タワーレコード新宿店が規模を縮小すること

昨日、直前と言っていいタイミングでタワーレコード新宿店から出てきた割と衝撃的な告知。

現在は7-10階の4フロアある店舗を、8月30日からフロアを順繰りに休業させていき、10月8日からは9-10階の2フロア体制になるというもの。

タワーレコードはサブスクが全盛になってもコロナ禍になっても、店舗数を減らさずにここまで来ました。
この数年で3店舗オープンさせて閉店したのは今年3月、リモートワークだらけになったビジネス街近辺にあったTOWERmini汐留店のみで。

とはいえ、チェーン各店が順風満帆なはずもなく、郊外型の店舗を中心に観察できた限りでは、売れ筋J-POPを入り口付近に陳列している他は、まだパッケージの販売が堅調なジャニーズ勢、その他男性アイドル、女性アイドル、アニメ・ゲーム・声優系、K-POPにほぼ特化。
パネル展示等のスペースを設けている分商品棚は撤去され、元々タワーレコードの強味であったはずの洋楽の品揃えは限りなく縮小されています。まあサブスク考えればそりゃそうなるという感じではあるのですが。

一方、旗艦店である渋谷店では2019年1月、まだパッケージが売れるアイドル系を中心に、店内でイベントを開催できるスペースを拡大することで、グループの認知を上げ、また特典会参加用のCD販売を並行して行うことで顧客を囲い込む戦略へ大幅に振り切った形の大幅な店内リニューアルを決行、また墨田区の錦糸町パルコには2019年3月、店内の相当な面積をイベントスペースに割ける構造とし、ほぼそういうジャンルのCDに特化した新店舗を出店。

また、新宿店はアナログの堅調な売り上げを狙って、こちらは2019年3月に4フロアのうち1フロアをアナログ専門店「TOWER RECORDS SHINJUKU」とする形のリニューアルを実施、「まだCDが売れるジャンルの販売強化」と「売れ続けるアナログ盤の品揃え強化」という、パッケージ販売に残った2つの鉱脈に生き残りをかけて戦いの準備を万端整えたのですが。

その準備からわずか1年、コロナ禍によって大きく計算が狂います。
都心に出る人が減り、また大勢が集まってのイベント開催が極めて困難になった結果、「店内でイベントを開催できるスペース」になるはずだった場所はただの空き地と化し、いまだに以前のように開催できるかどうか、全く先が見通せない状況が続いています。
かくして2つの鉱脈のうちの1つには、期待もできず、この先の予定や売り上げの推定すらできなくなってしまっています。

その空き地は当然ですが、イベントを開催しなければ1円も儲けを生み出しませんのでただ遊ばせておくこともできず、特にえげつないレベルの空き地が広がっていた渋谷店の5階のイベントスペースは現在K-POPのグッズ等の棚が並んでいます。
しかし実際のところ、複数枚のCDを積んでくれる上客が長蛇の列をなす「予定されていた状況」とは比較すべくもなく。

そして、今後完全にコロナ禍が去ったとしても、当初に予定していたように多数のイベントを開催できるかどうかもかなり不透明です。

まずここまでタワーレコードのイベントスペースをいわば主戦場としてきた女性アイドルグループですが、「タワーレコードのイベントスペース」を適正なサイズ感としてきた中堅どころのアイドルグループが、こちらもコロナ禍の影響もあってすごい勢いで解散しています。
要するに、スペースがたくさんあっても、そこを元々埋めてくれていた演者の絶対数が減っています。

そして2010年代後半からそれまで以上に男性アイドルシーンも盛り上がってきたのですが、その時の盛り上がりの中心はどちらかといえば「地下」に近いところで、タワーレコードが適正サイズと言っていいグループもいくつかいました。
が、それらの男性グループも活動が思うようにできなくなっている状況下、昨年くらいからTV局主導で展開されるボーイズ・グループが複数誕生し、これからもいくつかデビューしそうな気配もあり。
それらのグループはスタートの時点でビッグビジネスな分、イベントスペースのサイズ感とはハナから違うわけで、CDはタワレコで買ってくれるかもしれないけれど、彼らにとってイベントスペースの必要性は皆無です。

かくしてこの1年半でコロナの影響その他でいろんな構造も変わってきまして、現在はもちろん将来にわたって「店内でイベントを開催できるスペース」の必要性が以前と比べて相当に小さくなっている、と言っていい状態。

今回の発表の直前、9月23日に「TOWER VINYL SHIBUYA」のオープンが発表されていたのですが、これが「調子がいいので2店舗目」ではなく「渋谷への移転」なのは、1棟借りのため融通が利かない渋谷店に、新宿店が持っていた機能も含めて集約させて、融通が利く新宿店の方の規模を縮小して適正化を図るという方針。

確かに適正化は図れると思いますが、当初目論見から縮小してのこれであり、2大旗艦店でのこれですので、既に偏った品揃えでギリギリ感ハンパない地方店舗への影響もないとは言えず。
これまでずっとあった「何となくヤバげ」という感覚から割とリアルな「ヤバい」になってきました。

