第72回紅白歌合戦を見たこと

72回紅白歌合戦を見ました。
過去のどの回とも空気感が違っていたのですが、じゃあよかったのかどうかといえば非常にもにょもにょする感じの視聴感でした。

まず、会場が有楽町の東京国際フォーラムだったということで、この会場の使い方は大変によかったと思います。

館内マップでいくと、メイン会場はホールAだったのですが、山内惠介・三山ひろしは「ガラス棟G」の上の階、櫻坂46は「地上広場」、YOASOBIと星野源はガラス棟地下のホールE1/E2前の細長いロビー部分を使用しています。
あと、まふまふやドラクエのオーケストラについては「どこ」を明示していませんでしたが、ホールE1/E2の中だったりしたのかもしれません。

で、有楽町だけでなく渋谷のスタジオや京都・清水寺や東京湾のクルーズ船とか、割と過去最高にいろんな場所からの中継がありました。
これ演出というよりはNHKの立場として運営も「密を避ける」ことに迫られたためだと思うのですが、そこは結果として割とよかったと思います。

あとは前半最後の「マツケンサンバ」。ミュージックステーションでもやっていたしどう独自色出すんだろと思っていたのですが、劇団ひとりや様々なダンサー群を連れてきたことで、オリンピック/パラリンピックの開会式閉会式の際にちょいちょいTwitterで出ていた「マツケンサンバ」待望論を受けての「それが実現したら」のIFを完全に現実にしたものだったことがわかります。
これは素直にすばらしいと思いました。一番盛り上がるタイミングで後ろの巨大スクリーンに劇団ひとりがぬるく踊り続けているのをずっと映していた点を除けば。

ただ、他はいろいろツッコミも入れたくなる感じで。
前半の凄まじくバラエティの匂いをさせる構成と、後半のエヴァ企画以降の割と紅白の王道的な構成と、あそこまで前後半で演出を変えてくる意味は正直わからないし、敢えてスタッフが後ろで場面転換している最中にその前に司会が立って進行しているのはあれ、「密になってませんよ」というアリバイ作り以外には意味ないと思います。
細かいところでは、AwsomeCity Clubのセット、高層マンションのベランダを模してのしつらえなのだと思いますが、リアリティを追及しているっぽい割には、そんなところにアンテナはないし室外機も多分そういう位置には置かない。
正直他にもそこここに違和感のあるシーンはありました。

藤井風のサプライズについては、「きらり」の自宅演奏の際に右上に「LIVE」って表示されていなかった時点で気付くべきでしたが、結局今年の一番おいしいところを担ったのが彼であることは間違いなく。
私は随分面白かったのですが、ただ彼の現状の認知を考えると、ようやくデビュー2年で音楽を能動的に聴こうとしている層以外へのリーチはまだまだこれからで、ほとんどテレビにも出演していない彼にそういう役割を担ってもらわないといけない状況というのが今回の紅白の限界でもあったわけで。

プロデューサー曰く「交渉はしていましたが時間切れ」ということですが、「目玉」的な存在をそういうタイミングで交渉している時点でもういろいろ絶望的。
結局、わからない人には全くわからないままフィナーレを迎えざるを得なかった形。

とはいえ、もう老若男女誰もが知るミュージシャンはほぼいません。
実際私ももう櫻坂や日向坂のメンバーのメンバーの個体認知はほとんどできていないのですが、それでも普段バラエティ番組を見ている際に出演していたのを見ていて、記憶にある顔が映るとちょっと嬉しかったりしました。
そうやって坂道やジャニーズのグループのメンバーは必死になってバラエティ番組に出演しては普段から少しでも知ってもらおうと努力をされているわけですが、そういうことができるグループも一握りですし、頑張っても地上波テレビへの出演ですのでそれで得られる認知にも限界があります。

J-POP以降、ゴールデン帯の歌番組がほとんど死んでしまうくらい音楽的な嗜好の多様化が進み、そして更に嗜好や環境や年代によって主となるメディアすらまるで違ってきている今の世の中で、老若男女誰もが知るミュージシャンを作り上げることはもうほぼ不可能。
紅白歌合戦を紅白歌合戦として成立させていた環境が既に完全崩壊している中、あちこちに目配せしつつよくぞここまでそういう「体」でやってきたよと思うのですが、正直「体」としてもとうに限界というか、立っているのがやっという感じがします。
大泉洋はそういう状況下で「景気づけ」するにはうってつけの人選だとは思うのですが、それでも様々なジャンル・世代の楽曲に対して同じテンションで「ブラボー!ブラボー!」と叫んでいることにはもう違和感を感じざるを得ず。

