分くらいの入りか。
それでもNeil Hannonは「ロンドンでの初めてのワンマンショーなんだ」とか「いい新曲ができたんだよ」とか言いながら終始機嫌よく、4名の小所帯ながら素敵な演奏を聴かせてくれました。
終演後は物販で日本では見たことのない彼のレコードを場にある全種購入して帰途につきました。
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そしてその半年後、ライブで聴いた「いい新曲」だった「Something for the Weekend」がUKチャートの上位に躍り出て、心底ビビることになるのですが。

そういう奇跡的な出会いもありつつ、でも何よりも彼がずっと作品を発表し続けてくれたおかげで、彼の音楽をずっと聴き続けてこれました。
で、今回のオールタイムベスト

こういうオールタイムベストの場合、洋邦問わずリリース順に並べるのが常ですが、Neilはそんなことしない。
ひたすら彼の美意識に従って選ばれ並べられた結果、さすがにヒットした曲は網羅されているものの、シングル曲が全部入っているわけでもなく、代わりにアルバム内の小曲的な楽曲が収録されていたり。
結果として2枚組24曲が、2枚のオリジナルアルバムのような美しい流れで披露される形。ベストのための新曲も出色の美メロ。
そして大好きな「Promenade」収録曲の中でも名曲、もし自分が「生涯のベスト10曲を挙げろ」という拷問を受けた際には、苦悶しつつも確実にその1曲には入れるであろう「Tonight We Fly」がラストを締める。
最高じゃないですか。

前にThey Might Be Giantsの新譜のことを書いたとき「少なくともUSでは」という語を敢えて入れたのは、UKにThe Divine Comedyがいたからです。あとPet Shop Boysな。

2011-2013年、イオンでのタワレコ VS HMVのこと

2021年秋、100均のキャンドゥがイオンの傘下に入って、先日には新規出店強化を打ち出しました。
一方100均業界トップのダイソーは気が付くとPB商品をセブンイレブンで展開を開始していました。確認してみると2020年から一部店舗で始めていたものを大々的な展開を開始した様子で。

現状ダイソーはイオングループの約400店舗に入店しているのですが、それらの既存店舗を追い出すことはしない旨、イオン&キャンドゥ側は言っているようです。
実際あからさまに追い出すようなことがあれば、凄い勢いで独禁法に抵触しますのでできないのですが、でもこの「イオン vs セブン&アイ」の構図、既視感があります。
約10年程前にタワーレコードとHMVの間で起きていた事象を何となく思い出しまして。


タワーレコードは1980年、HMVは1990年に日本上陸し、当初は大都市圏の駅近の商業ビル内に出店を行いながら店舗網を拡大していったのですが、2000年の大店法廃止→大店立地法施行によって日本中の郊外に大規模ショッピングモールが次々オープンする流れに乗っかって、爆発的に店舗網を拡大していくことになります。
都市型商業ビル系を除くとこんな感じ。

■タワーレコードのイオン系列への出店
1999/09:イオン倉敷SC
2000/09:イオン岡崎SC
2000/12:イオン高知SC
2001/06:イオン新居浜SC
2001/07:イオン東浦SC
2001/12:イオン大和SC
2002/06:イオン鈴鹿SCベルシティ
2002/09:イオン高岡SC
2002/10:イオン若松SC
2003/03:イオン下田SC
2003/07:イオン熱田SC
2003/08:イオン盛岡SC
2003/10:イオン津田沼SC
2003/11:イオン香椎浜SC
2004/04:イオン旭川西SC
2004/08:イオン上田SC
2004/10:ダイヤモンドシティ・プラウ(堺北花田)
2004/11:イオン北戸田SC
2004/11:イオン八代SC
2005/04:イオン八千代緑が丘SC
2005/04:イオン直方SC
2005/04:イオン新発田SC(2010/01閉店)
2005/04:イオン苫小牧SC
2005/05:イオン宮崎SC
2005/05:イオン千種SC
2005/06:イオン浜松市野SC
2005/11:イオン水戸内原SC
2007/02:イオン八代SC
2007/10:イオン新潟南SC
2008/10:イオンレイクタウン(越谷)
2009/09:イオン鹿児島SC

■HMVのイオン系列への出店
2003/08:イオン扶桑SC
2003/10:イオン柏SC(青森)
2003/12:イオン太田SC
2004/08:イオン浜松志都呂SC(2010/08閉店)
2004/12:イオン姫路大津SC(2010/09閉店)
2004/12:イオン与野SC
2006/03:イオンナゴヤドーム前SC
2006/04:イオン千葉ニュータウンSC
2006/04:イオン浦和美園SC
2006/10:イオン高崎SC
2006/11:ダイヤモンドシティ・ミュー(武蔵村山)
2007/02:ダイヤモンドシティ・エアリ(名取)(2010/09閉店)
2007/07:イオン各務原SC
2008/03:イオン大高SC
2008/04:イオン仙台泉大沢SC(2010/09閉店)
2008/08:イオン上里SC(2010/08閉店)
2008/11:イオンモール草津(2010/07閉店)
2009/05:イオン土浦SC(2010/09閉店)
2011/07:イオンモール伊丹テラス
2011/07:イオンモール木曽川キリオ
2011/08:イオンモール成田(WAVEから転換)
2011/08:イオンモール秋田(WAVEから転換)
2011/08:イオンモール川口キャラ(WAVEから転換)
2011/09:イオンモール羽生(WAVEから転換)
2011/10:イオン浜松市野SC
2011/11:イオン八千代緑が丘SC
2012/04:イオンモール直方
2012/04:イオンモール船橋
2012/04:イオンモール福津
2012/10:イオンモール岡崎
2012/11:イオンモール高岡
2012/12:イオンモール水戸内原
2013/03:イオンモール春日部
2013/03:イオンモール高知
2013/04:イオンモール熱田
2014/12:イオンモール岡山