アナログと書籍への依存度を徐々に高めているHMV、本店の路面部分をテナントに回しつつ郊外の小型店を切りにかかっている山野楽器、為す術なくダラダラと店舗数を減らしていく新星堂。チキンレースもいよいよ佳境に入ってきた感じです。

最近の男子グループのこと

先日、ジャニーズ事務所のメリーさんが亡くなられたということで。
既に経営・運営の一線は退いていたとのことで、今後の大勢には影響はないものと思われますが、一時代が完全に終わった感があります。

SMAPが解散した後、嵐が活動休止を発表したあたりから変化してきたジャニーズ所属タレントのテレビ等での露出の状況は、コロナ禍でより明確になってまいりました。
とにかくいろんなバラエティに様々なグループのメンバーが顔を出し、その顔やキャラを何とか視聴者に認知してもらおうとしています。
その中には、以前であれば「ジュニア」としてまとめられがちだったまだデビュー前のグループのメンバーもいたりして、コンサートがないことも含めていろいろ大変です。

もちろんデビュー時には華々しくプロモーションされるのでしょうけど、それ以前に泥臭い部分をここまでお茶の間につまびらかにしてよいのだろうかと、多少なりとも古いジャニーズグループを知るおっさんは何となく思うのですが、今地上波でも盛んに行われている男子ダンス&ヴォーカルグループのオーディション番組とその人気を考えると、ジャニーズ事務所が今バラエティ等で行っていることは、事務所の伝統的な育成スタイルと今のリアリティ番組的な流行りのスタイルとの乖離を、「ジャニーズ」の看板を維持しながら可能な範囲で少しでも埋めようとする試みなのではないかとも思ったり。

で、そっちの男子グループのオーディション番組の話。
日本テレビでは、先日SKY-HIプロデュースのBE:FIRSTのメンバーが決定し、またJYPプロデュースの男子グループオーディションも控えています。
TBSでは「PRODUCE 101 JAPAN」のオーディションを経てJO1が既にデビューし、SEASON2のINIもデビューが決定しています。

もちろん実力も見ているのはわかるのですが、かつてのASAYANのオーディションのようにいろいろエクスキューズ込みにしなくても、もうこういう美男子揃いのグループのオーディションが普通に地上波でバンバン放送できるようになっている時点で、ジャニーズ事務所が以前の強面から相当に変化していることの証左であるわけです。
そしてそれ以外にもこれ多分テレビ局が「紐付きのコンテンツ」としてこういうグループを欲しているのではないかと、非常に思うのです。
現在非常に収益的にしんどいと言われている各テレビ局がこういう「スター」を育成するプロジェクトに噛むことで、そのプロジェクト発のグループが番組のCMとか既存の収益構造以外から収益をもたらしてくれる形。

日本テレビの方はHuluも噛んでいますし、TBSの方は吉本興業も入っていて、そのせいか初のJO1の冠番組はフジテレビのCS局での放送だったりしますので、ビジネスとしての形もそんな単純ではないとは思うのですが、でも局としてそういうグループがいることは心強いと思います。

ともあれ、そういう理由であれここ数年で男子グループの景色は相当変わってきたということで、正直今の状況いろんなタイプのが出てくるというだけでも、悪くないと思っております。
そして振り返って思うのは、元ジャニーズJr.のメンバー中心に2016年に結成されデビューしたものの一瞬で何故か活動停止したG=AGEは、正直早すぎたなあということです。

Zepp TokyoとSTUDIO COAST閉店以降の首都圏のライブ会場のこと

Zepp Tokyo・STUDIO COASTの閉館が決まりました。
どちらも相当に行き倒したライブハウスなので非常に残念な気持ちはあるのですが、Zepp Tokyoは元々もっと早くに閉館する予定で、Zepp DiverCityはその代替としてのオープンのはずだったのが、跡地の再開発計画の延期で営業期間延長しての今回ですので、むしろ今まで粘ってくれてありがとうという感じです。

が、今回何かSNSを見ていると「どんどんライブハウスが減っていく!」みたいな声も少なからずありまして「そんな全体として減ったんかいな」と思って、キャパ1000人以上のポップス音楽ウェルカムのホールやライブハウスを、首都圏に絞ってざっと挙げてみました。
幕張や横浜の多目的アリーナやスタジアム系の馬鹿でかいのは除いています。

(新)ぴあアリーナMM(12,141)2020年7月OPEN
(新)有明ガーデンシアター(8,000)2020年7月OPEN
---東京国際フォーラムホールA(5,012)1997-

---NHKホール(3,800)1973-
---TOKYO DOME CITY HALL(3,120)2008-
---日比谷野外大音楽堂(3,119)1923-
---豊洲PIT(3,103)2014-

(新)立川ステージガーデン(2,940)2020年4月OPEN
(新)Zepp Haneda(2,925)2020年7月OPEN
(閉)Zepp Tokyo(2,709)1999-2022年1月CLOSE
---Zepp DiverCity(2,473)2012-
(閉)新木場STUDIO COAST(2,402)2002-2022年1月CLOSE
---中野サンプラザ(2,222)1973-
(新)KT Zepp Yokohama(2,146)2020年3月OPEN
(閉)渋谷公会堂(2,084)2015年10月CLOSE
---J:COMホール八王子(2,021)2011-
---人見記念講堂(2,008)1980-