何かいろいろ噂もありますし、実際NHK、「お年寄り」向けっぽい既存番組の終了は公表されましたし、今年の年末どうなるとしてもあまり驚きません。

とりあえず、今回の優勝は小池栄子でお願いします。

2021年解散・活動休止のこと

2021/01/02 ゆくえしれずつれづれ(解散)
2021/01/10 CY8ER(解散)
2021/01/10 LINERNAUTS(活動休止)
2021/01/11 NAZARE(解散)
2021/01/15 Astaroth(無期限活動休止)
2021/01/15 SiXX(解散)
2021/01/23 WILL-O'(活動終了)
2021/01/23 空想ノベル(解散)
2021/01/23 ポポロコネクト(解散)
2021/01/30 マザー(解散)
2021/02/01 L-THE WORLD(活動休止)
2021/02/01 CieLGraVE(解散)
2021/02/09 portablerain(解散)
2021/02/14 死んじゃうじゃんか(活動休止)
2021/02/21 ダブルハピネス(解散)
2021/02/22 Re:Complex(解散)
2021/02/27 10神ACTOR(解散)
2021/03/01 虹のファンタジスタ(全員卒業)
2021/03/01 NEVERLAND(解散)
2021/03/06 SHiSHi(解散)
2021/03/08 HOLOH(解散)
2021/03/10 DAHLIA(活動休止)
2021/03/21 From the Abyss(無期限活動停止)
2021/03/27 Aliene Ma'riage(ラストステージ)
2021/03/31 A応P(活動終了)
2021/03/31 青春高校3年C組(プロジェクト終了)
2021/03/31 TEAM ZENRYOKU(解散)
2021/03/31 Normcore Boyz(活動休止)
2021/03/31 Re:Complex(解散)
2021/04/02 DC/PRG(解散)
2021/04/11 午前零時。(活動終了)
2021/04/16 街人(解散)
2021/04/17 Blu-BiLLioN(解散)
2021/04/18 グーグールル(解散)
2021/04/24 アンアルカ。(解散)
2021/04/26 Vogus Image(無期限活動休止)
2021/04/30 GIRLFRIEND(解散)
2021/05/01 九星隊(解散)
2021/05/09 Halo at 四畳半(活動休止)
2021/05/19 やおね(解散)
2021/05/21 HAKLO(解散)
2021/05/21 バイバイリグレット(解散)
2021/05/28 赤い公園(解散)
2021/05/29 美少女伝説(解散)
2021/05/29 missNERD(解散)
2021/05/30 Maison book girl(削除)
2021/05/31 HAKOBUNE-箱舟-(解散)
2021/05/31 RAMMELLS(解散)
2021/06/01 MeltnooM(解散)
2021/06/10 ぽてんしゃる。(解散)
2021/06/13 UP-DATE(解散)
2021/06/14 ReVision of Sence(解散)
2021/06/16 君の隣のラジかるん(解散)
2021/06/17 DOGMAS(解散)
2021/06/19 アプリカント(解散)
2021/06/19 あゆみくりかまき(解散)
2021/06/20 DESURABBITS(解散)
2021/06/25 ONEPIXCEL(解散)
2021/06/27 Qiara(解散)
2021/06/29 かみやど(活動終了)
2021/06/30 PINK CRES.(解散)
2021/06/30 BLUE(B)LOOD(解散)
2021/06/30 lovely2(活動終了)
2021/07/02 NOW ON AIR(活動休止)
2021/07/04 テスラは泣かない。(活動休止)
2021/07/04 HER NAME IN BLOOD(解散)
2021/07/15 Layne(解散)
2021/07/18 GRAVIRANAI(解散)
2021/07/18 HELLSECT(解散)
2021/07/18 夢色カンタービレ(解散)
2021/07/22 空きっ腹に酒(無期限活動休止)
2021/07/23 こっぺぱんのみみ(解散)
2021/07/23 SPACE PIRATES class ZERO(解散)
2021/07/26 アースピ-auspice-(解散)
2021/07/26 #gaisen(解散)
2021/07/28 Amelie(解散)
2021/07/31 Cellchrome(解散)
2021/07/31 たこやきレインボー(全員卒業)
2021/08/04 OLDCODEX(活動休止)
2021/08/05 LOVE LOCK(活動休止)
2021/08/07 テジナ(解散)
2021/08/07 ロマン急行(解散)
2021/08/17 LOVEBITES(活動休止)
2021/08/21 TOMORROW FOREVER(解散)
2021/08/27 噛ム噛ムバンパイア(解散)
2021/08/28 iLios(現体制終了)
2021/08/29 極上ファンファーレ(解散)
2021/08/29 さくら学院(活動休止)
2021/08/29 FAITH(解散)
2021/08/31 イチドル!!(解散)
2021/08/31 ツルノオンガエシ(解散)
2021/08/31 ツルノシカエシ(解散)
2021/09/04 最高じぇねれーしょん(全員卒業)
2021/09/11 Floral∞p*コレクション(解散)
2021/09/16 河内REDS(活動休止)
2021/09/18 まじかる★びたみん(解散)
2021/09/18 MASH BROWN(解散)
2021/09/19 minus(-)(活動終了)
2021/09/23 ALCYON(解散)
2021/09/23 全力少女R(解散)
2021/09/24 Attractions(活動休止)
2021/09/26 東京パフォーマンスドール(新)(解散)
2021/09/26 マニマニ(解散)
2021/09/27 Foorin(全員卒業)
2021/09/30 IRONBUNNY(解散)
2021/09/30 0PointNine(解散)
2021/10/01 HikuteAmata(現体制解散)
2021/10/03 空想と妄想とキミの恋した世界(解散)
2021/10/03 ジキル卍ハイド(解散)
2021/10/03 爆裂女子(解散)
2021/10/08 LAID BACK OCEAN(解散)
2021/10/10 超絶ベノムちゃん(解散)
2021/10/10 Drop's(活動休止)
2021/10/14 Chou Chou.(解散)
2021/10/20 AQRUSH(解散)
2021/10/25 ステーション♪(解散)
2021/10/30 Awww!(活動終了)
2021/10/31 Ever!BE迷わないっっ!!(解散)
2021/11/01 V6(解散)
2021/11/07 エモらび(解散)
2021/11/07 sweet palet(解散)
2021/11/08 リルミー(解散)
2021/11/10 A PAGE OF PUNK(解散)
2021/11/13 プラスワン(解散)
2021/11/13 ヴィルシーナ(活動休止)
2021/11/16 ラヴェーゼ(解散)
2021/11/17 EviLA(無期限活動休止)
2021/11/18 JE:NOVA(活動休止)
2021/11/21 #匂わせアンリアル(解散)
2021/11/22 GLORIA(解散)
2021/11/24 THE PINBALLS(活動休止)
2021/11/26 アイドル諜報機関LEVEL7(解散)
2021/11/27 逢桜堂(解散)
2021/11/28 スクランブルガム(活動休止)
2021/11/28 ミルキートリック(解散)
2021/11/30 Lily of the valley(現体制終了)
2021/12/05 アイドル演じちゃダメですか?(解散)
2021/12/05 マゼラン(解散)
2021/12/19 Glitter Tears(解散)
2021/12/23 ザ・コインロッカーズ(解散)
2021/12/01 錯乱前戦(活動休止)
2021/12/01 SCAPEGOAT(解散)
2021/12/12 POMY(解散)
2021/12/12 MA7MEL(解散)
2021/12/12 LilyveiL(解散)
2021/12/13 RAKUGAKI(解散)
2021/12/15 DE/CLIO(解散)
2021/12/17 キミノマワリ+(解散)
2021/12/18 トライリープ(解散)
2021/12/22 PEDRO(活動休止)
2021/12/26 [PUZZLE.](解散)
2021/12/27 有頂天トリガー(解散)
2021/12/28 SUNNY CAR WASH(解散)
2021/12/29 どーぷちゃん(解散)
2021/12/29 PARA(解散)
2021/12/30 SILENT SIREN(活動休止)
2021/12/30 道化て鴉(解散)
2021/12/30 PLUMAGE(現体制終了)
2021/12/30 POMERO(解散)
2021/12/31 アマテラス(解散)
2021/12/31 キイチビール&ザ・ホーリーティッツ(解散)
2021/12/31 LAZYgunsBRISKY(活動休止)

