エンターキングが復活すること

「無観客ライブ一覧」とか何かできねえかとか昨今の世の中の状況について考えていたら、もうとんでもなく滅入ってきて。
ダメだこれは、何か楽しいことはないかと探し回ったところ、足立区と千葉県の一部の方について微妙に楽しいことが発見されましたので、標記の件について。

千葉県・埼玉県あたりを商圏にして、中古を中心に、ゲーム・CD・DVD・トレカ等を販売していたチェーン、エンターキングの滅亡への道については、過去に3度ほど取り上げました。

玉光堂とエンターキングの運営企業がダメになったこと

エンターキングがおよそ消滅したこと

エンターキングの続報のこと

ここまで来ての最大の残課題は、閉店セールもできず、桃太郎王国としての再オープンもできなかった西新井・千葉中央・南行徳の3店舗の行く末。
西新井なんかは観に行ったらシャッターも閉めずに在庫丸見え状態で非常に切なかったことを覚えているのですが、遂にここに来て動きが。

「エンターキング Supported by 駿河屋」が千葉と東京に3店舗順次オープン!

まさかの「エンターキング」の屋号復活。
「桃太郎王国」も駿河屋の業態のひとつなので、これ何が違うねんというところは気になりますが、一旦駿河屋が桃太郎王国にしたところも含めて全部権利を拾って行けそうなところは自社店舗として取り込み、流通等は単独ではなく駿河屋のものに乗る形にしてコスト圧縮、それを前提にエンターキング側の人間に改めて再建策を提出させ、確認したうえでこうなった、みたいな流れは何となく想像できるのですが。

ともあれ、一番悲惨な状況は脱しました。
正味、こういうパッケージ販売店という業態自体がいつまでやれるかっていう話はあるのですが、今は置いておきましょう。

ライブを中止するとか無観客ライブするとかのこと

ライブが続々中止になっている中で、いくつかのバンド・グループはYouTubeで観られる無観客ライブという形で開催。
私は頭とお尻はBAD HOP、真ん中はNUMBER GIRLを観ていましたが、BAD HOPは普段聴かないジャンルだけにたいそう興味深く観ることができ、NUMBER GIRLは向井が滅茶苦茶やったり、森山未來が無観客のフロアで踊りまくったりと「無観客」でないと観られないものでした。
NUMBER GIRLはライブ・ビューイングがありましたので、そちらでの収入もなくすわけにはいかないという現実的な判断、BAD HOPはライブ・ビューイングはなかったものの、草の根で人気を勝ち取ってきた彼ららしい判断で無観客でも開催し、代わりに投げ銭&クラウド・ファウンディングで支援を募っています。
こんなん速攻で満額いくやろと思っていたのですが、思ったよりも今のところは伸びていない。考えてみたら彼らの熱狂的なファンは圧倒的に若く、カードも持っていないという子も多いでしょう。ここらへんなかなかマッチング難しいです。

中止すること開催することについては皆さんそれぞれ自分なりの意見もあるかと思います。
が、自分みたいに会場の大小問わず年に最低数十本は観るような人間と、年に1度か2度好きミュージシャンのライブにイベント的な気持ちで参加する人、もしくは全く行かない人では「ライブ」を捉える視点は全く違うでしょうし、そもそも落としたものを「3秒ルール」とか言いながら食える人間と、他人の握った吊革に触れない人まで、そっちの感じ方も千差万別。
これくらい、自分にとって「正しい」と思っていることが他人にとって「正しくない」になるテーマもなかなかありません。

だからこれに対して自説をこねる気はありませんが、ただ、東日本大震災以降、SNSで繋がっていた友人の中でも様々なイデオロギーや認識の相違があることがわかり、実際それ以降世の中もそういう相違による「分断」があからさまに可視化されるようになったなあ、と思ったのですが、今回のウイルスの件は、さらなる「分断」の可視化という意味では、東日本大震災並みの現象になってしまうのではないかと、何だか嫌な気分になっています。