(新)LINE CUBE SHIBUYA(1,956)2019年10月OPEN
---品川ステラボール(1,884)2005-
---EX THEATER ROPPONGI(1,746)2013-
(閉)SHIBUA AX(1,697)2000-2014年5月CLOSE
---東京国際フォーラムC(1,502)1997-
---恵比寿ガーデンホール(1,500)1994-

(閉)赤坂BLITZ(2代目)(1,418)2008-2020年9月CLOSE
(閉)日本青年館(2代目)(1,360)1979-2015年3月CLOSE
---TSUTAYA O-EAST(1,300)1991-
---川崎CLUB CITTA'(1,300)1988-
---なかのZERO大ホール(1,292)1993-
(閉)ディファ有明(1,273)2000-2018年6月CLOSE
(新)日本青年館(3代目)(1,249)2017年7月OPEN
---横浜ベイホール(1,100)1995-
---恵比寿LIQUID ROOM(1,000)2004-

こんなところでしょうか。
Zepp Tokyo・STUDIO COASTが当てはまる「2000-3000人クラス」の箱についてはむしろ増えています。Zeppは羽田と横浜、あと立川ステージガーデンが2020年にオープンしましたので、Zepp Tokyo・STUDIO COASTの減り分を相殺して余った形。
こういう状況ですので、新規オープンしたことをご存じなければ「どんどん減っていく」と感じるのもやむを得ないところですが、実際にはむしろ一回り小さい「1000-2000人クラス」の方が、赤坂BLITZの閉館もあって厳しくなっています。

2018年にヒューリックホール(900)、ストリームホール(700)、神田明神ホール(700)が次々オープンしたりと、1000人以下は近年むしろ厚くなっているのですが、興行が重視される時代になり、会場の重要性が増している現状、1500人入れられる箱を作るだけの資本があれば、もう少し他施設との塩梅を調整して2000人クラスの箱にした方がビジネスとしてより有利なことは間違いなく、やむを得ないのかもしれません。
実際相殺して余ったとはいっても、「2000-3000人クラス」の箱は近年コロナになるまではずっと取り合いみたいな状況ではありましたので、やっぱ首都圏足りてないのは間違いない。

中野サンプラザも、いつになるかが決まっていないので上記では敢えて触れていませんが、建て替えは決まっていて、建て替え後は7000人クラスにするとか言っているので困ってしまうのですが、そのレベルの箱になると既存のところは音楽以外の業種とも取り合いになりますのでやっぱり大変で、ぴあアリーナMM・有明ガーデンシアターの開業もそこらへんのニーズを睨んだものと思われます。

結局、少なくとも首都圏はある程度のキャパ以上の箱は慢性的に足りていないわけですね。Zepp Tokyoというか、パレットタウン跡地の再開発で別の箱作ってくれねえかなあ、と正直思いますが、とりあえず直近でコロナ禍が去った後、音楽を生業にしているみんながみんなライブをやりたがるであろうタイミングで、どんな激烈な会場争奪戦が起こるのか。

というか、たとえばOfficial髭男dismのライブ、2020年5月に有明ガーデンシアターで開催予定のチケットを頑張って手に入れたもののずっと延期になっていまして、ようやく振替公演が2022年1月に決定したのですが、会場は代々木第一体育館になりまして。会場を元通り取り直せない状況が既に起きています。
正味ある程度以上の箱ではもう殴り合いがガツンガツンに行われているのでしょう。恐ろしい。

ケラ「まるで世界」と「松本隆トリビュート」のこと

最近出たカバーアルバム2種。

ケラ「まるで世界」はアナログで購入。色がとてもきれいなカラーヴァイナル仕様。要するに「モノ」としてとても欲しかったんです。
f:id:wasteofpops:20210708220845j:plain
有頂天の「心の旅」「アローン・アゲイン」、LONG VACATIONの「エノラ・ゲイの悲劇」「シェリーに口づけ」、ナイロン100℃「1979」のサントラの各曲等々、過去から数多のカバー曲を送り出してきたケラ氏ですが、カバー曲に対する姿勢は実に一貫しています。
「絶対元曲っぽくやらない」という頑なな姿勢。勝手に訳詞をつけ、勝手に譜割を変え、すさまじくオリジナリティ溢れる、でも完膚なきまでに破壊するところまではいかず、きちんと「この曲だ」とわかる塩梅に落とし込むその手腕。
元曲へのリスペクトだかなんだか知りませんが、ほとんどコピーみたいなクソつまらないのを「カバー」と呼ぶくらいならむしろやらない方がマシだと思っている自分にとって、彼のその姿勢・手腕は正直理想的であります。

そして今作、そういう自分にとって実にいい塩梅の音源が並ぶ中、今回はその選曲までが絶妙。どメジャーな曲は「中央フリーウェイ」と「時間よ止まれ」くらいですが、「みんなのうた」から4曲、他は五つの赤い風船やじゃがたら、ルースターズ等、80年代インディーズその他をそこそこ聴いていたという自分レベル、要するに今彼の音源を手にするくらいの人間であればほとんど「聴いたことはある」というあたりの曲ばかり。
非常に楽しく気持ちよく聴けます。