こんな感じで両チェーンとも2000年代以降、イオンモールをはじめとした大型モールへの出店によって店舗網を拡大していくことになります。

その間にタワーレコードは、

2002/10:アメリカ本社から離脱
2005/11:NTTドコモが筆頭株主に
2011/03:セブン&アイが筆頭株主に
2012/07:NTTドコモが再度筆頭株主に

HMVは、
2007/08:英国本社から離脱
2010/10:ローソンの完全子会社に

こういうふうに外資系ではなくなって、資本関係が変わっていきます。

HMVはローソンの子会社になる前の2010年頃に非常に経営状況が悪くなっておりまして、続々と店舗を閉じておりました。旗艦店だった渋谷店の閉店も2010年8月です。
しかし、ローソンの子会社になることで後ろ盾を得て再度積極展開に転じ、とりあえず減った店舗を取り返すべくちょうどその時期に経営破綻したWAVEの店舗の相当数を引き取ります。
それでもまだまだ2010年までに閉店した数を補うまでには至りません。

ここまでは前提、ここからが本題。
キーになる出来事は2011年3月、タワーレコードの筆頭株主がセブン&アイになったことで、「セブン&アイグループのチェーン店舗がイオンの中にある」状態になります。
ローソンはかつてはダイエーの子会社でしたが2001年以降は三菱商事グループ。それでもミニストップと提携したりと比較的「親イオン」的な立ち位置。

現在のダイソー vs キャンドゥの場合は「イオングループの競合チェーンがイオンの中にある」状態で、ダイソーは2020年以降セブンイレブンと提携を結んでいますので、正味かなり近い状況であったわけです。

セブン&アイ側が、自社グループのチェーンがイオン内にあることを嫌ったのか、イオン側がセブン&アイグループの店舗が自社内にあることを嫌ったのか、どちらかはわからないのですが、セブン&アイが筆頭株主になって以降、結構な数のタワーレコードがHMVに置き換えられていくという事態が発生します。

2011/08:イオン浜松市野SC、タワレコ→HMVに転換
2011/09:イオン八千代緑が丘SC、タワレコ→HMVに転換
2012/03:イオンモール直方、タワレコ→HMVに転換
2012/09:イオンモール岡崎、タワレコ→HMVに転換
2012/09:イオンモール水戸内原、タワレコ→HMVに転換
2012/10:イオンモール高岡、タワレコ→HMVに転換
2013/02:イオンモール熱田、タワレコ→HMVに転換
2013/02:イオンモール高知、タワレコ→HMVに転換

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同時期、数は多くないですが、セブン&アイグループの商業モールであるアリオに入っていたHMVがタワーに置き換えられる事例も発生します。

2012/02:アリオ川口、HMV→タワレコに転換
2013/02:アリオ八尾、HMV→タワレコに転換

ただ、2013年2月あたりでこれらの動きは止まります。
恐らくですが、2012年7月にNTTドコモが再度筆頭株主になったことで、直接的な対立の構図が薄まったことが背景にあるのかと思います。
この時期に既にテナント契約を継続しないことが決まっていたであろう店舗は閉店したものの、2013年3月以降にこのような転換は一切なくなっています。
イオンモール盛岡では、一旦は2012年8月20日に閉店が決まって7月に発表したものの、8月2日に閉店の撤回を発表して営業を継続したという事例もありました。

2013年3月以降、転換がなくなると同時にイオンモールへのタワーレコードの出店もなくなります。
2015年1月にダイエーが完全子会社化されたことでイオングループとなったオーパに、2015年10月にタワーレコード藤沢店、2017年10月にタワーレコード高崎店がオープンしたりと、完全にイオンと切れているわけではないのですが、以前とは比べ物にならない状態に。

セブン&アイグループのアリオ系のモールには出店していたのですが、2016年にアリオは新規の開発を中止、この報道の後、2017年にオープンしたプライムツリー赤池には結局出店せず。
そして現在はイオンだのセブンだのタワーだのHMVだの言っていられない状況。

正味、以上の流れから察するにこの「タワー/セブン VS HMV/イオン」は、どちらかといえばセブン側からのアクション強めではなかったかと思っていますし、ダイソーが凄い勢いでキャンドゥに置き換えられるとは考えにくいですが、それでも久々に「セブン VS イオン」のグループ対決っぽい構図になっておりますので、10年程前のことを思い出してまとめてみました。

つうかセブンは既に本体が相当追い詰められているので、そっちの方が気になるっちゃ気になる。

映画『Still Dreamin'-布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム-』のこと

友人同士のLINEで盛り上がった結果、8日の晩に観てきました。

私がBOOWYを初めて聴いたのは、当時好きだったクラスの女の子から「絶対好きだと思うから聴いてみて」と渡された3rdアルバム『BOOWY』のカセット。レコードをコピった奴じゃなくて市販のMT。
案の定すごく好きな音で、彼女のことも好きだったので愛聴盤になり、『JUST A HERO』も彼女から借りて聴いて、『GIGS』は自分でLPを購入。
『BEAT EMOTION』には少し違和感を覚え、『PSYCHOPATH』でこっちのほうが好きだなあと思ったら解散して。