2022/01/09 SW!CH(現体制活動終了)
2022/01/09 The Cheserasera(活動休止)
2022/01/16 Angelo(無期限活動休止)
2022/01/16 転校少女*(解散)
2022/01/22 EVERYDAYS(解散)
2022/01/23 アンドゥー(活動終了)
2022/01/24 BENNIE K(活動終了)
2022/01/25 TRiP syndrome(解散)
2022/02/05 吉本坂46(冬眠)
2022/02/25 DIMLIM(解散)
2022/02/26 SOL(解散)
2022/03/30 Scarlet Valse(活動休止)
2022/06/05 predia(解散)
2022/09/XX MIGHTY CROWN(サウンド活動休止)

2023/XX/XX BiSH(解散)

本年これにて終了。ありがとうございました。
もう少し更新増やしたい。がんばります。

第72回紅白歌合戦の歌唱曲のこと

紅白歌合戦の歌唱曲が発表されたので、「歌唱曲がいつリリースされたのか、売れた曲なのか、過去紅白で何回歌ったのか」の一覧を今年もやります。
曲名の後のカッコ内の数値が過去に歌った回数。数字無しは初披露。年はリリース年でカッコ内はシングル(フィジカル)の売上数。*が付いているのはカバー曲。

歌手名 曲名 発表年(売上)
AI アルデバラン 2021(配信)
あいみょん 愛を知るまでは 2021(17,400)
石川さゆり 津軽海峡・冬景色(12) 1977(727,000)
Awsome City Club 勿忘 2021(アルバム)
上白石萌音 夜明けをくちずさめたら 2020(アルバム)
坂本冬美 夜桜お七(8) 1994(149,000)
櫻坂46 流れ弾 2021(427,000)
天童よしみ あんたの花道(4) 2002(114,000)
東京事変 緑酒 2021(アルバム)
NiziU Take a picture 2021(372,000)
乃木坂46 きっかけ 2016(アルバム)
Perfume ポリゴンウェイヴ 2021(31,100)
BiSH プロミスザスター 2017(25,800)
日向坂46 君しか勝たん 2021(554,000)
松田聖子    
MISIA 明日へ 2011(アルバム)
水森かおり いい日旅立ち* 2000(アルバム)
milet Fly High 2021(配信)
millennium parade×Belle U 2021(28,000)
薬師丸ひろ子 Woman "Wの悲劇"(2) 1984(373,000)
YOASOBI 群青 2020(アルバム)
LiSA 明け星 2021(63,400)
     
KAT-TUN Real Face #2 2006(1,046,000)
関ジャニ∞ Re:LIVE 2020(351,000)
King & Prince 恋降る月夜に君想ふ 2021(473,000)
郷ひろみ 2億4千万の瞳(6) 1984(213,000)
GENERATIONS Make Me Better 2021(アルバム)
純烈 君がそばにいるから 2021(48,000)
鈴木雅之 め組のひと 1983(622,000)
SixTones マスカラ 2021(545,000)
Snow Man D.D. 2020(1,818,000)
DISH// 2017(47,200)
BUMP OF CHICKEN なないろ 2021(未集計)
氷川きよし 歌は我が命* 2019(アルバム)
平井大 Stand by me, Stand by you 2020(アルバム)
福山雅治 道標(2) 2009(アルバム)
星野源 不思議 2021(151,000)
布袋寅泰 さらば青春の光 1993(469,000)
まふまふ 命に嫌われている。* 2020(配信)
三山ひろし 浮世傘 2021(12,000)
宮本浩次 夜明けのうた 2020(アルバム)
山内惠介 有楽町で逢いましょう*  
ゆず 2009(76,400)

「め組のひと」はラッツ&スター期の曲ですが、もう本人曲として。あとKAT-TUNは「Real Face #2」なので正確には2018年の曲ですが、数値は2006年のデビュー曲のものを入れています。

正直「売り上げ枚数」は今や目安にもなりにくいという気持ちはありますが、どうしようもなく。それでも全体を眺めた感触として、去年までと少し変わっているような気がします。

決定的なのは「メドレー」と銘打たれた演目が完全に消えたこと。
これまで割と嵐がメドレー好きというか、嵐は出場12回で単独曲での披露は結局一度もなかったのですが、嵐の出場が途絶えたと同時に「メドレー」も消滅。

確かに最近はミュージシャンよりも楽曲を単純に評価する傾向が強い世の中ですし、民放の音楽番組でも長丁場のものであれば披露曲を事前に明示するのが常ですから、そういう流れに沿ったものであろうと推測します。

そしてもう一点、割とエグいと思ったのは演歌勢の扱われよう。石川さゆり・坂本冬美・天童よしみはだいたいいつも通りの「よく知られた曲を歌っとけ」状態で、特に石川さゆりは「天城越え」と「津軽海峡・冬景色」を毎年交互に歌うルーティーンを2007年から継続中ですが、ここまでずっとオリジナル曲を歌唱してきた水森かおり・氷川きよし・山内惠介がカバー曲枠になりました。
何かもう紅白の演出の「駒」にならざるを得ない、今の演歌の劣勢を象徴するような状況。
三山ひろしは相変わらずけん玉企画のため楽曲はあまり耳に入らないのでいつも通りですが。
いつまでけん玉引っ張るんだという気持ちはすごくあります。

あと、東京事変の「緑酒」とまふまふの「命に嫌われている。」は紅白の舞台に「この曲を敢えて選んできた」感があります。
まふまふは何ぼでもオリジナル曲持っているのにボカロのカバーのこれっていうのはもう、この歌詞を紅白で歌いたいだけなんじゃないかと思います。気持ちはすごくわかります。

ただそれでもやっぱり今年は全体的に「弱い」と思います。これだけでは。
ゲーム&アニメの企画は発表されていますが、まだギリギリで何か出て来そうな気がします。
出てこないのであれば、NHKはもう今後もことさらに頑張らなくなるのではないかと思います。そういう見切りをつけても、そろそろいいような気もするんだ。

2021年ブックオフオンライン年間ランキングのこと

日本最強に地獄度の高い年間ランキング、2021年版が出てまいりましたので紹介します。

2021年ブックオフオンライン年間ランキング(CD)

過去からのランキングを一覧にしたのがこちら。

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2013年以降、ジャンルごとのランク付けになったりとかもありましたが、2016年以降は単純なベスト20が発表されていますので見やすくなりました。そしてこの10年近く上位に登場するアルバムがほとんど変わっていません。
相変わらず1990年代半ば以降2000年代までにリリースされた有名ミュージシャンのベストアルバムが、買って売ってを繰り返してグルグル回っているだけの悲惨なランキングではあるのですが、ただ今年は特筆すべき出来事が。