ただ、今回はアナログで購入したのですが、アナログのみ収録のSIDE-D楽曲の、突然段ボールとあぶらだこはわからなかった。実は私、この2バンドはきちんと通っていません。
そういう、不勉強なところまで洗い出されてしまうのはなかなかに怖い。って、突然段ボールの方はファーストシングルのB面の曲とか、それは無理だ。


一方、「風街に連れてって!」は、既にちょいちょい出ている松本隆トリビュートアルバムの中でも、その参加陣の豪華さから非常に本命的な盤です。

全体的なサウンドプロデュースは亀田誠治氏。
彼は人によっては無茶な音作りもしますが、基本的にはバランス型のプロデューサーですので、あんまりサウンド面の期待はしていなかったのですが、全体を通して実際無茶なアレンジは皆無なものの、作詞家のトリビュートアルバムとして、その歌詞というか「歌」を最大限に重視した結果こういうアウトプットになったと考えると、非常に納得度の高い出来。
特にほぼピアノのみのアレンジに三浦大知の声が乗る「キャンディ」とか、ブラスを前面に出した普段の彼らしいアレンジで歌われる横山剣の「ルビーの指環」あたりは抜群。
逆に宮本浩次の「September」あたりは、悪くはないものの何故彼なのかその必然性がいまいち理解できなかったり。

でもやっぱりベストトラックはB'zの「セクシャル・バイオレットNo.1」。馬鹿かっこいいのこれ。
この曲はVo.稲葉、G.松本なのは当然として、B.亀田誠治、Dr.玉田豊夢という編成なのがとてもレアで、それだけで何かいいもの聴いた気持ち。

全体通して「うわーすげえ!」というタイプの音ではないものの、純粋に歌ものアルバムとして聴くと、悪くない感じです。

民放の五輪テーマソングのこと

オリンピックの開会式は、いろいろ思うところはあるものの、こと音楽にフォーカスした場合、蓋を開けてみたら一番盛り上がるところの楽曲が「イマジン」と「翼をください」って、それは2021年という時代にどうなのと思ったり、でも両方とも今でも多くの人が認知しているエバーグリーン的な楽曲ではあるしなあとも思ったり、もにょもにょしながら見ていたのですが。

で、競技が始まって気になるのは、各局の「テーマソング」です。
NHKのテーマソングは「カイト」ですが、今年の紅白ではもう本来的に歌うグループがいないので、多分ジャニーズの他の人が歌うのだろうなあくらいの気持ちですが、問題は民放。

過去の大会では、NHKはもちろん民放キー局各局がそれぞれ有名ミュージシャンを起用して、中継やダイジェスト番組で流すための楽曲を用意するのが常だったのですが、2020年オリンピックに際しては少し様子が違っていました。

まずオリンピック開催にあたって在京民放5局が2019年に「一緒にやろう2020」という共同企画を立ち上げ、そのテーマソングには桑田佳祐が起用されます。
「一緒にやろう2020」という企画は、元々は「『史上最も美しい五輪へ』をサブテーマに掲げ、『心も綺麗に、街も綺麗に』を目指して、視聴者参加型のさまざまな社会貢献企画を展開していくもの」でしたが、彼へのオファーの時点で「民放キー局共通のオリンピック関連番組のテーマ曲」として使用されることも決まっておりまして。

正味、きれいなお題目はありますし、その通りの意図もきっとあるのは間違いないにしても、「いろいろ予算が厳しい民放局がお金を出し合って折半できるところは折半して、見た目は豪華を維持する」ことが一番でかい目的ではなかったのではないかと勘ぐったりも致します。

ただ、結局オリンピックは1年延期され、桑田佳祐の楽曲「SMILE~晴れ渡る空のように~」のリリースも延期された結果、この7月12日にようやく配信リリース。
そしてすごく居心地が悪いのが、「民放5局の共通テーマソング」だったはずのその曲が、実際始まってみると何か様子がおかしいこと。

ここまで今日1日テレビを見たくらいなので、まだ印象程度に過ぎないのですが、

・日本テレビ
バリバリに使用。

・テレビ朝日
大きなところでは使用していますが、「松岡修造アスリート応援テーマ」と冠された楽曲「CANDO」も併用。

・TBS
日テレほど派手にではないですが普通に使用。

・テレビ東京
普通に使用はしていますが、謎のオリジナルジングルも用意してけっこう使用。

・フジテレビ
私が見た限りでは使用されず、元々アスリート密着番組のテーマとして使用されていた関ジャニ∞「凛」が、実際の中継やダイジェスト番組の際にもテーマソング的に使用

要するに、何か足並みが揃っていない。
1年延期になったことで、各局の温度感の違いやら、MC的な方々との契約上のいろいろとかあったりすることは想像できるのですが、でも何かこっちももにょもにょする。

あと、Twitterでは言ったのですが、競泳の大橋さんが金メダル取ったあたりで会場のBGMとして「ULTRA SOUL」がかかっていたのが聞こえてきて、非常にドメスティックな感覚というか、無観客でも間違いなく日本で開催されているのだな、という思いになりました。
外国の方にもし「これは何の曲だ」と問われてしまったら何て答えればいいのだろうか、という非常に無駄な疑問がわき、十数分熟考した結果、The White Stripes「Seven Nation Army」が一番欧米における位置付けとしては近いのではないか、という結論が自分の中では出たのですが、答え合わせをする機会がありません。多分一生ない。