1980-90年代SONY系ミュージシャンのストリーミング解禁っぷりのこと

aikoがストリーミングに解禁されて、そろそろ現役第一線組についてはそろそろ「もとより出す気がない」組以外はだいたい出尽くしたのではないかと思います。
そこで、今後期待したいのは過去のメジャーになりきらないまま解散したバンドや、多少売れたもののそれ以降は地道にやってるソロミュージシャンとかの音源がどれくらい分厚くなるか。
特に80-90年代のソニー系のそこらへんは魅力的なラインナップが揃っていますので、とりあえず1980年代から90年代前半くらいまでにメジャーデビューしたソニー系レーベル所属のバンド・ミュージシャンがどれくらいストリーミングに出てきているのか確認。結果として今も一線で活躍しているバンド等も含んでいますが。

〇はソニー系からリリースされた、少なくともオリジナルアルバム音源は全部あるもの、△はソニー系からリリースされた音源はあるけど全部ではないもの、▲はソニー系からリリースされた音源は全くないけど、他レーベルから出た音源は多少なりともあるもの、×は確認できた限り全くないものです。

朝日美穂
安藤秀樹
五十嵐浩晃
伊豆田洋之
一風堂
X
ECHOES
エレファントカシマシ
AURA
大江千里
大沢誉志幸
大瀧詠一 ×
岡村靖幸
尾崎豊
オナペッツ ×
小野正利
小山卓治
カステラ
GARDEN
加藤登紀子
かの香織
河合夕子 ×
くじら
楠瀬誠志郎
国安修二
久保田利伸 ×
クライズラー&カンパニー
GRASS VALLEY ×
五島良子
小比類巻かほる
ゴンチチ
PSY・S
佐野元春
詩人の血(Oh!Penelope)
シネマ ×
シャネルズ(RATS & STAR)
上々颱風
JUDY AND MARY
JUN SKY WALKER(S)
白井貴子
鈴木聖美
鈴木祥子
スチャダラパー
THE STREET SLIDERS
SPARKS GO GO
聖飢魔II
相馬裕子
染谷俊
ソウル・フラワー・ユニオン ×
千年COMETS
橘いずみ
谷村有美
種ともこ
玉置浩二
CHIEKO BEAUTY
CHARA
町支寛二 ×
TM NETWORK
dip in the pool
てつ100%
東京JAP ×
東京スカパラダイスオーケストラ
DREAMS COME TRUE
The 東南西北
中崎英也 ×
ネーネーズ
野田幹子
PEARL
HOUND DOG ×
BARBEE BOYS
爆風スランプ
VANILLA
バブルガムブラザーズ
PIZZICATO V
ヒートウェイヴ
BE-MODERN
PINK ×
ビンゴボンゴ ×
FENCE OF DEFENCE
フラワーカンパニーズ
PRINCESS PRINCESS
古内東子
BO GUMBOS
堀江淳
真心ブラザーズ
松岡英明
宮尾すすむと日本の社長 ×
宮原学 ×
村下孝蔵
THE MODS
モダンチョキチョキズ ×
遊佐未森
YOYOYO ×
ラブ・ポーション
竜童組 ×
LOOK
LADIES ROOM
REBECCA
ロッテンハッツ
渡辺美里

思ったより頑張ってるじゃん、というのが正直な気持ち。
千年COMETSとかVANILLAとか嬉しいです。各アルバム3枚ですが。一方、種ともこやLADIES ROOMはベスト盤のみ、鈴木聖美や堀江淳は一番のヒット曲が収録されたオリジナルアルバム1枚のみとか、ストリーミング用に音源を整えるのもタダではないので、そこらへんを見込めるところを、ということでしょうか。

ただ、レベッカはラストアルバム「BROND SAURUS」のみ見当たらなかったりとか、BE MODERNはアルバム4枚全部あるのにSPARKS GO GOは見当たらなかったりとかは何とも解せない。
ハウンドドッグは権利的に揉めに揉めているでしょうから、たぶん一生出てこないと思います。

全く出さないものには本人や所属の意図もあったりすることもありますし、権利が転々とする間によくわからなくなったというのは海外でもよくあること。
でも案外「マスター失くしちゃった」が一番多いのではないかと思ったりもしています。ちょうどこのあたりの時期って、マスターがDATであることも多いので、あんな小さいの失くすわ。自分なら失くす。

あと、宮原学が1曲もないわ、と思ったら2017年に覚醒剤所持で逮捕されていた。こんなところにも。

2019年ブックオフオンライン年間ランキングのこと

毎年、年末年始にやっていたけど今回すっかり忘れていて今頃思い出したのですが、抜けの年があるのも悔しいので今からやります。
とはいえ1位が1999年リリースの盤ということでおわかりの通り、CD全盛期のスター達の主にベスト盤がおよそ10年から20年、買われて売られてのサイクルを繰り返しているだけの日本一随分なランキングです。