過去ランキングを追えた2013年まで遡っても、「2010年以降にリリースされたオリジナル・アルバム」がベスト20以内にランクインしたのは、宇多田ヒカルの「Fantome」だけだったのですが、今年は藤井風の「HELP EVER HURT NEVER」・米津玄師の「STRAY SHEEP」と、一気に2作が入りました。

確かにどちらのアルバムも程よくメディアで紹介されていましたし、特に藤井風の場合は素性がよくわからんので即新品を買うというところまで腹を括れず、とりあえず安く入手できる形で買ってみるというアクションになったのでは、という推測はできるのですが、2019年以前にもそういうミュージシャンが全くいなかったわけでもなく、正直明確な理由はわかりません。
近所の店舗がガンガン減って、生活圏では新譜も中古も買えないという人も増えているでしょうから、だったらどっちもボタン押すだけですから中古盤に抵抗がない人であればそりゃ安い中古の方を選ぶよね、という理由とかもあるかもしれん。

で、ミスチルのベスト2作のうち「1992-1995」の方が売れていたり「Atomic Heart」がランクインしたり、ユーミンやスピッツは最近の方のベストではなく過去の方のベストが上位に来ていることから察することができるのは、これ「ミスチルのベスト盤が欲しい」ではなくもっと明確に「聴きたい曲」があってそれを手に入れられればOKというマインドになっている人が一層増えているのでは、ということですが、何となく2013年以降今年まで徐々にそういう傾向が強まっているような、「聴きたい」の幅がどんどん狭まってきているような気も、しなくはないです。

そもそもあれだけ馬鹿みたいにCDが売れていた時代の方が異常っちゃ異常だったわけですし、さらにサブスクもCDが売れなくなった理由ではありますが、相当数の人にとって「音楽の有り様」が変わってきているというのも、あるんじゃないかと思います。

2021年のTSUTAYAの閉店は約90店舗だったこと

告知がおよそ出揃った感じですので、例年通りTSUTAYAの今年の閉店数をカウントしたいと思います。
TSUTAYA系列で今年明確に「閉店」したのは、数えることができた限りでは88店舗。改装して屋号がBOOKSTOREに変更したとか、少しだけ移転したとかは除いた数です。

<閉店>
01/03:TSUTAYA 加西北条店(兵庫県)
01/11:TSUTAYA 苫小牧三光店(北海道)
01/13:TSUTAYA 六甲道店(兵庫県)
01/17:TSUTAYA 天王台店(千葉県)
01/31:TSUTAYA BOOKSTORE 八王子オーパ(書籍のみ)(東京都)
01/31:TSUTAYA さがみ野駅前店(神奈川県)
01/31:蔦屋書店 豊栄店(新潟県)

02/07:TSUTAYA 幕張本郷店(千葉県)
02/14:TSUTAYA 北見店(北海道)
02/14:TSUTAYA 和田町駅前店(神奈川県)
02/14:TSUTAYA WAY 尾鷲店(三重県)
02/28:TSUTAYA 北仙台店(宮城県)
02/28:TSUTAYA 片倉町店(神奈川県)
02/28:TSUTAYA 宮崎台駅前店(神奈川県)
02/28:TSUTAYA 京王橋本店(神奈川県)
02/28:TSUTAYA 明石駅前店(兵庫県)
02/28:TSUTAYA 東加古川店(兵庫県)

03/07:TSUTAYA 新丸子店(神奈川県)
03/07:TSUTAYA 駿河湾沼津サービスエリア(上り線)店(静岡県)
03/10:TSUTAYA 大阪難波中店(大阪府)
03/14:うさぎやTSUTAYA 白石店(宮城県)
03/14:TSUTAYA 明文堂 松任店(石川県)
03/14:TSUTAYA 玉野店(岡山県)
03/23:TSUTAYA 那珂湊店(茨城県)
03/28:TSUTAYA ブック・スクウェア菰野店(三重県)
03/30:TSUTAYA La vista新杉田店(神奈川県)
03/31:TSUTAYA 岸和田荒木店(大阪府)
03/31:TSUTAYA WAY 新三田店(兵庫県)
03/31:TSUTAYA 大宮通店(奈良県)

04/02:TSUTAYA 友岡店(京都府)
04/11:TSUTAYA 大口店(神奈川県)
04/11:TSUTAYA 深堀店(長崎県)
04/20:蔦屋 緑ヶ丘店(岩手県)

05/09:TSUTAYA 南流山店(千葉県)
05/20:TSUTAYA 彦根店(滋賀県)
05/23:TSUTAYA 上本町店(大阪府)
05/31:蔦屋書店 厚木戸室店(神奈川県)
05/31:TSUTAYA 豊橋東店(愛知県)
05/31:TSUTAYA 泉佐野店(大阪府)
06/27:TSUTAYA 朝霞店(埼玉県)
06/30:TSUTAYA ココアドバンス 東長崎店(長崎県)

07/11:TSUTAYA 三ツ境駅前店(神奈川県)
07/11:TSUTAYA 岡崎戸崎町店(愛知県)
07/18:TSUTAYA 長浦店(千葉県)
07/31:TSUTAYA 札幌大通(北海道)
07/31:TSUTAYA 保木間店(東京都)
07/31:TSUTAYA すみや 大仁店(静岡県)
07/31:TSUTAYA 天神ショッパーズ福岡(福岡県)

08/08:TSUTAYA 鴨島店(徳島県)
08/09:TSUTAYA 王子台店(千葉県)
08/15:TSUTAYA 留萌高砂店(北海道)
08/15:TSUTAYA 千厩店(岩手県)
08/15:TSUTAYA 鶴川駅前店(東京都)
08/15:TSUTAYA 小浜店(福井県)
08/15:TSUTAYA 徳力店(福岡県)
08/22:TSUTAYA 大船渡店(岩手県)
08/22:TSUTAYA 南行徳店(千葉県)
08/31:TSUTAYA たまプラーザ店(神奈川県)
08/31:TSUTAYA 北宇和島店(愛媛県)

09/05:TSUTAYA 行田門井店(埼玉県)
09/12:TSUTAYA 瑞浪店(岐阜県)
09/19:TSUTAYA 盛岡南店(岩手県)
09/30:TSUTAYA 長町店(宮城県)
09/30:TSUTAYA 南浦和駅西口店(埼玉県)
09/30:TSUTAYA 名古屋本郷店(愛知県)
09/30:TSUTAYA 武庫之荘駅前店(兵庫県)
09/30:TSUTAYA 徳山店(山口県)