TSUTAYAのFCのトップカルチャーがレンタルをやめること

フランチャイズ型店舗が9割を占めるTSUTAYAですが、その最大手フランチャイジーのひとつが、新潟県を本拠地に東北から関東・静岡にかけて71店舗を展開しているトップカルチャー
代官山とか梅田とかの「ライフスタイル提案型」店舗とされる「〇〇 蔦屋書店」はCCC子会社の直営か地元企業等との合弁企業の運営なのですが、「蔦屋書店 〇〇店」という名義の郊外型の大型店舗はだいたいトップカルチャーか九州のニューコ・ワンのフランチャイズ店舗です。

で、そのトップカルチャー、遂にこういう判断を行った模様です。


さっきTSUTAYAの店舗検索で「DVDレンタル」にチェックを入れたところ908店舗出てきましたが、うち現在もレンタルを展開しているトップカルチャーの店舗は51店舗。
トップカルチャーの蔦屋書店/TSUTAYAは全部で71店舗あるのですが、うち20店舗ではレンタルを取り扱っていません。
元々昨年以前からレンタルを取り扱っていないのはこれだけありました。

蔦屋書店 新発田店
蔦屋書店 フォレオ菖蒲店
蔦屋書店 本庄早稲田店
蔦屋書店 川島インター店(コミックレンタルのみあり)
蔦屋書店 滑川店
蔦屋書店 龍ケ崎店
蔦屋書店 ひたちなか店
蔦屋書店 静岡本店

ここ何年かでオープンして最初からレンタルを行っていない店舗もあり、最後の静岡本店なんかは元々すみやの本店だった店舗がTSUTAYA傘下に入り、移転を機にトップカルチャーに譲渡された形だったりします。

それが更に今年に入って続々とレンタルの取り扱いを終了する店舗が出てきます。結構な勢いで。

2021/02/28:蔦屋書店 新潟中央インター店
2021/02/28:蔦屋書店 南笹口店
2021/02/28:蔦屋書店 ベルパルレ寺尾店
2021/03/07:蔦屋書店 横越バイパス店
2021/03/07:蔦屋書店 県央店
2021/03/07:蔦屋書店 マーケットシティ白根店
2021/03/21:蔦屋書店 アクロスプラザ美沢店
2021/03/21:蔦屋書店 長岡花園店
2021/03/21:蔦屋書店 柏崎岩上店
2021/03/21:蔦屋書店 六日町店
2021/03/28:蔦屋書店 諏訪中洲店
2021/04/XX:蔦屋書店 前橋吉岡店

レンタルを撤去したスペースでは日用雑貨等の販売を行ったりしていたのですが、多分それで数か月転がした結果、採算の目途が立ったということなのでしょう、全店舗そういう感じにしますよ、という判断を下したわけです。

トップカルチャーは他のフランチャイジーと比べると郊外の大型店舗の割合が非常に高く、元々「書籍販売」「DVD/CD販売」「DVD/CDレンタル」「文房具・雑貨販売」といったいくつかの種類の商いを広い床面積に物を言わせて同時展開していることがほとんどであったため、「駅前でレンタルのみ」という小型店舗よりは、こういう身の振り方も比較的容易に可能だという事情もあるとは思うのですが、それでもこの判断がこれ以降他のフランチャイジーにどう影響するのかがとても気になります。

とはいえ、2023年中に全店で実施しますということですが、トップカルチャーの規模だとそれくらいのスピード感だとしても、逆に他の比較的小さなフランチャイジーはこの状況を踏まえてもっと素早く業転することもあり得るのではないかとも思います。

直営メインのゲオは、一応今のところレンタル店舗も比較的残してはいますが、会社的なメイン業態は既に完全にセカンドストリート等の総合リユースの方に舵を切っていますので、こっちもこの先どうなってもおかしくない。

そんな感じで、正味「終わりの始まり」のトリガーは既に引かれている業態ではありますが、これでそのスピードが早まったり、他チェーンの状況が変わったりするのか、いつも通りではありますが見ていきたいと思います。

特に新潟拠点の中堅レンタルチェーンのビデオ1は、ライバル不在になることで一層張り切るのか、地域ごと店舗離れが進んでむしろシオシオになっていくのか。

ディスクユニオンのベストアルバムストアのこと

「ベストアルバム」というのはここまでミュージシャン諸氏にとっては「おいしい」ビジネスでした。入門としてほどよく売れるという点は当然、新曲1-2曲制作したら後は既存曲で済んでしまうという点での費用対効果も抜群です。
まあ、ベスト盤出せるようになるまで頑張れたことがまずすごいわけで、そういう意味では「ご褒美」的な側面もあったり。レーベルとの契約終了の引導だったりもするものの。