アルバム 名前 発売年 13 14 15 16 17 18 19
RECYCLE スピッツ 1999 10 3 4 8 5 1 1
Mr.Children 1992-1995 Mr.Children 2001 3 7 5 2 2 4 2
SINGLE COLLECTION VOL.1 宇多田ヒカル 2004 11 1 1 1 1 3 3
Impressions 竹内まりや 1994   6 6 11 13 9 4
MESSAGE MONGOL800 2001 4 2 2 5 4   5
Mr.Children 1996-2000 Mr.Children 2001 5   8 6 7 5 6
自己ベスト 小田和正 2002 8   13 10 15 8 7
CYCLE HIT 1991-2017 スピッツ 2017             8
無罪モラトリアム 椎名林檎 1999   8 9 18 14 7 9
TOP OF THE POPS 桑田佳祐 2002           13 10
ザ・ビートルズ1 ザ・ビートルズ 2000 F1 11 10 20 12   11
All the BEST!1999-2009 2009 2 J1     16   12
ALL SINGLES BEST コブクロ 2006 13 4 3 4 9 2 13
ZARD BEST The Single Collection~軌跡~ ZARD 1999   9 21 12 19 16 14
青春の輝き カーペンターズ 1995 F4 14 14 13   10 15
BEST 中島美嘉 2005 21 13 20       16
海のYeah!! サザンオールスターズ 1998 1 15 11 3 8 6 17
いきものばかり いきものがかり 2010 6         20 18
Smap Vest SMAP 2001 20 J2 16 9     19
GREATEST HITS “THE SOUL” Dreams Come True 2000 15 5 7 7 10   20
SMILING. 槇原敬之 1997   12 19 19   11  
DRIVE GLAY 2000 30         12  
GOLDEN BEST 井上陽水 1999 12         14  
ジュエルズ クイーン 2004           15  
BEST FICTION 安室奈美恵 2008 18   17   18 17  
B'z The Best“Pleasure” B'z 1998           18  
181920 安室奈美恵 1998     26     19  
Fantome 宇多田ヒカル 2016         3    
First Love 宇多田ヒカル 1999     28 17 6    
Distance 宇多田ヒカル 2001         11    
DEEP RIVER 宇多田ヒカル 2002         17    
DISCOVERY Mr.Children 1999         20    
ハチミツ スピッツ 1995     15 14      
ULTRA BLUE 宇多田ヒカル 2006       15      
CRUISE RECORD 1995-2000 globe 1999     22 16      
BEST OF DREAMS COME TRUE Dreams Come True 1997     12        
I LOVE U Mr.Children 2005     18        
It's a wonderful world Mr.Children 2002     23         
LIFE 小沢健二 1994     24        
深海 Mr.Children 1996     25        
歌バカ 平井堅 2005     27        
グレイテスト・ヒッツ スキマスイッチ 2007     29        
BOLERO Mr.Children 1997     30        
ULTRA Pleasure B'z 2008 27 10          
OPUS 山下達郎 2012 7            
GAME Perfume 2008 9            
日本の恋と、ユーミンと。 松任谷由実 2012 14            
jupiter BUMP OF CHICKEN 2002 16            
沿志奏逢 Bank Band 2004 17            
ユグドラシル BUMP OF CHICKEN 2004 22            
SINCE 1975 浜田省吾 2000 23            
Expressions 竹内まりや 2008 24            
8UPPERS 関ジャニ∞ 2010 25            
Singles 2000 中島みゆき 2002 26            
SUPER BEST THE BLUE HEARTS 1995 28            
Home [1997-2000] ゆず 2005 29            

結局今回初ランクインはスピッツの新しい方のベスト盤のみ。供給量(=売上枚数)は1999年の方が多いので納得の順位ですが、店頭で感じた限り、恐らく新しい方のベストはしばらくは高値安定だったのが値下げされてきたために今回ランクインしたのではないかと。