で、氷室ソロには『BEAT EMOTION』に近い違和感を覚え、布袋どうなるやらと思ったらアルバムのリードトラック「C'MON EVERYBODY」のあんまりなSIGUE SIGUE SPUTNIKっぷりに爆笑すると同時に自分は断然こっち派だと確信して以降、聴き続けてきたわけですが。

そんな彼のここまでの活動をまとめた映画。
「布袋寅泰のこれまでの活動(BOOWY以降)」と「布袋寅泰のコロナ禍日記」と、時々「布袋寅泰のおもしろステージ衣装コレクション」と、それらを若干フィクショナルな展開でつなぐ形で、純粋なドキュメンタリーでもなく一言では言いにくい内容。

すごく音はよかったので、この音と大スクリーンで演奏シーンをもう少し長尺で観たかったという気持ちは正直ありますし、映像として映画として傑作かと言われたらそんな鼻息荒くすごいすごいと言うレベルではないです。
それでも彼くらいデビュー以降いろいろあった人もそうそういないでしょうし、活動を追うだけで十分にドラマになります。
大ファンでなくてもBOOWY・COMPLEX・ソロをずっと聴いてきた人であれば確実にグッとくる瞬間はあるし、やっぱ布袋好きだなあという気持ちになれると思います。

突っ込むとすれば、「フィクショナルな展開」は結局何だったんだろう、という点と、Jesus Jonesのマイク・エドワーズは友達じゃなかったんか、という点と、交流や共演のあった海外有名ミュージシャンの名が並ぶ中で何でその人が最後やねん、という点です。
気持ちはわからんでもないです。

2週間限定公開、多分この連休が休みの日は最後です。料金は少しお高めですが、彼に限らず現役ミュージシャンの映画が増えているのは、コロナ期間に思うようにライブ等の活動ができない中でやれることやりましょう、ということだと思いますので、そこはミュージシャンを応援するつもりで。
で、しばらくすれば当然映像パッケージとして特典映像満載でリリースされるでしょうから、懐具合がよければそちらも。自分は、特典映像次第で検討します。

冬季五輪のテーマソングのこと

冬季五輪が始まりましたが。
クソ寒い中バッハが相変わらず長話して時間押したり、夏の東京に続いて置きに来たようなタイミングで「イマジン」かかったり、今回ももにょもにょした気持ちで見ていたのですが。

で、夏に各局の「五輪テーマソング」を確認しましたので、冬もやってみます。
夏の「民放共通のテーマソング」であった桑田佳祐楽曲は、五輪開催延期に伴ってリリースまで延期していたもので、いつまでも使えるものでもありません。
ですので、今回は各局それなりに自前で準備してくるかと思ったのですが、蓋を開けたら何とも言えない感じでして。

■NHK
milet「Fly High」(SME Records)

■日テレ
KAT-TUN「CRYSTAL MOMENT」(J Storm)

■テレ朝
特になし?(ダイジェスト等の関連番組では、夏季五輪と同様「CANDO by TEAM SHUZO」を使用)

■TBS
Ado「マザーランド」(UNIVERSAL)

■テレ東
広瀬香美「君にセレナーデ」(Muse Endeavor Inc.)

■フジ
関ジャニ∞「凛」(夏季五輪から継続使用)(INFINITY RECORDS)

こんな感じ。
ただ、Ado「マザーランド」のタイアップの名義は「『TBS系スポーツ2022』テーマソング」、広瀬香美「君にセレナーデ」は「『テレビ東京系列ウィンタースポーツ2022』テーマソング」、関ジャニ∞「凛」は「FUJI Network. Song for Athletes」ですし、「CANDO」に至っては楽曲本体の名義が「松岡修造アスリート応援テーマ」なので、五輪の他にも使い回す気満々で、実際テレ朝とフジテレビは五輪だけで2周目です。

Adoさんの場合、1月26日にユニバーサルから初のフィジカルリリースでもあるアルバムをリリースしていますが、それに伴って声だけではあるものの1月中旬あたりからびっくりするくらいテレビ出演されていますし、この起用にもアルバムのプロモーション的な側面があるのだろうなあ、というあたりも併せて考えると、こういう「お祭り」にもお金を突っ込むことができない程度までには民放はお金がなくなってきているのだな、と思います。

あと、ジャニーズ勢は、キャスターについても日テレは櫻井翔、フジは村上信五と、テーマソングと共に揃えてきています。
今ではテレビ界隈においても過去のような排他的な威力を発揮できなくなっているジャニーズ事務所ですが、やはりこういうキャスティングまわりは圧倒的に強いです。
それでもSMAPも嵐もいない中、そして民放にお金がない今、過去と比べて動くお金の量はどれくらい減っているのだろうと考えると、少ししょんぼりした気持ちになります。景気のいい話が聞きたい。