そういう「いい感じ」の存在であったはずのベスト盤ですが、サブスク・ストリーミング上等の世の中になった結果、既存曲を編集するというのは「プレイリスト」の役割になりました。
実際Apple Musicなんかだとちょっとしたミュージシャンには「はじめての〇〇」というベスト盤的プレイリストが割と目立つ位置にぶら下がっていたり、何となれば自分で勝手に好きな曲並べて「俺ベスト」を作成するのも一瞬。
正味、徐々にパッケージとしての「ベストアルバム」というものの存在意義が薄れつつある、そんなタイミングでディスクユニオンが新宿に7月9日「ベストアルバム専門ストア」を開店するというので、見てきました。

元々ディスクユニオンの中古ストアは紀伊国屋ビルの上の方にあったのですが、その隣に新しくビルができまして、そのビルの3階を1フロア借り切って「中古センター」「クラシック館」「収納ストア」とともに「ベストアルバム」専門のフロアがあるという形。

f:id:wasteofpops:20210712000542j:plain

「セカンドハンズ店」が紀伊国屋ビルの上の方に入る前は、その新しくできたビルの前にそこに建っていたビルの中にあったりといろいろ面倒なのですが。

f:id:wasteofpops:20210712000834j:plain

エレベーターで3階に上がると、フロアのメインはあくまでもクラシックと中古で、ベストアルバムストアはさほど大きい面積を割いたものではありませんでした。
CDメインで割とジャンル分けは大きめ、日本についてはほぼ完全に「日本」という括りであとは五十音順なので、J-POPも演歌もフォークも歌謡曲も一緒くた。水前寺清子とSUPERCARがほぼ隣り合うように並んでいるのはある意味新鮮です。
サザンの「バラッド」シリーズとか、アナログの方には日本で勝手に編集したビーチボーイズのヒット曲4曲収録のEP盤とかもあり、厳密な「ベスト盤」だけでなく、そういう「単独ミュージシャンの自曲による編集盤」であればOKくらいの括りになっています。

The ピーズの、敢えてそういうタイトルを付けたオリジナルアルバム「グレイテスト・ヒッツVol.1」「グレイテスト・ヒッツVol.2」も本当のベスト盤「ブッチーメリー」の横に並んでいたのはこれは止むを得ないというか、そういうタイトルを付けたThe ピーズが悪い。

この前代未聞の専門店の意図は何か考えてみたのですが、よく考えれば、音楽パッケージを初めて手にする際の入口のハードルを下げる、そんな役割を担えるのではないかと思います。
悪く考えれば、CDの社会的寿命がそろそろしんどくなってきて、急激に需要がシュリンクしそうな現在、割と潤沢に中古在庫があるベスト盤をうまいこと捌くための手段という側面はないのか、とかも思ったりします。
何にせよ、この「ベストアルバムストア」は、クラシック館や中古センターほどに長く続けていく業態ではないのだろうなあ、という気はしています。

ただ、ディスクユニオン。3月に渋谷のdiskunion ROCK in TOKYOをオープンした時もそうだったんですけど、新築のビルの、他の階はまだ工事中の中、無理やり自分とこのフロアだけつんのめり気味にオープンさせているのが、だからそれも「今」を逃すとビジネス的にヤバいってことなのではないかと。

「ガールズバンド」のこと

昨日の「マツコの知らない世界」で、SHOW-YAの寺田恵子さんと、Mary's Blood/NEMOPHILAのSAKIさんを迎えて「ガールズバンド」を特集していたのでぼんやりと眺めていたところ、いろいろ思いついたのでちょいちょいTwitterに流していたのですが、いったんまとめてみようと思いまして、書きます。

まず冒頭ですごく違和感を感じたのが、2人が口をそろえて「今のガールズバンドは売れない、不遇である」と言っていたこと。自分の感覚では、確かにプリプリやSHOW-YAレベルのビッグネームこそいないものの、日本のバンドシーン史上で今が最も数多く様々なガールズバンドが存在して活躍していると思っていたので。
ただ、番組を観ていくうちに何となくその違和感の理由が何となく理解できまして。

番組でもざっくり日本のガールズバンドの歴史を流していましたが、少なくともメジャーデビューした「全員が女性」のバンドでは最古のガールズは当然紹介されたのですが、そこからおよそプリプリ・SHOW-YAの時代まですっ飛んでしまいました。
その間にメジャーデビューしたバンドでざっと思いつくだけでもガールズバンドの実質的パイオニア的存在であるZELDAやタンゴ・ヨーロッパがいて、プリプリ・SHOW-YAと同時期のバンドでもGO-BANG'SやNav Katzeがいたはずなのですが、そこはスルー。
当然80年代インディーズの赤痢とかキャ→とかパパイヤパラノイアなど出てくるはずもなく。

ただ、その後今に至るガールズバンドの歴史で、ZELDAとプリプリ/SHOW-YAに匹敵するレベルの一大転換点だったと思っているチャットモンチーが「技巧派」としてさらっと流され、更に新時代のバンドの紹介フリップでは、寺田さんがよくご存じのHR/HM系のバンドとそれ以外でぱっつり分けられていたのを見て、そこでようやく何となく理解。