安室奈美恵の引退ベスト盤は、店頭にはそれなりに出ているはずなのに結局ランクインせずじまいで、やっぱり「現役で活躍していること」がこういうところでも売れる条件になるのだということがよくわかります。
ので、前のベストがランクインしている嵐も、活動休止発表後のベスト盤がどれくらいランクインするかと考えると、今回の安室っぽい感じになるのではないかと思います。

ただ、ほとんどのミュージシャンがストリーミングに楽曲提供している現状、それがどう影響してるかと言えば、多分ほとんど影響ない。竹内まりやの「Impressions」のランク上昇はもしかしたらそれも一因かもしれないのですが、まだストリーミングに楽曲を出してないB'zやaikoが上がってるかといえば全くそんな気配もなく。

だから、BOOKOFFで昔のCDを買う人は、サブスクのサービスを有料で登録するほど音楽を聴く人ではない、ということがわかります。新しい音楽を聴く気のない人。CD全盛期に流行りで買って、断捨離流行りで全部捨てたものの、今何となく思い出して買いなおしている人。そこらへんじゃないかと。

私は、断捨離できずにいまだに1万枚以上のCDを捨てられずにいるというか、そもそも捨てる気がない。例え半分近くがベッド下の段ボールに詰め込まれたままだとしてもだ。

ジェニーハイ@Zepp DiverCityのライブのこと

昨晩はジェニーハイ@Zepp DiverCity。
後から聞いたら即完もいいところだったらしいのですが、LINEチケットの先行でぶっこんでおいたら取れたのでもうラッキーですよ。とりあえず頭のおかしい編成の人たちなので、どういうスタイルでやるのか一度ワンマンで観ておきたいと思っていたので。

幕前ずっとステージのスクリーンにアー写とバンド名のロゴが繰り返し映し出されるという、なかなか他に見ない状況から暗転すると、出てきたのは天竺鼠。要するに前座ではなく「前説」です。
ちょっと喋ってショートコント2本やってハケるとようやくジェニーハイ登場。そして当たり前のようにステージ中央に5人並んで「ジェニーハイのテーマ」からスタート。あのぬるい振り付けも生で観られました。今度はステージの上の方にのぼって椅子に座って「愛しのジェニー」。まだ楽器に触らない。
ようやく楽器を持ったと思ったら「ランデブーに逃避行」「ダイエッター典子」とわりかし最高めのヤツを連続でカマす。ガッキーのピアノが抜群。このバンドの音楽的な要はやはり彼で、彼の作る音色で楽曲全体の色が決まっていくのだなと理解する。絵音くんのギターは基本刻みに徹しているわけですが、何て言えばいいのだろうか、本当にうまくピアノに寄り添う音になっていて。
リズム隊も頑張っている。友人に聞いた話では、彼が都内のとあるスタジオで練習をして喫煙所に入ったところくっきーと小藪がいたという話。要するに2人で特訓していたということで、実際ステージでも間違いなし。

途中で観客からお題もらって即興で曲を作るというバラエティ的な展開もあり、そこでものすごい勢いでクッキーがネタぶっこんで来たり、それをあしらう小藪が実に座長ぽかったり、「不便な可愛げ」ではアイナ・ジ・エンド(本物)が登場したり、結果として前説あり歌あり踊りあり笑いありゲストありという、ものすごく「芸能ショー」として成立しているステージになっていて。

ゲスの極み乙女。というバンド名を付ける時点で絵音くんはそういうトリックスター的センスであり、そんな頭脳に最強にマッチした「本体」がこのバンドだと思うのです。
元々バンドでフロントの2人、芸人の2人、そして演奏上の圧倒的な要であるガッキー。言うたら5人全員フロントで、実際5人横並びでラップしたりする楽曲も多数。もう「ロック」であることとか「バンド」としての有り様とかどうでもよくて、やってて面白い、観ていて面白い音楽があればいいというとても清々しい態度。もうそんなの圧倒的にアリに決まってるじゃないですか。

絵音くんについては未だに嫌悪感がある、という方もいらっしゃいますし、その気持ちは何となく程度は理解しますが、そんな人間の作る音楽は最低だという方がいらっしゃるのであれば、4人揃ってドラッグキメまくっていたビートルズとか、プロデュースしたアイドル歌手をアルコール漬けドラッグ漬けSEX漬けの廃人同然にしたローリング・ストーンズの作る音楽なんかはさぞや最低に聴こえるのだろうなあ、難儀だなあと思う次第です。