TSUTAYAのフランチャイジーのこと

前回でTSUTAYAの閉店が相変わらずなのは確認できたとして、最大手フランチャイジーのひとつであるトップカルチャーは2023年目途でレンタルをやめることを公表しています。
そこで気になるのは、展開する店舗のうち9割はフランチャイズ、直営は1割程度のTSUTAYA/蔦屋書店で、他のフランチャイジーはどういう感じやねんということ。
まず、TSUTAYAのフランチャイジーにはどういう企業が参加しているかというあたりから確認。

■フランチャイズ屋
様々なブランドのフランチャイズ店舗を出すことがメイン業態という企業。
トップカルチャー(本社:新潟県)が代表例ですが、ただここは他にも古本市場の店舗を出したりもしていますが、ちょっと蔦屋書店に依りすぎの感も。
九州最大のフランチャイジーで、熊本の蔦屋書店 三年坂を運営している(株)ニューコワン(本社:熊本県)もこのカテゴリ。

■取り込まれた元同業者
元々はレンタル業におけるライバルだった地元のレンタルショップが、軍門に下ってTSUTAYA化したところ。
一時は業界3位だったサンホームビデオを経営していた(株)サンレジャー(本社:東京都)は、CCC傘下に入った後合併等を経て現在(株)Vidawayとして存続しています。
何故か一部店舗は「サンホームビデオ」のまま運営を続けていましたが、2020年3月に北海道士別市、2020年9月に岩手県北上市の店舗が閉店し、最後に残った北海道江別市の店舗もこの3月に閉店決定。

■書店系
元々純粋な書店だったチェーンがレンタルを導入するにあたってTSUTAYAのフランチャイズになったパターンもありますが、元々は独立してレンタルも営業していたのがCCCグループに入った「取り込まれた」系に近いものとの2種。
ただ、この後者の場合は「抗って負けた」というところはほとんどなく、CD/DVD販売・レンタル部門のノウハウをアウトソーシング的にCCCに頼ったという感じのところが多め。
(株)ブックエース(本社:茨城県)、文苑堂書店(本社:富山県)あたりは相当古くからのフランチャイジーです。

■スーパーマーケット/ホームセンター系
地元資本のスーパーやホームセンターが大型店舗等を出店する際に取扱い品種を多様化して集客性をより高めるために、TSUTAYAのフランチャイズ店舗も敷地内に出したりするパターン。
リオンドール(本社:福島県)、ひらせい(本社:新潟県)、オークワ(本社:和歌山県)、フジ(本社:愛媛県)あたりが大手。

■ガソリンスタンド系
割と多いのが、ガソリンスタンドを経営している企業が多角経営のためにこっちも手を出してみた感じのパターン。そもそもガソリンスタンドが古くから「出光」とか「昭和シェル」とかの看板で商売をしてきたフランチャイズ的な業態ですので相性もよく、店舗用地取得のノウハウを持っているところも強そう。
フタバ図書がTSUTAYA化する前から広島市内にあったTSUTAYAはだいたい大野石油店(本社:広島県)の運営です。

■交通系
神奈川中央交通や神姫バスが今もTSUTAYAを運営しています。現在はすべて閉店しましたが小田急電鉄の子会社の小田急商事が運営した例も。
駅構内や車庫等の事業用地を比較的持っているので、それの有効活用という側面もあると思います。

こんな感じですが、ホームページも持たないような企業が運営していたり、フランチャイジー同士で店舗の譲渡も割とあって、どの店舗がどの運営かということの全体像はなかなかわかりません。

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蔦屋書店 厚木戸室店(トップカルチャー・2021年5月閉店)

で、主なフランチャイジーの最近の動きですが。
まず、近々で具体的な動きがあったところから。

○トップカルチャー
2023年度中にレンタル事業からの撤退を表明
とはいえトップカルチャーの「蔦屋書店」名義の店舗は概ね相当な床面積を持つ大型店舗で、レンタル以外にもCD/DVDや書籍販売はもちろん、文房具・ゲーム・雑貨の販売までを行っていますので、今はそれなりのダメージにはなるとしても、今後下がり続けるであろうレンタルの売上を考えればこの判断は間違ってないと思います。

○ワンダーコーポレーション
WonderGOOを運営している企業、自前でCD/DVD販売まで行っていますが、レンタルについてはTSUTAYAのフランチャイジーとなって既存のWonderGOOの店内にTSUTAYAのレンタルを展開、「WonderGOO TSUTAYA」のダブル屋号状態で営業していました。
が、2021年後半からTSUTAYAレンタルを終了し、再び「WonderGOO」単独屋号に戻る動きが見られるようになり、今年に入っても止まりません。このペースで順番に閉じていったら下手したらトップカルチャーより先にTSUTAYAレンタル消滅するんちゃうか。

○フジ
愛媛県本社のスーパーマーケットですが、大規模店舗フジグラン内をメインにTSUTAYAを出店していました。
が、2019年に運営していたTSUTAYAの半数以上になる12店舗を突如放出開始、宮脇書店に譲渡してしまいました。この際レンタルを取り扱っていた店ではレンタル消滅。
残り店舗も昨年1店舗閉店し、安心はできません。