チャットモンチーはガールズバンド全体で捉えれば「転換点」ではなく「新しい起点」だったのだなあと。

SHOW-YAは元々寺田さんのソロだったはずのものをバンドとしてのデビューを勝ち取ったものの更にデビューしてもポップス路線を強要されるなど、ブレイクするまで辛酸を舐め続けてきた存在。
同僚プリプリも元々はアイドルバンドとしてデビューさせられ、もがきつつ自分のスタイルでのヒットを勝ち取ったわけで、そういう初期方針に持っていこうとする制作陣の男性との対立や元々男性中心のコミュニティであったバンド界隈での軋轢を乗り越えてここまできた、そういう人たち。
時には寺田さん曰く「あざとさ」と称した「敢えて女性性を押し出す」ことも躊躇せず、がむしゃらにポジションを勝ち取ったことには彼女たち自身相当な自負もあるでしょう。そりゃ「戦いの歴史」とか「男に負けないギター早弾き」とかテロップで出したくもなります。

一方チャットモンチーが特別だったのは、その「普通」さ。「女だてら」感もなければ「あざとさ」も皆無、見たくれでは上昇志向さえもうかがえないレベル、少なくとも「対立」「VS 男」的な匂いを一切させない異常なほどのフラットさでした。
それは今考えれば、彼女たちが徳島の出身で、東京や大阪のアマチュアシーンで揉まれ、その結果ギラついたりすることもあまりないままメジャーデビューまで行ってしまったことも大きいと思いますが、結果としてそういうスタイル・佇まいが時代の女の子に刺さり、それ以降のガールズバンドの定型のひとつになっていくわけです。

だからそれは「揉まれてなんぼ」で「対立」上等のそれ以前のガールズバンドとは全く別の形であって、でも昔からのスタイルのガールズバンドもそれ以前から今に至るまで存在し続けていて、その2つの線はあまり馴染むことも重なることもなく併存する形になったということで、だからチャットモンチーは「転換点」ではなくあくまでも「新しい起点」であったと、そう思ったのです。

今やシーンのメインはチャットモンチー以降になってはいるけれど、今回の番組はその、昔から存在している方のガールズバンド界隈の方々が出演し、その目線から過去から現在のガールズバンドを俯瞰した結果、ああいう構成の番組になったと考えると非常に合点がいったのです。納得した。
番組で紹介されなかった過去のバンドにしても、寺田さんがZELDAやGO-BANG'Sと仲いいということはあんまり想像できないし(実際NAONのYAONにもメンバーソロ含めて出演歴なし)、妥当ではないかと。いわんやSuper Junky Monkey。

もう一つ思ったのは、CHAIの「NEOかわいい」という宣言は、それ要するに寺田さん言うところの「あざとさ」からの決別というか、男目線の価値観からの脱却という側面もありますので、そしてそういう意識のありようはチャットモンチー以降とも異なっているので、これもしかしたら「3つめの起点」が今作られようとしているのではないか、ということ。

「マツコの知らない世界」は、自分では珍しく録画している番組で、いろいろ突っ込み入れながら観ているのですが、今回もそうしつつ、でもいろいろ自分の中の理解が整理されて非常にためになりました。ありがとうございます。
ただ、このままもう少し時間がたつと寺田さんが「ガールズバンド界の内田裕也さん」みたいになりそうな気がして、それはいいのか悪いのか本当に判断できない。

池袋西武の山野楽器が閉店すること

何かお店の話が続きますが、ニュースがだらだら出てくるので仕方がない。
今回は、山野楽器 西武池袋店が8月下旬で閉店するという話。

池袋駅東口と山野楽器といえば、往年のレコードディガーな皆様ならみんな大好きパルコのオンステージ・ヤマノ。
外資系やWAVEが拡大するまで、ここまで大規模に「掘れる」輸入レコード店もなかったわけで。いや、私は1980年代はだいたい四日市市在住なので後から聞く話だけですけど。

およその流れをたどってみると、1980年代までは、西武百貨店に西武グループの標準型レコード店のディスクポート、パルコにはオンステージ・ヤマノと通常業態の山野楽器池袋パルコ店のダブル店舗体制。

1995年頃、元々は外部のビルに入居していたWAVEが、西武百貨店に入ってディスクポート名義からWAVEに変更されます。
2003年3月にはパルコ内の2つの店舗が合体してオンステージ・ヤマノ一店舗体制になるのですが、その年の末にはその店舗も閉店し、いったん山野楽器は池袋から姿を消すと同時にパルコ本館からCD店がなくなります。

まあ言うても1994年以降パルコの別館的位置付けのP'PARCOができて、そこに元々南池袋の路面にあったタワーレコードが移転してきてきれいな店舗で国内盤も扱い始めてブイブイ言わせたこともありまして、山野楽器は一店舗体制後の評判があまりよろしくないこともあり、そんなタワレコに勝てずそのまま閉店という形。

その後WAVEの経営状況がみるみるおかしくなり、西武グループからも離脱、2009年の初めに池袋からの撤退を余儀なくされるのですが(その夏には企業として破産)、そのWAVEが飛んで突如空いた穴を埋めたのが山野楽器。戻ってきました。ついに西武百貨店の方で営業を行う形になります。
でもそんな救世主的存在だったはずの山野楽器なのですが、2009年頃にはCD自体がいよいよ斜陽になりつつあったこともあり、しばらくもたたずに鬼っ子状態、2015年には百貨店本館から南の外れの方にある別館に移転します。
それ以降、正味すごい細々感のある店舗で営業していたのですが、それも遂にこの夏で終わるということです。