新型コロナウイルスでライブがいろいろ困ること

現在世の中は新型コロナウイルスで大変です。というか、都民なのであんまり他人事でもなく、でもどこまでビビればいいのかもよくわからんです。

東京マラソンも規模縮小ということですが、今のところ国内のライブが中止・延期になったというのは、見た限り一部の海外ミュージシャンのアジアツアーや一部のアマチュアバンドの集まりが飛んだくらいで、「興行」として開催されている国内ミュージシャンの国内ライブが中止になったという話は今のところ聞きません。

が、さすがに中国等の海外公演を予定していたところはおよそ延期・中止です。

嵐:北京公演
渋谷すばる:上海・台北・香港公演
Suchmos:上海・北京・深セン公演
FLOW:上海・広州・台北公演
May'n:台北公演

米津玄師も4月に中国公演予定していますが、現状で様子見の模様。

また、直接利益にならない「興行」以外のイベントでは中止・延期になっているものが国内でもけっこうあります。

SixTONES・Snow Man:スペシャルイベント+ハイタッチ会
AKB48:大握手会
SKE48:個別握手会
NMB48:個別握手会
STU48:個別握手会・発売記念イベント
日向坂46:個別握手会
EXILE:スクラッチカード抽選会
TWICE:お渡し会
など。

あと、国内公演は予定通り開催しても、ツアーグッズの製造が中国なため納品が遅れているという、別の事態も発生中。

浜崎あゆみ:グッズの発売遅延
THE ORAL CIGARETTES:「ライブ会場での販売が現在確約できかねる状況」
和楽器バンド:「当初予定しておりました商品数全ての納品が難しい状況」
など。

本当、CD販売が厳しくなって以降、興行・物販に軸足が完全に移っていますので、グッズの遅延だけでも相当キツいはずで、国内ライブまで止まったりすると我々だけでなく演者の皆さんも相当に困るんですけど、でも健康は何よりも大切ですし、いろいろ難しいところです。
とはいえ、どっか大きめのミュージシャンが国内ライブ中止しようものなら、ドミノ倒しのように一気に行っちまうような気も。
まあ、普通に毎日ラッシュの電車で通勤している時点でどうなんだって話ではありますが。

MUSIC SHOP BIGと新星堂のこと

新星堂、ぼろぼろと閉店していくペースにはまるで合いませんが、それでも2月14日、今年になって2店目を新たにオープンさせます。

新星堂 イオンモール高の原店

この1月まで入店していたCD店はMUSIC SHOP BIG。2007年のイオンモールのグランドオープン時から入っていたのが退店し、代わりに入ったのが新星堂ということになります。
この状況に大変に時代を感じてしまいまして。

元々BIGを運営している株式会社音光は、広島を中心に音楽周辺商品の卸を行っていたのですが、「MUSIC SHOP BIG」「MEDIA STATION BIG」の屋号で小売りも展開し始めまして。しかしその店舗展開は全国に及ぶものの、何ともイビツで。
2010年の公式サイトの店舗一覧がこんな感じ。

f:id:wasteofpops:20200213001828p:plain

これは要するに、元々テナントとして入っていたCD店が退店した跡地に、ほぼ居抜きで入っていっては店舗網を拡大していくというスタイル。ということです。
退店した店舗は、元々そのショッピングモールができる前に地元の商店街で営業していた個人店がショッピングモールに支店を出すという形だったり、他の大手チェーンの店舗だったり。
たとえばこの画像の中で、確認できた限りでジャスコ八事、四日市、和泉府中は元々は新星堂だったのがその退店後にBIGが入った形で。
卸も事業として持っているということは、小売店が減るとその分アガリも減ります。それを自社でやれるところまで何とかする、という方針ですね。

それがこのイオンモール高の原がオープンする頃から、新規オープンのショッピングモールにタワーやHMV等の大手がぐいぐい入店するパワーが落ちてきまして、グランドオープン時からBIGが入店するという事例が散見されるようになってきます。

そして2020年、逆転が起きたわけです。
ずっと残り物をつまんできたBIGが、グランドオープン時から入店できるようになり、そして今回、BIGが退店した後に新星堂が入るという下克上、ではないな。でもなんかそんな感じの状況。
何となく、見た目としては感動してもいい状況ですが、もう少し深掘りすると正味のところそんないいストーリーでもなく。