○ひぐち(遊ING)
長崎市内を中心にスーパー・パチンコ・飲食店等を運営する企業で、元々は独立したチェーンとして「遊ING」名義の店舗を運営していましたが、2011年にCCCのフランチャイジーに入り「TSUTAYA遊ING」になりました。
が、昨年6月に畝刈店が「店舗移転のため」「新店舗移転OPENは2022年春頃」という大変にざっくりしたアナウンスのみで閉店して不穏な空気を醸していましたが、先日浜町店が「2/28に移転のため一時閉店、4月上旬に『遊ING浜町店』としてオープン、取扱商品はBOOK・eスポーツ・ゲーム・トレカ」と、今度はわかりやすいアナウンスを出しまして。
読み取る限り、TSUTAYAのフランチャイジーだったDVD/CDのレンタル・販売部門を切り離して改めて「遊ING」単独名義に戻るということのようです。現状で「TSUTAYA遊ING」名義残り2店舗がどうなるかはまだ不明。


その他フランチャイジーで頑張ってたりしんどかったりするところ。

○Vidaway
元サンホームビデオの小規模店舗を多く抱えているわけですが、相当に踏ん張っています。50店舗以上を運営しているにもかかわらず、ここ数年で閉店した店舗はほとんどなし。
なのですが、2021年以降は八戸南類家店、五所川原小曲店、盛岡南店、和田町駅前店、東戸塚店と、割とコンスタントに閉じ始め、さっき言ったようにサンホームビデオ名義の店舗も完全消滅決定。限界突破したのかもしれません。

○FACE
会社設立間もない1980年代の段階でフランチャイジーになったFACE(本社:埼玉県)ですが、全盛期は30店舗近くを運営していたのが、2018年以降で10店舗以上閉店しておりまして、割と大変そうです。
創業店でもある埼玉県朝霞市のみはら店の動向が気になります。

○ブラス
南関東を中心にTSUTAYAを展開していたブラスメディアとMeLTSとすばる書店のTSUTAYA事業部門が合併して新会社ブラス(株)となったのが2014年。
もうこの時点で本社機能等を集約してコスト削減したれという気持ち満々なのがわかりますが、そのおかげか合併直後数年はさして閉店する店舗も少なめで頑張っていました。
それでも、2020年以降閉店ペースが若干増えているような気がします。とはいえ50店舗近くを保ち、半ば移転とはいえ昨年9月の段階でTSUTAYAの新店をオープンさせていたりと気を吐いています。

○アクト・ティ
元々は秋葉原の店舗を運営する(株)クォークとともに「リバティー」名義の店舗を運営していたアクト・ティ(本社:東京都)ですが、21世紀になってから屋号をTSUTAYAに集約。
そのTSUTAYAも5年前までは10店舗あったのが少しずつ削られて、現在4店舗。
都心にSHIBUYA TSUTAYA(直営)と共に残ったレンタル拠点、池袋ロサ店の運営はここですので、応援しよう。


先刻述べた小田急商事(The New's TSUTAYA名義)や岐阜県の自由書房(TSUTAYAファミリークラブ名義)は完全にTSUTAYAから撤収、秋田県の高桑書店は2018年にTSUTAYAを含む書店事業を譲渡して翌年には倒産と、完全撤退するフランチャイジーも少なくなく、他のフランチャイジーも当然ですが予断を許しません。

先に並べた企業のうち、ガソリンスタンド系や交通系は、正味本業の今後がなかなか厳しいところも少なくなく、本業をサポートできるレベルの売上がなければ撤収するのもやむなしでしょう。
当然ですが書店系も楽ではないでしょうし、フランチャイズ屋も他にどういう業態を持っているかでも大変さは異なります。そして当然ですが各社どういう経営をしているか。

そんな感じで、当面頑張れそうなところと最早ギリギリなところとの差は大きく、ある地域一帯がひとつのフランチャイジーに寡占されている地域もけっこうあるという点を併せて考えると、今後ますます店舗所在の地域差が大きくなっていき、そして更にその時期を越えるとだいたいどの地域からもなくなる、という順序で進んでいきそうです。

今年のTSUTAYAとGEOの閉店っぷりのこと

タワレコやHMVがこれまで我慢していた閉店を解禁したり、新星堂がズルズルと店舗を減らしていたり、相変わらずカウントダウンを進めているCD販売店界隈ですが、そんな中2大レンタルチェーンのTSUTAYAとGEOは、今年に入ってちょっと加速度が増した感があります。
今年に入ってから2月いっぱいまでの閉店および閉店決定店舗一覧。

【TSUTAYA】
01/04:TSUTAYA 石堂店(青森県八戸市)
01/07:TSUTAYA 瓢箪山店(大阪府東大阪市)
01/15:TSUTAYA 大鳥居店(東京都大田区)
01/15:TSUTAYA 葛西店(東京都江戸川区)
01/16:TSUTAYA 函館港町店(北海道函館市)
01/16:TSUTAYA 東戸塚店(神奈川県横浜市戸塚区)
01/16:TSUTAYA 碧南店(愛知県碧南市)
01/19:WonderGOO TSUTAYA 江戸崎店(茨城県稲敷市・レンタル終了)
01/23:TSUTAYA OUTLET 神栖店(茨城県神栖市)
01/23:TSUTAYA 東大島店(東京都江東区)
01/25:WonderGOO TSUTAYA 日立田尻店(茨城県日立市・レンタル終了)
01/26:TSUTAYA 京橋店(大阪府大阪市)
01/31:TSUTAYA 新橋店(東京都港区)
01/31:TSUTAYA 赤坂店(東京都港区)
01/31:TSUTAYA BOOKSTORE ビーンズ赤羽店(東京都北区)
01/31:TSUTAYA シァルプラット東神奈川店(神奈川県横浜市)
01/31:TSUTAYA 伊東店(静岡県伊東市)
01/31:TSUTAYA 豊岡アルコム店(兵庫県豊岡市)