10/17:TSUTAYA 五所川原小曲店(青森県)
10/20:平和書店 TSUTAYA 津幡店(石川県)
10/31:蔦屋書店 小千谷店(新潟県)
10/31:TSUTAYA 高師店(愛知県)
10/31:TSUTAYA 豊川市田店(愛知県)
10/31:TSUTAYA JR西宮店(兵庫県)

11/14:TSUTAYA 八戸南類家店(青森県)
11/21:TSUTAYA 茗荷谷店(東京都)
11/28:TSUTAYA 韮崎店(山梨県)
11/30:TSUTAYA COMBOX246 秦野店(神奈川県)
11/30:TSUTAYA 稲沢店(愛知県)
11/30:TSUTAYA 八幡浜店(愛媛県)

12/12:TSUTAYA 国久保店(静岡県)
12/14:TSUTAYA 阿佐ヶ谷店(東京都)
12/17:TSUTAYA 粕屋仲原店(福岡県)
12/26:TSUTAYA すみや 磐田南店(静岡県)
12/26:ビデオ100 丸亀土器店(香川県)
12/26:ビデオ100 さぬき三木店(香川県)
12/26:ビデオ100 今治鳥生店(愛媛県)
12/31:TSUTAYA ロックタウン周南店(山口県)
12/31:TSUTAYA 富久店(愛媛県)

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TSUTAYA 保木間店(2021年7月閉店)

一方新規開店は以下のような感じ。

<開店>
04/28:TSUTAYA 鶴岡ミーナ店(山形県)
06/25:TSUTAYA BOOKSTORE カラフルタウン岐阜(書籍のみ)(岐阜県)
07/19:TSUTAYA BOOKSTORE イオンモール白山店(石川県)
08/05:TSUTAYA BOOKSTORE アプラたかいし店(書籍のみ)(大阪府)
09/10:TSUTAYA 鴻巣吹上店(埼玉県)
10/27:TSUTAYA BOOKSTORE 則武新町(書籍のみ)(愛知県)
12/01:TSUTAYA BOOKSTORE 名鉄名古屋(書籍のみ)(愛知県)

当然のように新規開店は「書籍のみ」店舗が多めですが、それでも通常のTSUTAYA型店舗も2店オープン。山形の庄内地域とかここ数年すごい勢いで減っていたのですが、まだビジネスの目はあると踏んだのでしょうか。

差し引きしても圧倒的に閉店が多いわけですがただ、今年はそう単純に「今年も減ったね! 大変だね!」で話を終われない事情があります。
主にWonderGOOとフタバ図書のせいです。

まずWonderGOO。2021年に謎の動きを見せました。
WonderGOOは結構な割合の店舗が「WonderGOO TSUTAYA」を冠したダブルブランド型店舗です。運営のワンダーコーポレーションがTSUTAYAのフランチャイジーとしても名を連ねていることもあり、WonderGOOの店舗内のレンタル部分はTSUTAYAのフランチャイズとして運営しているために、ダブルブランドの看板を掲げていたのですが。

それが今年前半は数店舗で「WonderGOO TSUTAYA」または「WonderGOO」が「TSUTAYA」単独名義の店舗にいわば「業転」する動きを見せていました。
が、年の後半に入ると全く逆に、いくつかの店舗でレンタルを撤収して「WonderGOO」単独名義の店舗に改装するという動きがありまして。
「WonderGOO TSUTAYA」が「WonderGOO」になるとその分「TSUTAYA」は当然減るわけですが、その分は上記閉店にはカウントしていません。込みにすると四捨五入で100になりそうです。

<WonderGOO→TSUTAYA>
02/13:TSUTAYA 苫小牧店
03/05:TSUTAYA 十和田元町店(青森県)
07/01:TSUTAYA 八千代大和田新田店(千葉県)

苫小牧と十和田は「WonderGOO」単独名義の店舗が改装して「TSUTAYA」になり、八千代は「WonderGOO TSUTAYA」のダブルブランド型店舗が「TSUTAYA」の単独になった形です。

<WonderGOO TSUTAYA→WonderGOO>
06/18:WonderGOO 高崎店(群馬県)
06/XX:WonderGOO 那珂店(茨城県)
11/XX:WonderGOO 下館店(茨城県)
11/XX:WonderGOO 足利店(栃木県)
12/XX:WonderGOO いわき鹿島店(福島県)
12/XX:WonderGOO ひたち野うしく店(茨城県)

こっちの「WonderGOO TSUTAYA→WonderGOO」への変更は、あんまりガンガン「WonderGOO単独名義になります!」みたいなことを公式も言っていないため、非常に情報が乏しい。もしかしたら他にもあるかもしれません。
直営とフランチャイズの置かれた立場の相違とかもあるのかなと思うのですが、正味この動きはよくわかりません。もしかしたら本人もよくわかっていないかもしれません。

そしてフタバ図書。
元々広島県を強力な地盤としてTSUTAYAの本格的な参入を阻んできたフタバ図書ですが、前からことあるたびにネタにしてきたように、長年にわたる粉飾決算が明るみに出たりとかでいろいろおかしくなった結果、CCCの資本に頼らざるを得なくなり、その結果「フタバ図書」単独名義の店舗が11月までにすべて「フタバ図書TSUTAYA」の名義に変更。
わかりやすく軍門に下りました。

<フタバ図書 TSUTAYAとしてのオープン>
04/09:フタバ図書 TSUTAYA GIGA五日市店(広島県)
05/20:フタバ図書 TSUTAYA 五日市福屋店(書籍のみ)(広島県)
05/27:フタバ図書 TSUTAYA 広大前店(広島県)
06/03:フタバ図書 TSUTAYA 大竹店(広島県)
06/10:フタバ図書 TSUTAYA GIGA宇品店(広島県)
06/17:フタバ図書 TSUTAYA GIGA防府店(山口県)
06/24:フタバ図書 TSUTAYA GIGA福岡春日店(福岡県)
07/08:フタバ図書 TSUTAYA 広店(広島県)
07/15:フタバ図書 TSUTAYA 横川店(書籍のみ)(広島県)
07/21:フタバ図書 TSUTAYA MEGA中筋店(広島県)
07/29:フタバ TSUTAYA GIGA与野本町店(埼玉県)
08/05:フタバ図書 TSUTAYA ALTiアルパーク北棟店(広島県)
08/19:フタバ図書 TSUTAYA GIGA大宮店(埼玉県)
08/26:フタバ図書 TSUTAYA 岩国店(山口県)
08/26:フタバ図書 TSUTAYA TERAイオンモール福岡店(福岡県)
09/02:フタバ図書 TSUTAYA GIGAフレスタモール岩国店(山口県)
09/09:フタバ図書 TSUTAYA GIGA呉駅レクレ店(広島県)
09/16:フタバ図書 TSUTAYA GIGA祗園店(広島県)
09/22:フタバ図書 TSUTAYA 三次店(広島県)
09/30:フタバ図書 TSUTAYA GIGA武蔵浦和店(埼玉県)
10/14:フタバ図書 TSUTAYA 海田店(広島県)
10/21:フタバ図書 TSUTAYA GIGA上安店(広島県)
10/28:フタバ図書 TSUTAYA TERA広島府中店(広島県)
11/04:フタバ図書 TSUTAYA 可部センター店(広島県)
11/11:フタバ図書 TSUTAYA 八本松店(広島県)
11/18:フタバ図書 TSUTAYA ALTI福山店(広島県)