というのは、新星堂が現在RIZAPの子会社だということは前々から申し上げているのですが、実は株式会社音光も現在はRIZAPの子会社でして。新星堂の親会社ワンダーコーポレーションがRIZAPの子会社になったのが2018年3月、音光が子会社になったのは同年6月。
つまり、単純にグループ内の屋号を整理する一環なだけじゃないかと、そんな気もするのです。

BIGはそういう方針でしたので、閉店した店舗があっても他のショッピングモールの大手CD店舗が潰れたらそこに居抜きで入ることで、店舗数をキープしていたのですが、ここんとこはもうそれもできなくなって閉店店舗ばかりが増えていきます。

2019/05/26 メディアステーションBIG 高松店(香川県高松市)
2019/07/28 メディアステーションBIG 金沢八景店(神奈川県横浜市金沢区)
2019/07/31 MUSIC SHOP BIG 今治新都市店(愛媛県今治市)
2019/08/31 メディアステーションBIG 綾川店(香川県綾歌郡綾川町)
2019/09/29 MUSIC SHOP BIG 出雲店(島根県出雲市)
2020/01/26 MUSIC SHOP BIG 高の原店(京都府木津川市)
2020/01/31 MUSIC SHOP BIG 三田店(兵庫県三田市)

少なくなっても25店舗を切ったことのなかった店舗数が、遂に20を切りました。
そしてBIGを新星堂に挿げ替えるというアクション。これつまり今後、全国のBIGが新星堂になってもおかしくないわけです。ぶっちゃけBIGという屋号よりは新星堂の方が世間的には覚えもめでたいわけですし。

それを一斉にやるためのコストとか子会社の人事的なところとか。その天秤によるのでしょうから、部外者はわからん。ただそんな予想をしてあとは眺めるのみ。

オールドメディア化していくこと

今日、ミュージックステーション見てたら「冬うたランキング」という、いつも通りのよくわからない特集をやっていまして、そのランキングの元がCD売り上げではなく、1994年以降、要するに通信での提供となったことで精緻な値が取れるようになってから以降のカラオケDAMでのその通信回数ということで。

そもそもランクインしているイルカの「なごり雪」は早春の歌だろうとか、平原綾香の「Jupiter」に冬の要素がリリース日以外に何かあるのかとか、「アナ雪」関連は最初のはまだいいとしても、2の方の「Into The Unknown」は、映画は雪かもしれんが楽曲には冬の要素ゼロだぞとか、「冬うた」の定義も随分酷かったのですが、それでも見ていて随分興味深いところはあり。

最も気になったのは25年間ずっとランクインし続けていた石川さゆり「津軽海峡冬景色」が2018年に1位になったり、2006年に1度1位になったレミオロメンの「粉雪」が2016年1位に返り咲いたりした点。
これ要するに、カラオケが老若男女に広く支持される娯楽に君臨した後、徐々に衰え続け、特に若い層からの支持を失っていった、ということを如実に表しているわけで。

CD時代には相当な盤に収録されていた「カラオケVer.」もいつしか「Instrumental」と表記されることが当たり前になり、配信・ストリーミングになった今や、もう「Instrumental」がないものが大半。
カラオケはまだ一部には楽しまれていることは間違いないのですが、CDと同様に「オールドメディア」と化していきつつあるのだなあ、という気分に。

そのCDは今週のフラゲ日のオリコンCDデイリーランキング。各曲について評価するつもりは全くありませんが、もうCDチャートはここまで「国民的ヒット」的なところから離れているものですよ、ということは理解していただけるかと思います。

そろそろ数値的にも、熱心なファンが3桁程度でも、戦略と熱意をもって臨んで「積む」ことができれば、フラゲ日のデイリー1位は可能になっていると言っていいと思います。
あとは、そういう状況に置かれた「ゲーム」に誰がいつまで参加し続けるのか、ということなのですが、その参加者の数が今後どのくらい維持されるのか、ということと、今後日本のパッケージのマーケットがいつまで存続できるのか、ということはおよそ比例するのであろうなあ、と。