02/06:TSUTAYA 武蔵小山店(東京都品川区)
02/06:TSUTAYA 藤井寺駅前店(大阪府藤井寺市)
02/10:TSUTAYA 下高井戸店(東京都杉並区)
02/10:TSUTAYA 八戸ノ里店(大阪府東大阪市)
02/20:平和書店 TSUTAYA 堅田店(滋賀県大津市)
02/27:TSUTAYA 花小金井店(東京都小平市)
02/28:TSUTAYA 湯沢店(秋田県湯沢市)
02/28:TSUTAYA 東浦和店(埼玉県さいたま市)
02/28:TSUTAYA 高田馬場店(東京都新宿区)
02/28:TSUTAYA JR住道店(大阪府大東市)
02/28:TSUTAYA遊ing 浜町店(長崎県長崎市)

【GEO】
01/16:GEO 蓮田店(埼玉県蓮田市)
01/30:GEO 河内小阪駅前店(大阪府東大阪市)

02/13:GEO 岩井店(茨城県坂東市)
02/13:GEO 境店(茨城県猿島郡境町)
02/13:GEO 西川口店(埼玉県川口市)
02/13:GEO 成田江弁須店(千葉県成田市)
02/13:GEO 平和島店(東京都大田区)
02/13:GEO 高円寺店(東京都杉並区)
02/13:GEO Bivi藤枝店(静岡県藤枝市)
02/13:GEO 武豊店(愛知県知多郡武豊町)
02/20:GEO 郡上八幡店(岐阜県郡上市)
02/20:GEO 高島新旭店(滋賀県高島市)
02/20:GEO つかしん店(兵庫県尼崎市)
02/27:GEO 札幌南21条店(北海道札幌市)

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(GEO 高円寺店)

TSUTAYAについては1か月に18店舗撤収というのは記憶にある限り新記録。2月も割と快調にすっ飛ばしています。
WonderGOOは昨年後半からTSUTAYAレンタルを排し、WonderGOO単独名義の店舗に戻る流れが続いていますが、その他全体的には大都市圏のレンタルのみの小規模店舗が多めです。
八戸市のTSUTAYAは去年の11月までは市内4店舗あったのですが、2か月で2店舗閉店して半減というスピード感。
豊岡市は市内の2店舗を「レンタル専門店」と「販売専門店」と完全に分けていたのですが、今回はレンタルの方が閉店です。
そうやって「間引かれる」感じの閉店は前からそこそこ多く、東大阪市なんかこの1-2月でTSUTAYAとGEO合わせて3店舗閉店。市内に残るのはGEO2店舗のみになります。

そのGEOは、過去もここまで店舗は減らしてはいるものの多くても月2-3店舗ずつというのが普通だったのですが、2月13日のエゲつない同時閉店を含めて1か月に2桁が一気に閉店。これだけの数は初めてです。
こちらも割と小規模店が閉店のメイン。企業としてのGEOは既にセカンドストリート名義の店舗での総合リユースをメイン業態としていますが、GEO名義の店舗でも中古品販売を開始しています。
で、たとえば今回閉店するうちの平和島店や高円寺店なんかは、レンタルDVD専業の店舗としても極めて狭い超小規模店です。店内でどうやっても複数種業態の同時展開が不可能なこういう店舗は、比較的床面積広めの郊外型店舗に先がけて削られていくのだろうなあ、と思います。
店によっては入口そばにリユース商品以外にスナック菓子とカップ麺がガシガシに積み上げられていて、もはや何屋かもわからなくなっているところも結構あって、広くてもかなりしんどそうですが。

昨年7月にTSUTAYAの最大手フランチャイジーのひとつトップカルチャーが2023年度までに全店でレンタルをやめるというニュースが出ましたが、ここ数日何故かまたそのニュースがバズっていています。
最初にニュースが出た時と同様「フランチャイジー」や「トップカルチャー」を読み飛ばして「TSUTAYA全店でレンタル終了」とか、酷いのになると「TSUTAYA全店閉店」みたいな解釈をして結果としてデマを拡散している人が割といて、お前らもっと頑張れよと思うのですが、でもこのペースを見るにつけ、2023年度末までには結構な数のフランチャイジーが完全に諦めているとしてもおかしくない。
最終結果としてはそんなに言うほどデマではなかった世界だったりする可能性も。あるのかな。

Official髭男dism@代々木第一体育館のライブのこと

本日は代々木第一体育館でOfficial髭男dismのライブ。

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元々は2020年5月に開催するはずだったライブが1年8か月もの延期の末に今回ようやくの代替公演、しかも会場もお台場有明のガーデンシアターのはずだったのが代々木。
でも代替公演発表の時に「週末の代々木」か「平日の有明」かで日程の選択ができて、自分で代々木を選んだので文句は一切ありません。