全国的に店舗をガンガン減らしていく中、何故か広島市界隈だけは凄い勢いでTSUTAYAの看板が増えているという面白状態になりました。当事者にとっては面白がられてもムカつくだけだと思いますが。


あと、地味すぎるトピックとして「ビデオ100」と「すみや」の件を。

ビデオ100はTSUTAYA系列でありながら、地方ではレンタルだけでなく販売や書店等の総合店舗型が多いところに、レンタルのみ等の比較的シンプルな業態の店舗の一部が掲げていた屋号。
かつては北海道や九州にも展開していたものの、現状四国のみに残る状況となっていたのですが、12/26に残った4店舗のうち3店舗が一気に閉店、残るは徳島藍住店だけということになります。

すみやは元々静岡を地盤としていた独立したチェーンでしたが、2006年にCD/DVD部門はTSUTAYAの子会社になり、そこから2007年にかけて約50店舗が「TSUTAYA すみや」名義に変更されました。
サウンドトラック専門店だった渋谷店等、「すみや」単独名義の店舗も一部残りましたがほどなく閉店。そしてそこから徐々に「TSUATYA すみや」も減り続け、この7月に大仁店、12月に磐田南店が閉店になることで、「TSUTAYA すみや」名義で来年残るのは三島店のみ。

茨城県神栖市の「TSUTAYA OUTLET」名義の店舗の閉店も決まり、「TSUTAYA」「蔦屋書店」以外の名義をどんどん整理していってるのではないか、という気もします。

だから、なおのこと「フタバ図書 TSUTAYA」だけが今の流れの中ではとても異質に感じて。
本当にこれまでフタバ図書に阻まれ、広島県内(福山市周辺を除く)になかなか本格的に展開できなかったTSUTAYAが、遂に勝利して大喜びしたいだけなんじゃないかとも思ったりして。
だったら、「フタバ図書 TSUTAYA」名義の寿命は「TSUTAYA すみや」よりもさらに短いんじゃないかと思います。
まあ、そうでなくてもあんまり先は長くないんですけど。

K2 RECORDSが閉店すること<訪問編>

先週、キング・クリムゾンが東京で来日公演を行ったわけですが、今月の頭くらいにはまだ追加のオーチャードホールのチケットは買えました。
一方、来週以降はいろいろ予定が入っていて、週末が完全に空いていて大阪の日本橋まで行って帰ってこれるのも今週が今年で最後。
んでもって可処分所得も限られているということで、自分の中で「キング・クリムゾン vs K2 RECORDS」の戦いを半日ほど行った結果後者勝利。

品揃えとその分類とレコメンドの独特っぷりはどの販売店と比較してもぶっちぎり、異常な域に達している独立系レンタルCDショップ関西の雄、K2 RECORDSが今年いっぱいでレンタル終了、来年の1月下旬には閉店ということで、どうしてももう一度訪れたかったのです。

実際K2 RECORDSが大阪市内に来た頃には私は東京に出てきていたので実際にレンタルしたことはないのですが、その名声というか「この店頭おかしい」という声はあちこちから聞こえてきていて、店舗を構える日本橋界隈は他にもナカとかサウンドパックとかいい中古屋がありますので、大阪訪問時にはそこと一緒に覗いてはビビッて帰る店でした。
というわけで行ってきました。

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この店の異常さは店内マップのジャンル分けでおよそ察していただけるわけですが、これでもここに載っているのは「大分類」で、例えば「パンク」の棚を見ると更に「スカパンク」「アイリッシュパンク」等の「小分類」に分かれていたり、「レイキャヴィク/北欧」みたいななんか凄い分類があったりとか、もう眺めているだけで楽しいのです。

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で、せっかくなので店内をグルグルしてから中古盤を数枚購入しようとしたところ、既に閉店の報を聞いた方々が大挙押し寄せていらっしゃっていて、かつ皆さん山のようにレンタルされますのでもう長蛇の列。
あそこのカウンターは端末も1台ですし、数名で手分けして作業できるような感じでもないのでサクサク捌くこともできず、結局並び始めてからお買い上げ完了まで20分以上かかりました。

今後レンタル終了まで更に来店者増えると思いますので、これから行こうと考えている方は是非、時間に余裕を持ってお越しください。

というわけで、K2 RECORDSだけで終わるにはいかないので他にも回ったところ、程近くにある中古屋ナカ2号店の店頭に、名古屋のバナナレコードの段ボールが積まれていたのが気になったり、今回は大手の店舗は完全にスルーしたところ、帰ってきてからタワーレコード丸ビル店の閉店発表に気が付いて絶望したり、そんな感じの大阪訪問でした。

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They Might Be Giants「Book」のこと

洋楽を聴き始めてからいろいろありました。
パンクの全盛期に遅れたことに少し劣等感もあったりしたのですが、ちょうど多感な時期にハウスやらテクノやらマンチェスターやらシューゲイザーやらグランジやらメロコアとかがどかどかと出てきて、そりゃ面白かったわけです。

が、じゃあ誰が好きなんだと問われたら、少なくともUSではそういう新たなシーンが勃興する前からいて、様々なブームを経てなお根本的なところは何も変わっていないThey Might Be Giantsが結局ずっと一番好きなんじゃないかと、思うのです。

眼鏡のジョンと歯茎のジョンの2人組。
1982年結成、ソノシートを電柱にぶら下げたり、留守電に曲を吹き込んで新聞広告に電話番号を掲出したり、インターネット前からインターネットみたいなことをしながらずっと活動し続けている人たち。