ということで「池袋駅東口の壁っぽいあたりのレコ屋」の流れですが、まとめとして年表っぽくしてみます。

-1994
西武百貨店:ディスクポート
パルコ:オンステージ&山野楽器

1994-
西武百貨店:ディスクポート
パルコ:オンステージ&山野楽器
P'PARCO:タワーレコード

1995-
西武百貨店:WAVE
パルコ:オンステージ&山野楽器
P'PARCO:タワーレコード

2003-
西武百貨店:WAVE
パルコ:オンステージ
P'PARCO:タワーレコード

2004-
西武百貨店:WAVE
P'PARCO:タワーレコード

2009-
西武百貨店:山野楽器(本館8階)
P'PARCO:タワーレコード

2015-
西武百貨店:山野楽器(別館B1階)
P'PARCO:タワーレコード

2021-
P'PARCO:タワーレコード

この山野楽器の閉店で、池袋駅東口近辺に残るのはタワーレコードのみということですが、正味タワレコも規模を縮小していて、渋谷や新宿と比較するとかなりしんどい感じでありまして。
東口その他は、サンシャイン通りのHMVは速攻で撤退し(現在はBOOKOFF)、サンシャインシティでオープンしたり移転したり閉店したりを繰り返していた新星堂はこの2月に完全閉店、V系専門店になる前はHR/HM系の洋楽も扱っていたBrand Xは夜逃げ、TSUTAYAも2店舗潰れ、タワレコ以外で残っているのはディスクユニオンと、最近駅近から微妙に外れた場所に移転して「東口」って言っていいのかわからなくなった老舗レコ屋のだるまや。

西口は、いくつかあった中古屋も消え、レコードも扱っていた古書店八勝堂も閉店。残っているのは東武百貨店で孤高の営業を続ける五番街と、メトロポリタンプラザ→ルミネ→エソラと、移転するたびに小さくなっていくHMVと、西口の中古レコード担当ココナッツ・ディスク。レンタルはロサ会館のTSUTAYA。
いや本当にこれくらいですよ、今の池袋。

というか、派手な再開発はないのですが、地味にいろいろ変わっている池袋。個人的にはサンシャイン通りのデニーズが閉店したのがキツいです。俺的待ち合わせのメッカだったもので。

札幌大通と福岡天神のTSUTAYAが閉店すること

立て続けに閉店の報。札幌市のTSUTAYA 札幌大通と、福岡市のTSUTAYA 天神ショッパーズ福岡が7月31日で閉店。
札幌市街はJR札幌駅の高架下に、福岡市街は中州に一応店舗は残っているものの、両都市ともその市街地域での旗艦店と言っていい方の大型店が逝ってしまいます。
いよいよ各地方の拠点都市の繁華街からも撤退です。

東京都心でCD/DVD取扱店舗はSHIBUYA TSUTAYAと池袋ロサ店(レンタルのみ)、名古屋は名駅新幹線口そばの名古屋駅西店は「都市の中心部」と言っていいのかどうか微妙、大阪はTSUTAYA EBISUBASHI(販売のみ)とあべの橋店。
三大都市でこのレベル。ほかの政令指定都市クラスを見ても、神戸市ではTSUTAYA三宮店が2020年4月に閉店しています。

他の政令指定都市もさらってみると、仙台市、さいたま市(大宮)、川崎市、横浜市、静岡市、堺市には主要駅の徒歩圏に店舗はあるものの、正味「大型」と言えるレベルの店舗ではなく、千葉市、新潟市、浜松市、岡山市はそもそもここ十年以上旧市街地徒歩圏に店舗なし。
相模原市はどこが市の中心地なのかよくわかりませんが、実質的には町田駅界隈とすれば西友の中にあるものの、厳密に市内で考えれば相模大野は駅前とは言えない立地ですし、橋本駅の店舗はこの2月に閉店。
正味、大都市圏繁華街で地域の旗艦店として機能しているのはSHIBUYA TSUTAYAとTSUTAYA EBISUBASHI以外には、熊本市の蔦屋書店 熊本三年坂だけなんじゃないかと思います。

というか、政令指定都市とはいえ、新潟・浜松・岡山あたりはもう主要駅周りや旧市街地を「繁華街」と呼んでいいのか迷ってしまうところもありますし、他の都市のほとんども大なり小なりそういう方向に進んでいます。
CD/DVDのニーズ状況はもちろん、TSUTAYAの方針もありますが、それだけではなくその都市なりの構造や人口の動向や開発の方針等の状況の方にもいろいろあるわけで。

だから、他の都市のTSUTAYAが様々な要因はあるものの総じてずいずい整理する方に向かっている中で、瀕死の地場チェーンのフタバ図書に出資して街の中心部や駅前を含んだ旧フタバ図書の店舗を、今年になって続々とTSUTAYA化している広島市は、やっぱりよくわかんないんですよ。
でかい蔦屋書店作ったんだから、それでいいんじゃないかと思うんだけど。