というか、普通だったらこれだけ間が空けば一旦中止扱いにして全面的に払い戻しにして仕切り直しても仕方がない状況なのに、きちんと当時に当選したチケットが生きて今行けるというだけで大変にありがたい。
しかも座席はアリーナ30列番台。大変にありがたい。
代々木第一体育館は、アリーナでも後方になると絶望的なくらいステージが遠くに見えるので、アリーナ後方になるならスタンドの方がむしろいいのですが、アリーナ40列番台くらいまでならアリーナの方がいい。ありがたい。
OASISの来日公演の時、アリーナの後ろから3列目だった時の悲しみは今も忘れない。

で、ヒゲダンだ。
彼らを初めて認識したのは「Stand by you」で、夜中のテレビ番組のスタジオライブで見てそれこそ椅子から転げ落ちました。
決して流麗ではないけれど一発で覚えてしまうメロディのキャッチ―さ、そしてこれ間違いなくライブで盛り上がるやんけ的な楽曲の構造。
で、2019年の「VIVA LA ROCK」でライブ観て「間違いねえ」と思ってワンマン検索してみたら日本武道館既に完売。
次こそはと思ってかなり頑張ってやっと取れたと思ったら、すごい延期でようやくの今日ですよ。もう期待でミチミチですよ。

ライブの一発目の感想は「異常」。ようやくメジャーでアルバム2作出したばかりの若手だというのに、何でこんなに有名曲ばかりなんだ。
私は一応全曲聴いてるから知ってはいますが、今回同行した友人はそこまで聴き込んでいる人ではないのですが、公演後「最初よく知ってる曲が立て続けだったので、この後知らない曲ばかりだったらどうしようと思っていたけど杞憂だった」みたいなことを言っていて。
凄まじい数のタイアップ曲のおかげで、「みんながよく知ってる曲」がこの活動歴にしてその数がとんでもないことになっている。
MCで藤原くんが「初めての人でも楽しめるライブにしたい」と言ってくれたのですが、もうライブ前の時点でそれが約束されている。そしてあまり露出の多くなかった曲や非タイアップ曲だったとしても、アッパーなのを立て続けにかますことでそこでライブのピークを作ってしまう構成の素晴らしさ。
そしてそんな状況で各メンバーの確かな実力もあって演奏には既に風格すら漂っているのに、お辞儀がやたら深く感謝もやたら語る腰の低さ。
もう何かこれは、今しか観られないものを見ている気持ちになります。

昨今の若手バンドについて、割と本気で課題だと思っているのが、「世間的にバズった名曲」を1曲世に放って、それで少し名が知られたりメジャーと契約できたはいいものの、そのバズった名曲を越える楽曲を作ることができないまま、人気もバズった時をピークにして何となく今も抜け切れずにもにょもにょしているバンドが割と多いことなのですが、そういう意味でヒゲダンは個人的な感想でも「Stand by you」でやられて、でも「Pretender」の方がもっと名曲だし、「アポトーシス」はまた更に越えてきたという感じで、今後も先が知れない恐ろしさ。
ここが他のバンドとの決定的な違いですし、そしてそういう積み重ねの結果、今後世代が変わったとしても、既に解散しない限り新曲とツアーで一生食っていけるだけの堅いファン層を獲得できていると思います。

だからもう安心してひたすら楽曲をこさえて、過去を越え続けていただきたいと思います。
またライブ観たい。チケットが取れれば。

で、17時開始で終演が19:30頃。そこから規制退場で会場の外に出たのが19:45頃だったのですが、蔓延防止期間ですので20時でお酒の提供終了ですよ。
もうほぼダッシュで渋谷方面に向かい、19:55頃に手近な中華屋に飛び込んでとりあえずビールを2杯ずつ発注し、無事ライブ後の飲酒に成功しました。俺らも頑張りました。

CD販売レンタル界隈2021年10大ニュースのこと

何となく考えていたまんま年を越えてしまいましたが、やってみます。
2021年のまとめみたいな感じになってしまいましたが。


タワレコ、耐えきれなくなる
実は2018年以降、3年にわたってどの店舗も閉店せずに踏ん張ってきたタワーレコードが、2021年遂に耐え切れなくなり、3店舗を閉店。

03/07:TOWERmini 汐留店
11/03:タワーレコード 香椎浜店
12/01:タワーレコード 北花田店

また、閉店のみでなく、新宿店は4フロアあった店舗を2フロアに、池袋店は2フロアを1フロアに縮小したり、既存店舗のサイズダウンも発生しています。

年が明けた後も
01/19:タワーレコード 梅田大阪マルビル店
01/31:タワーレコード 東戸塚店

閉店が決まっています。2022年、また踏み止まれるのか、もう無理か。

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新星堂が杉並区から消滅
元々高円寺の小型店から出発し、法人化した際の本社の住所は荻窪。新星堂は杉並区の中央線沿線を本拠地にして全国チェーンに成長しました。
当然のように高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪・西荻窪各駅近くに店舗を構えていましたが、ひとつ減りふたつ減り、そして阿佐ヶ谷店が8月に閉店して杉並区から新星堂が消えました。

というか、この1月に錦糸町店も閉店したため、23区内で通常業態で営業している新星堂は葛西店のみ。厳しい。


K2 RECORDS、逝く
2010年代以降はほぼTSUTAYAとGEOの2大チェーンの寡占状態、地方中堅チェーンはいくつか残っているものの、単独経営型のレンタルショップはもう世の中にほとんど残っていません。
そんな中、単独経営&音楽レンタル専業という激レア業態で日本で唯一生き残っていた大阪・日本橋のK2 RECORDSが12/30にレンタル終了、1/28には在庫一掃セールも終えて完全閉店となります。
正直、よくぞここまでという気持ちの方が強いです。
セール初日は凄い行列で3時間待ちという話も聞きました。止むを得ないことではありますが、あの凄まじいコレクションが散逸することは何となく世の中にとっての損失のような気もなんとなく。