自分が彼らを知ったのは、深夜の音楽番組「ポッパーズMTV」でかかった「Don't Let's Start」のMV。いたく衝撃を受けまして、それ以降所謂オリジナル・アルバムは全部追っているつもりですが、「子供向け」作品も多く作っていたりとにかく多作な人たちなので、揃っている自信はありません。
というか彼らが長い活動期間で得たグラミーは唯一「子供向け音楽アルバム」部門のみなので、アメリカの世間的にはむしろそっちの人なんじゃないかとも思ったりもします。

で、今作「Book」。子供向け作品を含めれば、1986年の1stアルバム以降3年空いたのは初めてです。正味その時点でどうかしてるのですが。

アルバムとしてはいつもそうではあるのですが、普段以上に「できた曲を並べた」感がハンパない。
シングルやリード曲を狙った「メロディにフック効きまくり」の曲も、敢えてミニマムな構成にした曲もなく、若干真面目な歌詞が多めなくらい。逆に言えば「彼ら史上最強に自然体に近い」アルバムと言えるのかもしれません。
恐らくこれもコロナ禍による作用だとは思うのですが、かといって悲壮な空気感は一切ない、そこは普段通りの彼ら。
さすがに40年近くやってきたこと、何があってもブレることはなかったようです。

ので、「最高!」という感じではないのですが、アルバムとして通して聴くには割といいアルバムなんじゃないかと思っています。
というか、いきなり枯れた音になったりしない限り、ずっと好きです。枯れた音になったらそれはそれでいいかもしれないけど。


RINGWONDERUNG@渋谷CLUB QUATTROのこと

なかなかライブに本格復帰するタイミングを掴めずにいたところ、行かないかと誘われたのがRINGWONDERUNGというアイドルグループのライブ。
彼が推すなら間違いなかろうと、日程だけ見てOKして、その後にチラと音源聴いてみて「割と好きな方だな」ということを確認した後、せっかくなのでごく稀にしか経験できない贅沢「曲をまったく知らない状態でライブ」でいこうと決め、それ以降一切聴かずグループのことも何も調べない状態で当日。

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渋谷クラブクアトロ、床にテープ貼って1人当たりのエリアを区切る形になっているので、恐らく通常の満員の半分くらいですがソールドアウト。
通常の定員で換算するとマウントレーニアホールとかのレベルですが、それでもぽっと出のグループにはなかなか大変な動員数、かつ結成2年のその2年間はほとんどコロナ禍という状況で、どうやってこの規模までファンを固めたのか、メンバーにそれなりのグループの元メンバーでもいるのか。
そうやっていろいろ考えつつよくわからんままライブが始まるわけですが。

楽曲は「楽曲派」と声高に言うほどではないけれども、かなりしっかり。「ボカロP的な音作りメイン、時々BiSHをベンチマークする」的な塩梅でしょうか。レベルは相当高い。
一方、歌は滅茶苦茶うまい。圧倒的にうまい。別にアイドルは歌がうまくなきゃ駄目だというつもりは全くないのですが、でも全員が歌えることでここまで表現できるんだというなかなかな感動。

BiSHというかWACKの楽曲は、松隈ケンタ氏の意向で複数人のユニゾンは原則使用していないわけですが、個人的には大人数ユニゾンはアイドルが使用できるかなり強力な「武器」だと思っています。
そしてRINGWONDERUNGの場合、みんなうまいのでユニゾンの「武器」っぷりが他にないレベルで、2人ユニゾンから5人ユニゾンに切り替わった時の「ギアが一段上がった」感とか、他のグループにはない気持ちよさでした。

終わった後検索して調べてみたところ、元々は東宝芸能出身の方が設立した事務所所属だったり、2年の間に出られるイベント全部出てるんちゃうかレベルの頻度でライブしていたり、きちんとマネージメントされた環境で出られる現場に出まくることできっちりファンを集めていったことがわかります。
そしてメンバーは、テレ東の「THE カラオケ★バトル」の「全日本大学生歌うま王決定戦」決勝出場者を中心に集められたということで、そりゃ歌うまいわ、抜群だわ。理解しました。

ということで、地力は相当に図抜けていますので、何かのきっかけで頭ひとつ出てきたりもするんじゃないかと思いますが、地力だけで何とかなるものでもないのがアイドル界隈でもあり、これ難しい。
とりあえず、また観に行きます。



K2 RECORDSが閉店すること

遂に来たるべき時が来ました。
「東のジャニス、西のK2」と主に俺とかに謳われたレンタルCDショップの雄であるK2 RECORDSが12月30日にレンタル終了、年明けから在庫処分セールを行って1月28日完全閉店です。

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レコードレンタルの黎明期に東大阪市の近大前に開店し、関大前や難波に支店を出した後、2007年に日本橋の現在地に統合の形で移転、ビデオ・DVDには手を出さず音源に特化、廃盤や輸入盤のみのレア盤含めて惜しげもなく貸し出し、コアなファンを多数付けていたこの店も、コロナ禍による客数減には耐え切れなかった模様。

CDレンタルは通常、レンタル専用の卸店から商品供給を受ける形で行われるため、逆に言えばその卸店が扱っていない盤は通常レンタルとしては扱えません。
ただ、卸店で扱わない盤も、通常店舗等で購入して特殊な手続きを行うことでレンタル用として扱うことが可能になるということですので、ジャニスやK2はずっとそういう手続きを行っては店舗運営を続けてきたわけで。

そもそも黎明期のレコードレンタルというのは、音楽好きのおっさんが手持ちのレコードで始めたり、多分にパーソナルな品揃えがベースにあることも多く。
実際自分が初めて通った四日市市のレンタルレコードも、The Stranglersの「No More Heroes」はないのに「The Raven」はあったり、The Smithsは徳間盤12インチまで完璧に揃っていたりする頭のおかしい店で、そのせいで私はこんなことになってしまいました。

自分が全国の店舗の開店閉店を気にし出したのが2010年頃だったのですが、その頃には頭のおかしい黎明期のレンタル店はほぼ完全に駆逐されていて、TSUTAYAとGEOの体制はほぼ出来上がっていました。
一部の大型店ではかなりコアな音源を扱っていることもありますが、概ねレンタル専用の卸店から仕入れられる一律化された品揃えが普通になっていて。

それでもその頃に至っても黎明期に近い「パーソナル」な面を保って他では扱わないようなCDをレンタルしていた店舗は、知っている限り全国で4軒ありました。

スモールミュージック(東京都杉並区):2011/04/17閉店
フリップミュージック(広島県広島市):2014/08/24閉店
ジャニス(東京都千代田区):2018/11/30閉店
K2 RECORDS(大阪府大阪市):2022/01/28閉店