CD好きですけど、さすがにもう無理しなくていいかな、と思い始めました。

オリコンシングルチャートのルールのこと

前回、SixTONESがソニー、Snow Manがエイベックスにもかかわらず、2レーベルから出たCDが合算される形で集計されましたが、類似の事例は過去にも松任谷由実とカールスモーキー石井のシングルであったよ、という話をしました。もうひとつ井上陽水奥田民生も、過去の全音源全く同じ内容のものがフォーライフとソニー両方からリリースされています。

ただ、過去事例の場合は、異なるレーベルに所属しているミュージシャンが個人的な関係を通して合同で音源を出すという話になった結果ではあり、SixTONES vs Snow Manの場合は合同の音源は収録されない「初」の事例と考えてもいいのですが、でも「既存のルールの範囲内でうまく立ち回った事例」というのが一番しっくりきます。

ジャニーズは過去にもそういう手を使っています。
カップリングやジャケットが異なる、つまり型番が異なる盤でも、同一シングルであると判断すれば合算で集計しますよ、という事例は現在当たり前ですが、「カップリング曲の異なるシングルを同日にリリースした」最初の事例は1985年にリリースされた少年隊の「仮面舞踏会」です。表題曲は同じですが、カップリング曲とジャケット違いで3種リリースされました。

が、これも無理くりという感じではなく、その時期に近い事例を挙げると、1983年に松田聖子のシングル「ガラスの林檎」がリリースされたのですが、カップリング曲「SWEET MEMORIES」がサントリーのCM曲として爆発的に認知されたことで、ジャケット違い&両A面にして再リリースされた事例がありまして、そりゃ当然合算して集計されるわけですが、そういう過去の例を踏まえてリリースされた結果が、少年隊のそれなわけです。

で、ジャニーズ以外にもいろいろあります。
1999年にはGLAYの「サバイバル」が「ビデオシングルのみでのリリース」にもかかわらず、何故かシングルCDチャートの1位になるという事例がありました。
何かいろいろあった結果であることは容易に予想できるのですが、その後さすがにそれは無茶やろというツッコミが入ったのでしょうか、それ以降「ビデオシングル」「DVDシングル」がCDチャートで扱われたという事例は、GLAY自身のDVDシングルを含めてありません。

また、シングルチャートは元々はドーナツ盤のチャートでしたので、長い問2曲以下の収録であることが条件だったのですが(以下というのは、たまに片面のみ1曲のみの盤があったから)、1980年代になって12インチシングルがブームになった1984年頃、佐野元春が「Extended Mix」と「7inch Version」「Instrumental」の3トラック入り盤とか、吉川晃司が過去曲のリミックスを3曲収録した盤を出したりすることから、だんだんなし崩しになっていきます。

ただ、この頃はまだ7インチ盤と12インチ盤で同じタイトルのシングルがリリースされても合算されず別々に集計されていました。
内容が異なる盤がひとつの楽曲として合算されるようになったのはいつから、というのは具体的に見つけられませんでしたが、恐らく7インチ盤と8cmCDシングルの併売期、8cmCDの方にだけカラオケが収録された、というのが最初ではないかと思います。
もしかしたら遥か昔に7インチとカセットで微妙に内容が異なる事例もあったかもしれないですが。

1997年の「めざせポケモンマスター」では4曲収録されてもシングル扱いされるように(盤にはタイトル曲のカラオケも入って5トラック収録)なりました。
そして1999年7月、浜崎あゆみの「Boys & Girls」で、新曲は表題曲1曲のみですが、リミックス6トラックと過去曲のリミックス2曲という10トラック収録の盤が「シングル」扱いとなり、翌月の「A」では新曲4曲収録+リミックス10曲の合計14トラック入りの盤も「シングル」ということに。

それ以降は正味、当時の浜崎あゆみ以上に無茶する人が現れないためか、結局、現在の「シングル」の定義は「オリジナル新曲4由以下」「ライブブァージョンやリミックス等のヴァージョン違いは過去曲なら制限なし」という、浜崎あゆみ期のルールが今も基準のようです。
ただ、松崎しげるの「愛のメモリー」のヴァージョン違い12曲収録が「メガシングル」としてシングル扱いだった一方、織田裕二の「Love Somebody」のヴァージョン違い12曲収録がアルバム扱いだったり、境目にある盤は売る方の都合でけっこうどうとでもなっていたりとか。