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大都市中心部のTSUTAYAが続々閉店
7/31に札幌・TSUTAYA 札幌大通、福岡のTSUTAYA 天神ショッパーズ福岡が閉店。大都市圏の旗艦的存在だった大型店舗が閉店しました。
東京では茗荷谷店・阿佐ヶ谷店といった小型店舗が続々閉店し、レンタル可能な店舗は23区内西部ではSHIBUYA TSUTAYAと池袋ロサ店への集約が相当に進んでいますし、大阪も3/14に難波中店が閉店し、今年の1/26には京橋店の閉店も決定、市中心部については阿倍野店に集約される形になりつつあります。

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トップカルチャー、レンタルやめることを決定
そんなTSUTAYA系のレンタルで一番大きなニュースだったのが、TSUTAYAのフランチャイジーの中でも最大手と言ってよい規模のトップカルチャーが2023年度までにレンタルをやめます宣言したこと。
実際、年末の段階で20店舗以上は、元々レンタル取り扱ってなかったり既にレンタルをやめているのですが、

01/31:蔦屋書店 豊栄店
05/31:蔦屋書店 厚木戸室店
10/31:蔦屋書店 小千谷店

昨年1年で規模が大きくない3店舗は店ごと閉店しておりまして、おそらくそういう取捨選択的な形での閉店は2023年に至るまでにまだまだあるものと思われます。

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フタバ図書、TSUTAYA化
一方、広島拠点のレンタルや音源販売も行っていた総合書店チェーンのフタバ図書は、粉飾決算とかでいろいろ大変になり、結局11月までに「フタバ図書TSUTAYA」名義の店舗に置き換え完了しました。
全国から続々TSUTAYAが減っていく中、広島界隈だけは続々とTSUTAYAの看板が増えているというなかなか異常な状況になっております。
とはいえ、広島駅前のある意味ランドマークだったGIGA広島駅前店は9月で閉店。TSUTAYA化した店も正味いつまでもつのか。

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ゲオスピード、速攻で消滅
GEOが実験的に調布市仙川・世田谷区祖師ヶ谷大蔵の2店舗で2019年から展開していた無人型の店舗、GEO SPEEDですが、仙川店は2020年3月というすごいスピードで閉店し、残された祖師ヶ谷大蔵店も2021年6月いっぱいで閉店しました。
アプリで注文して店舗に行くと、ロッカーの中に注文したブツが入っている仕組み、接客は完全に無人化され、バックヤードに当たる位置に1-2人置けば業務が回る形の省人化店舗だったわけですが、その程度のコストカットでレンタルがどうにかなるわけでもなかった、ということで。

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名古屋の音楽堂、消滅
名古屋の栄地下街で1965年来営業を続けてきた音楽堂が5/31に閉店しました。
一時は郊外のショッピングモールや一宮駅や岐阜駅の構内等5店舗程度の規模でチェーン展開していたこともあったのですが、徐々に縮小して最後の店舗が閉店。
「音楽堂」という屋号は他にも各地にあるのですが、この栄地下街を本拠にした「音楽堂」はこれで消滅。
また、大都市圏の地下街で営業している新譜CD店は、これで札幌駅地下街の玉光堂パセオ店のみとなり、そのパセオ店も北海道新幹線の工事のため今年9月までには閉店します。新宿のHMV&BOOKS SPOT SHINJUKUも地下ですが、あれは「地下街」ではないんじゃないかなと思っています。


ディスクユニオンが無双
どこもCDチェーンが青息吐息の中、過去から一貫してアナログ盤を扱い続けてきたディスクユニオンは、アナログ人気にうまく乗り、3月には渋谷に新店舗を出店、7月には新宿の店舗を移転すると共に「ベストアルバムストア」を開設、そして10月には名古屋に初上陸と、唯一無双状態の快進撃。
アナログ重視やジャンル別のきめ細かな商品・店舗展開等、昔からやってきた営業方針が今の状況に非常にマッチしていると感じます。当面勢いは続くんじゃないかと思います。

 

バナナレコード、栄を去る
地味なところでは、ディスクユニオンが名古屋・栄に出店する直前の8月、名古屋の中古屋チェーンの雄バナナレコードは1981年以降長年本拠地にしてきた栄地区の店舗を閉店し、大須地区を新たに本拠地とする形になりました。
別にディスクユニオンから逃げたわけではなく、栄本店があったビルの老朽化による建て替えのための撤収なわけですが、何かこの「入れ替わり」はいろいろ象徴的でもあります。


で、2022年になりましたが、この1月は既にTSUTAYAは月単位では最高レベルの閉店が決まっていますし、GEOも来月には過去にない数の店舗の閉店が発表されています。
これまでも所謂「カウントダウン」はずっと続いていましたが、今年はこれまで以上に目に見えて減っていく1年になるんでないかと思いつつも、それでも正味、5-6年前にぼんやり考えていたよりはずっと「もってる」とも思うので、ようやっとという気持ちも。