前者2店は後者2店より小規模な「セレクトCDレンタルショップ」とでも言うべき風情の店でしたが、そういう店だけでなく、ジャニスやK2の規模でも難しくなってしまったということで。

自分も過去よりは盤を買う数は減っていることは間違いないのですが、何やかんやでまだ結構買っています。流行に乗って新たにリリースされるアナログ盤につい手が伸びてしまうというのもありますが、80-90年代のバンド等の中でもデータ化されない音源がある程度可視化されてきたこともあって、それらをやっぱり持っておきたいという気持ちが湧いてきて中古盤屋を巡ったりとか。
こういうレンタル店がなくなるということは、とりあえず買ってしまう自分のような人間でなくても、そういう盤でしか聴くことのできないバンドの音源に触れることができる、最も手軽な接点が失われるということでもあります。

まあ、そもそもものすごく局地的な話ではありますし、サブスクで検索したらそんなの気にならないくらい山ほど聴けるので、やっぱノスタルジーにすぎないんですが、それでもジャニス閉店の時にも感じた、あの膨大なライブラリーが処分セールの形で散逸してしまうのはある意味「損失」なのではないかと、ジャニスの閉店セールに行った分際で言ってみます。

ジャニーズの紅白出場のこと

先日、紅白の話をしたのですが、ジャニーズ勢のここ何年かの出場したりしなかったりの出入りが非常に目まぐるしいため、これは一度可視化した方がよいのではと思ったので表にしてみました。

起点は1980年、田原俊彦の初出場のタイミングとし、出場していない歌手・グループを含めてデビュー日順に並べました。
オレンジ色の地になっているのはCD/レコードデビューした年。ジャニーズ勢の場合、ジュニア内ユニットとして相当長く活動を続けた末にデビューというパターンも多いのですが、「結成」をキーにしてしまうとそもそも紅白の話から離れますし、ジュニア内ユニットのまま消滅したのまで拾い切るのはちょっと無理なので。
「在籍期間」は、CD/レコードデビューから、ソロは退所、グループは解散や活動休止までです。
また、SAY'Sとかテゴマスとか舞祭組とかのようなグループ内ユニットや、修二と彰とかトラジ・ハイジとかのような企画ユニットは入れていません。

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いろいろわかります。
まず、「レコードデビュー」のさせ方が少年隊の前と後で変化しています。「前」はその年の一押しはいてもそれ以外の人/グループも割とデビューしていますが、「後」は一撃必殺というか、デビューまで至るのはおよそ「一押し」のみで、代わりにデビューさせたからには紅白まで確実に送り込む。

ジャニーズは現在に至るまで割とイベント等に絡ませる形でデビューさせるパターンが多めですが、「前」の時期には乃生佳之のように映画「だいじょうぶマイフレンド」絡みでデビューまではしたもののそれ以降は何かシオシオみたいな、「人生賭けて企画物」に見えてしまう状況もありました。
それが「後」になると、そういう単発の企画には既存デビュー組から企画ユニットを出すスタイルでこなしていくようになっています。

その分、少年隊後の数年は「デビューすれば紅白」パターンが続いたのですが、TOKIO以降状況ががらりと変わり、「SMAP」「TOKIO」にほぼ固定された2枠時代が15年も続くことになります。
SMAPの過去グループと比較しての特異点は「デビュー時までにゴールデンの歌番組がほとんど消滅してしまい、バラエティに活路を見出さなくてはいけなくなった結果、むしろお茶の間タレントとして最適化された」ところにあるわけですが、TOKIOも同様に続き、1998年までにはSMAP・TOKIOともゴールデンに冠番組を持つことになります。
要するにSMAP・TOKIOのタレントとしての認知度・人気が圧倒的かつ長期に渡ったせいで、その後デビューするグループが入り込む余地がなくなり、そして恐らくNHK側も枠の拡大を望まなかったことで、こういう状況が続いたのではないかと思います。

そこに風穴が開くのが、デビュー10年目にして人気が一段シフトアップした嵐の存在。
歌手としても2組をしのぐ平均売り上げを記録するようになり、俳優・タレントとしての人気もSMAP・TOKIOに肉薄した結果、当然の状況として枠を拡大されたところに、事務所側はもう1枠、NYC boysの出場までを勝ち取った形。
そしてそれ以降はジャニ側の発言力が増したか割とユルユルになっていき、タレントとして頭角を現した関ジャニ∞が4つめのレギュラー枠を勝ち取り、他に2枠時代に出場してこなかったグループを出場させたりすることになります。

SMAPが解散したり、TOKIOが出場できなくなって既存の枠が空いたことで、更に混沌の度合いを増しての今ということになりますが、KAT-TUNが今回初出場したことで、嵐の出場によって「決壊」が起きた2009年以前にデビューした現役グループでいまだ出場に至っていないのはNEWSだけということになりました。

出ていなかった既存グループの出場順としては、V6が出て次にKinKiが出て、のようにせき止められていたグループの出場にはある程度デビュー順が意識されているような気がしますが、何年間出るかとかその基準はさっぱりわかりません。
ただ、「元メンバーのやらかし度」が高いグループは後回し、みたいな気もします。単に想像ですが。
来年にはNEWSも出られればいいと思うし、出て「『生きろ』」を歌ったら泣くかもしれません。

若いファンの中には、11月デビューのなにわ男子が出ていないと言って嘆いていた方もいらっしゃいましたが、光GENJIも1987年8月デビューで社会現象レベルの人気を博したものの、初出場は翌年でした。来年に期待しましょう。
さらに15年目にして初出場のKAT-TUNやデビュー20年で1回出てそれっきりのKinKi Kidsのファンに至ってはもう何となく「悟り」みたいな境地を感じてしまいます。強い。

ただ、去年には7枠を占めていたのが(Snow Manがコロナ絡みで辞退したため実際の出場は6枠)、今年5枠にまで縮小しているので、事務所内での競争も今後さらに激化するかもしれませんが。こういう状況、前例がないのでわからんのですよ。
様々な思惑の結果決まることとは思いますが、それでも嵐や関ジャニのように、有無を言わさない認知度を得られれば出ることにはなるでしょうから、頑張って推していただきたいと思います。

あと、前に昨年が「最大の7枠」と申しましたが、調べてみると2015年が実際の出場も7組いてここが最高でした。すいません、マッチさんをカウントしていませんでした。