ということで、シングルチャートのルールというのは、明確なルールは時々にあったにしても、ちょいちょい変更がかかりがちだ、ということはよくわかります。むしろ既存のルールに収まるように作戦を考えているジャニーズはけっこう律義ではないか、というのが感想です。
というか、2020年にシングル盤を売ろうと頭使うこと自体、もう他になかなかいないと思います。

SixTONESとSnow ManとジャニーズがCDを売り続けること

SixTONESとSnow Manの件、以前にSixTONESはソニー系のSME Records、SNOW MANはavex traxとレーベルが違うのに両者の曲が1枚の盤に収録される、いわばスプリット盤の形でデビューシングルがリリースされるということで、これオリコンの集計はどうなるのでしょう、ということを書いたのですが、結果としてレーベルで分けることなく、両社の盤の売上を合算する形になりました。そしてオリコン1位

ただこういう方針、過去に既に「前例」があることをTwitterで教えていただきました。
1992年の松任谷由実・カールスモーキー石井のデュエット・ソング「愛のWAVE」。松任谷由実は当時東芝EMI所属、カールスモーキー石井はソニー所属だったため、同じ楽曲がほぼ同じジャケットで東芝EMIとソニーから二種同時リリースされました。相違点はカラオケ。東芝EMIの方は「with YUMING」ヴァージョン、ソニーの方は「with カールスモーキー石井」ヴァージョン。
楽曲が「同じ曲である」という点は異なりますが、だいぶ近い。そしてこの曲も合算で集計され、オリコン1位になりました。

しかしリリースに至るまでの2グループの活動はすごかった。一時期はテレビのバラエティ番組見たらだいたいどちらかのメンバーのうち1人か2人は出ているんじゃないかと思うレベル。雑誌もテレビ誌や女性誌を中心にすごい勢いで表紙だし、これまでにジャニーズが得意としてきた従来メディアを絨毯爆撃的に攻めたプロモーションを極めた感があります。
更にジャニーズ勢としては初めてデビュー時点でフル尺に近い(でも本当のフル尺ではないところはポイント)MVをYouTubeで公開したり、その他メンバーの人となりがわかる動画をじゃんじゃん公開したり、またファン・コミュニティ内ではフラゲ日から「この店にはまだ在庫がある」情報が飛び交い、「積み増し」を行おうとする熱心なファンにとってはこの上ない環境。

そんな新旧の施策・状況を取り混ぜて、132万枚超えという数値。デジタルに放った割にはCDだけで、ストリーミングはもちろんダウンロードすらないわけですが。
でも、ジャニーズの場合はなかなかそっちに向かえない事情があるのではないかと、少し思ったんですよ。

利益率的にはCDがダントツで一番なのは当然ですが、もはや従来メディアで販促したら100万200万売れる時代でもなくなりました。そこで多くのミュージシャンは、ライブとそれに伴う物販を収益のメインにする形でビジネスモデルを再構築しているわけですが、ジャニーズ勢はCD売れなくなる前から大会場を押さえてコンサートを開催しまくり、グッズを売りまくっているわけです。
もっと大会場でって考えても、東京ドームをこれまでの実績以上の日数押さえることはさすがに他のミュージシャンもいますので難しいですし、もっとコンサートの回数をと考えても、ジャニーズの皆さんはテレビや映画に出演してそのタレントとしての実績を重ねていくというのがパターンですので、その活動がある以上、それもなかなか難しい。

要するにこれまでの時点で既にCD販売もコンサートも物販もアクセルをベタ踏みで来ているもんですから、CDが減ったからといって「じゃあ他で」と軸足を移せる場所が現状ではどこにもない。だから「もう本当にあかん」という最後の瞬間まで鬼のようにCDを売り続けることになるのではないかと思います。もしくはCD以上に収益性があって、かつ今以上にタレントを疲弊させない画期的なサービスを開発するか。
まあ、そんないいサービスあるなら、もうどっかの誰かが見つけてますか。

で、ビルボードチャートの方は容赦なく別盤としてカウントしていますので、こんな感じ
オリコンの方もむしろ別計算にして両グループのファンを必死にさせた方がもっと売上が上がったんじゃないかと考えたりもするのですが、それやったら短期で疲弊して大量の脱落者が出るのではないかとも思うので、これでよかったのです。
とにかくオタ活は、身の丈に合った範囲で、優しい気持ちで。